53話 イベント当日に急にサボるやつに腹立たない?
出来たてホヤホヤのアツアツ回です。
「こちら北側担当海。怪しい人物はいません、どうぞ」
「こちら東側の零。路駐多数でござる、どうぞ」
「こちら南側…なあ、このネタやめない?ありきたりなんよ」
交通整理は運動場の北側(音女城側)を長男の海、南側(市街地側)を次男の潔、東側(校舎側・住宅地側)を三男の零が各々担当していた。
「こちら北側。しっかり語尾にどうぞって付けろ」
「こちら東側。怪しい男を多数発見。どうする?」
「どうするも何もおびき寄せ作戦なんだから、そこでやっちまったら意味ないだろ。いいから通せよ」
(こいつら、今日は大事な日ってわかっててこれなのだろうか…)
「おはようござ…あ、僕、小学生じゃないです。迷子じゃないです。体育祭の交通整理を任されてて。ちゃんと保護者いるんで。いや、お姉ちゃんと一緒にとかそういうの大丈夫なんで」
「おい、そういうのは通信切っとけよ」
三男の零は中学3年生だが身長が低すぎるため小学生と間違われても仕方がない。この手のトラブルはよくあることだ。高校生になっても中学生料金で遊園地に入れそうだし、実際今でも時々小学生料金で入場することがあるくらいだ。
「あっ、潔」
「なんだ、兄貴」
「ちょっとこれから営業あるからこっちの警備も任せたわ」
「はっ?営業?なんの?ちょっと待て!」
長男の海はトンデモ頭(物理)のトンデモ頭(精神)で正直何を考えているのかわからない。実際今も営業とか言って警備を放棄してしまった。ユルサナイ…
「潔くん!朝からお疲れ様!警備はどうだい?」
「お疲れ様です、瑠璃先輩」
かたや逆ナン、かたや闇営業という兄弟の愚行に苛立っていた潔の前に救世主が現れた。
「おぉ、救世主よ…」
「なに、急に。首尾はどう?」
「先程首尾にするりと逃げられたところです」
「意味わかって言ってる?」
こんな馬鹿話もたまには悪くない…あぁ、本当に救世主だ。
「ところで、生徒会のお仕事ですか?」
「うん、そうそう。あと、君に会いたくてね」
「保健室で話してからグイグイきますね…」
「好意が伝わってるならもうなりふり構ってられないし…てかてか!」
「テカテカ?」
「ちがくて!ふ、2人きりの時は…」
強気になったかと思ったら急にごにょごにょし始めた。可愛すぎて見てるこっちが悶え死にそうだ。
「2人きりの時は瑠璃って呼べばいいんでしたっけ?」
「そ、そう!よ、呼んでくれないの?」
(ボーイッシュな学園の王子様が上目遣いなんてしないでほしい…死んじゃう…!)
「る、瑠璃」
あえて照れながら言い、チラリと上目遣いを返してみる。
「は、はわわわ…抱きつきたい抱きしめたい持ち帰りたい軟禁したい…」
「あ、あのー、性癖が溢れてますケド…」
(軟禁って聞こえたんだが、この人ってそういう…白根に近いな…)
「ゲフンゲフン、失敬失敬」
「ところで、体育祭のプログラムってまだ発表されてないんですか?」
「そ、そうだね。3年生も発表されてないし、開会式で発表されるんじゃないかな。もはや発表っていうより公開?」
「どこまでも自由な学校ですね…」
どうやら本当にギリギリのギリまでプログラムはわからないらしい。これはアレだな。ワンチャン考えてないまである。その場の気分で考えてるんじゃないか?
「瑠璃の親御さんは来るんですか?」
「く、来ると思うが…呼び捨てまでしてくれるならタメ口でもいいのに…」
「コホン…瑠璃の親御さんかぁ。楽しみだなぁ」
軽く咳払いしてタメ口にすると瑠璃は目を輝かせていた。
「わ、私も楽しみだよ!お婿さん…潔くんを両親に紹介するのが!」
「お婿…?」
「潔くんは私に嫁に来てほしい人だったかな?」
「一応花婿修行は終わってますけ…ど…」
「ぜひ唐草家へ!!!」
潔は瑠璃に手をがっしりと握られた時にようやく後悔した。そして冷や汗を大量にかいた。
(なぜ、体育祭が始まる前に汗をかかなきゃいけないんだろうか)
インスピレーションが湧いて止まらないので止まるまで今日は書くつもりです。
次話0時投稿予定です。7月20日まで予約投稿済です。




