63話 親バカしかいねぇ
あの生徒達の親が大集合です。
「てことで、あとは任せるわ。俺の主人公ムーブ…ん゛ん゛ッッ…出番は終わりということで。先に体育館行くわ。撫子、行こ」
「う、うん!」
撫子は潔に手を引かれてその場を去った。その時の撫子が母親の前では1度も見せたことのないような笑顔だったのを薊は見逃さなかった。
『ちょっと待ちなさいよ!撫子!覚えてなさい!あなただけ幸せになるなんて許さないんだから!!』
「さて…唐草家、明石家、水野家…それに桔梗家の現当主までここにいるようだ。日出草家に審判を下そうじゃないか。異議のある者は?」
「「「「異議なし」」」」
水野 白根の母、水野 百合曰く
「潔くんにはお世話になってるもの」
明石 愛の母、明石 紅花曰く、
「うちも愛がお世話になってるわぁ。それにあの性格、とても気に入りましたわ」
唐草 瑠璃の父、唐草 天人曰く、
「あの男は瑠璃と仲良くやってくれているようだからな。せめてもの恩返しだ。ここで返さねば娘に嫌われてしまうわい。ガッハッハッ」
桔梗 光の母、桔梗 白光曰く、
「潔くんが先程光に手を差し伸べてくれたこと感謝しています。私からも是非恩返しさせてくださいな」
『さっきから何を言っているの!?他の家の子を奪うなんて…!非人道的よ!』
「それをあなたが言うのか?ここにいる者たちは皆、潔の人柄や行動を鑑みて決を下したのだ」
「お主に子を養う器量はない。疚無の次男坊に預けた方が良いぞ。あの男はいずれ瑠璃とくっつくのだがな!ガッハッハッ!」
「あらあら、潔くんは光と結婚するのよ。唐草の娘に渡しませんわよ」
「まあまあおふたりとも、そこまでにしてくださいな。でも、潔くんは愛と結ばれますわよ、きっと。ふふふふふふ」
「はぁ…白根と結ばれることはないんだろうなぁ…」
「相変わらずまとまりがないなぁ、お前ら…」
潔を巡る親同士の戦いに勇はほとほと呆れていた。
音女市を古くから守ってきた家々には、あるルールがあった。《争いが収まらない時は全員一致制で決を採ること》というルールだ。日出草家は知らなかった。母親が怠惰だったため父親に逃げられ別の地から越してきたから知らないのも無理はないかもしれない。しかし…
「郷に入っては郷に従え、という諺を知らないのか?日出草家がどこに住んでいたのか知らないがこの街にはこの街の掟がある。名家に菓子折り1つ持ってこないとは何事か」
『し、知るわけないでしょ!』
「蓬 丹治は知らないわけではなかろう?」
文字通り縄で縛り上げられたテロリストの主犯格は無言で俯いていた。
「俺は雇われの身だが疚無家は裏でも表でもこの街を根底から支えてきたことは知っていた。だが、疚無 潔はうつ病で再起不能だと聞いていたからこそ奇襲できたのに…くそっ!」
「…待て、その情報はどこから出たものだ?」
「裏の人間は知ってる者も多いと思うし、情報の出はわからねぇ…」
「その件はここ3,4ヶ月のことだぞ…おかしい…」
「勇…」
勇が顎に手をあて考えていると百合は心配そうに、申し訳なさそうに勇を見た。
「とりあえず、日出草 薊並びに蓬 丹治を拘束し連れて行け。処遇は…そうだな、桔梗家に任せよう」
「仰せのままに、勇様。ですが、潔くんのこと、是非我が家にくださいね」
「…考えておくよ」
「「ずるい!!」」
渋々答えたのに他の2人が駄々を捏ねていた。
「お前ら、潔好きすぎるだろ!実親より好きなんてあってはならんだろ!」
「別に良くないですかぁ、あの子の才には誰もが惹かれますわぁ」
「そうじゃ、そうじゃ、孫でも良いぞ。ガッハッハッ!」
「やれやれ…潔に親バカとよく言われるが、他の家に行っても恐らく同じだな…」
今回新キャラの紹介はしません。
敢えてだからね!めんどくさいとかじゃないから!
章の最後に登場人物紹介ページを投稿しようかなと思います。
その章で登場した新キャラに絞る予定です。その方がたぶん見やすいので。
次話は12時更新します!




