65話 ※この物語は現実世界を舞台にしています。
時々作者も忘れそうになる舞台背景と設定がリアルだということ。
「楽しそうな話してるな。混ぜてくれよ」
―ドゴォォォォォン
鈍く重い音が轟き体育館全体の空気を揺らした。
「えっ、ちょっ、疚無くん!?日出草さんも!?」
「あ、よかった、間に合ったみたいだな」
「遅れてすみません、センセー!」
『なんでここに!丹治さんが失敗したってのか!?』
「あのボス猿なら尻尾巻いて逃げたあと檻の中に自ら入ってお縄についたぞ」
『それ朝の報道番組でよく見るヤツ!報道陣が政治家よりも市街地に現れた野生の猿を汗水垂らして追いかけてるヤツや!』
「おぉ、敵ながら鋭いツッコミ。嫌いじゃないぞ。お前の刑は軽くするように頼んでやってもいいぞ」
『なに、馬鹿なボケにツッコんでやがる!どうすんだよ!丹治さんが仕留められなかった男相手にどう闘えってんだ!?』
「お前ら、いちいち拡声器使わないと話せないのか?いい加減うるさいんだが」
やれやれと肩を竦め呆れ顔な潔は残党を煽りまくる。
「てか、あれっ?グズマ先生に魔法使い!久しぶり〜!」
彼は無邪気に敵に手を振ると彼らの額には青筋が浮き出た。
『てめぇ!ぶっ殺すぞ!』
『誰が魔法使いだ!お前の100倍は経験あるっての!』
「拡声器使って騒ぐなよ、うるさいから。あと、経験ってなんの事だ」
『おい、チビ!こいや!』
いよいよブチ切れたチャラ男はナイフを懐から取り出し夏原 詩の首元に向けた。
「や、やめて!離して!」
「詩っ!!」
『黙れ!クソチビ教師!』
「…うるせぇって言ってんだろうが」
瞬間移動といえば大袈裟かもしれないが、潔は体育館の入口からステージ前まで約30mの距離を一瞬で詰めた…そして男の腹に掌底を喰らわせた。
『カハッ…!』
「大丈夫?詩…先生」
「は、はい…疚無くん…?いつの間に…?」
「ゲフンゲフン、まぁ、細かいことは無しで…桃…先生、頼める…ますか?」
「え、ええ、わかったわ。というか、あなたこそ大丈夫なの?」
「うん!じゃなくて、はい!ちゃんと生きてますよ!」
「いや、その男のことじゃなくて、あなたのことなんだけど…あと、その口調もどうしちゃったの?」
「?」
「桃センセー、イサギっちは基本的に他人のことしか考えてないので何言ってもわかってくれないですよ。口調はアドレナリンが出まくってると変わっちゃうらしいです」
「まあ、話はあとで聞くわ」
『アイツ、いつの間に俺らの後ろに?』
『誰か見えたか?』
『グズマ!お前の情報と全然ちげぇじゃねぇか!アイツは…』
残党達は苦虫を噛み潰したような顔をして焦っている。
「体力がない…だろ?その情報は間違ってないぞ」
『どういうことだ!現にお前は…!』
「運動神経が悪いとは言ってないぞ」
『じゃあ、体力テストで手を抜いたというのか!』
「それも違う、俺は再三言ったはずだけどなぁ…本気は出せないって」
『どういうことだ、グズマ』
『確かに言っていた気がする…だが、たかだか体力テストだ。本気も何もないだろう』
「俺が本気で体力テストに臨んで結果を提出しようものなら、再テスト再々テストも受けることになるんじゃないか?」
『さっきから何を言っているんだ、貴様』
「はぁ…俺の握力、体力テストでは20kgだったか?本当の握力を教えてやるよ」
ため息をついてダルそうに説明し始めた潔は先程吹っ飛ばした男を強引に起こした。
「おい、起きろ、記念に握手しようぜ」
―バキゴキボキ
「ふえ?…ぎゃああああああああ!!!!!」
男は劈くような野太い悲鳴をあげ左手を抑えて転げ回った。
「うるさっ。な?こういうことだよ。こんなことしてたら握力計毎回全部ダメにしちまうだろ」
周りの生徒は問題はそこじゃないだろと言いたそうだったが無視した。
『じゃあ、実際は…』
「実際の握力なんて久しく測ってないぞ。3桁は超えてるんじゃないか?」
『ひえっ…』『俺、帰ろうかな…』『こんなの相手にしてられねぇよ』
「これで平和的に…」
『ふざけるな!ここまで来て帰れるわけないだろう!』
「帰ってくれへんのかい」
唐突な次回予告!次回はイサギの必殺技が炸裂…!?
次話は21時更新です!
※追記です
別で連載し始めた方を消しました。
思いつきで咄嗟に書いたけど面白くなる予感がしなかったからです。イサギくんの方が面白いのかどうかは自分でも正直微妙です…「ラブコメなのに腹抱えて笑っちゃった」と言われるような小説を書きたいです。
※さらに追記です
イサギくんが残党に向かって「拡声器使って話すな」って言ってる描写がありますが、正確には胸元につける小さいひマイク(芸能人の方が番組収録でつけてるアレ)のことです。
不覚ながらも拡声器持ってブチギレる悪役を想像したら笑ってしまいました…めちゃくちゃ間違ってるけどおもしろいのでこのままにしておきます…




