73話 教師同士の仲とか間柄とか…私、気になりまs((殴
今回は作者がどのタイミングで出そうか迷っていたあの人視点です。タイトルは気にしないでください。これからもちょいちょい挟むかもしれません、怒られない程度に。
疚無 潔が弟に騙されて梅ノ木 桃と温泉旅行に行くことになってしまった。その頃、梅ノ木 桃の後輩である夏原 詩は…
〈夏原視点〉
疚無くん…私が捕まった時、すぐに駆けつけてくれて、助けてくれた…なのに、私、まだお礼言えてない…教師としてどうなんだろ…ダメダメだなぁ…
私は体育館の隅っこで1人寂しく反省していた。助けてくれた人にお礼言うなんて小さな子でもできるのに…
「夏原先生は行かないんですか?」
1人でしょんぼり昼食を食べていると女子生徒に声をかけられた。
「えっ?どこに?」
「梅ノ木先生たちのところですよ!イサギくんのところとか行かないんですか?」
「あ…うーん、私は1人でもいいかな。みんな、楽しそうだし。疚無くん、すごく笑ってるから」
「確かにちょっと入って行きづらいですよね。すっごくゴツいおじさんとか闇が深そうな和服美人とかいるし。でもあの小さい子、ちょー可愛くないですか!?」
唐草さんのお父さんと明石さんのお母さんのことかな?確かに高校生には少し絡みづらいかも。でも疚無くんはなんだかんだ言いながら溶け込んでるし受け入れてるみたい。同級生よりも大人のほうが接しやすいのかな?
「じゃあ、私は戻りますね!」
「あっ、うん…...はぁ…」
思わずため息が出ちゃった。本当は私もあの中に入りたい。でも私なんかが…正直なところ、グズマ先生が言っていたことに少し納得してしまった自分がいる。背が小さくて影が薄くて目立たない私がなんで副担任になれたんだろう?なんで梅ノ木先輩は私を推してくれたんだろう?
「はぁ…なんでだろ…」
そんなことをぼーっと考えてたらまたため息が出てしまった。
「なんか悩んでんの?」
「え…?うわっ!」
後ろから声をかけられた。まさか後ろに人がいると思わなくて思わず大きい声を出してしまった。声をかけてくれた方も驚いているだろう。でもこんな隅っこにいる私に声をかけてくれる人なんて…だれ…
「疚無くん…?」
「やほっ!夏原センセ!元気してる?」
え、どうして?どうしてここに?
「な、なんでここに?」
間違った。先に言うべきことがあった。お礼をしないと。ありがとうって、助けてくれてありが…
「お礼を言いたくて来たんだよ」
「え?お礼って?」
「ありがとうございます。皆を、生徒全員を守ってくれて。俺が駆けつけるまで守ってくれてありがとうございます。夏原先生のおかげで皆が助かりました」
どういうこと?なんで疚無くんがお礼を言うの?私が言わなきゃいけないのに。
「私は何もしてないよ…疚無くんが来てくれたから皆助かったんだよ?私の方こそお礼を言わないと。あの時助けてくれてありがとう」
「…ふふっ」
「どうしたの?」
「ちゃんと言えてよかったね。えらいえらい」
びっくりした。時間も心臓も止まってしまったかと思った。教師が生徒に頭を撫でられたんだもの。こんなことあっていいはずない…でも、自分は頑張ったんだって、小さくて影が薄くても皆の役に立てたんだって、認めてくれた人がいる。それが嬉しくて、あたたかくて、(ずっとタメ口でいることも含めて)彼を咎める気になれなかった。
でも…
「なんで悩んでるって気付いたの?」
「俺、人の感情の機微に敏感なので…」
「それだけ?」
嘘…ではなさそうだけど、言いづらいことがあるのかな?
「あと…他の人より五感が鋭いんです。だから、ため息ついてるのが聞こえたんです」
「そうなんだ。言いづらいことだった?」
「言いづらいわけじゃないですけど、あんまり他の人に言わないでほしいです」
なにか事情があるんだろうな…でも、これってもしかして…
「うん、わかった、2人だけの秘密ってことね」
「あははっ、こんなこと、2人の秘密リストに入れちゃっていいんですか?」
「むぅ、イサギくんの秘密だもん!」
あっ…言ってから気づいた。笑う顔が可愛くて、ついつい…彼も…イサギくんも驚いてる。嫌…だったよね…あんまり距離を急に縮める人、苦手みたいだし…
「ご、ごめ…」
「大丈夫ですよ、これからはそう呼んでください」
また…頭を…彼の方から距離を縮めてくるからいいんだよね?セーフなんだよね?何が何なのかさっぱりわからないんだけど…!
「ところで、先生、来月連続で空いてる日ありますか?」
「え、えっと、あるはずだけど…」
「んじゃ、その日、俺と梅ノ木先生とデートしましょう!」
で、でーと!?
「で、でーとぉぉぉぉ!?!?」
心の中で叫んだ言葉がそのまま口から出ていた。
次話も夏原先生視点です。




