48話 頼り頼られることが支えること
あと2話くらいで準備期間終了です。
読みやすいように行間を空けているぶん、かなり長く見えますがそんなに長くないと思います。途中で疲れさせてしまったら申し訳ないです。
時は黒理 栄狐の件を兄貴に押し付けた後に遡る。
―タッタッタッ
疚無 潔は音女高校の周辺を走っていた。体力づくりの一環である。何を隠そう彼は年明けから高校入学前まである事情によって休養を余儀なくされたため体力がかなり落ちていた。
「ハァ…ハァッ…あぁ…こんなんじゃ…だめだ…」
実は音女高校はお城山の麓にあるため勾配がきつく肺活量や足腰を鍛えるのにうってつけなのだ。ちなみにお城の名前は音女城。英語にするとNeon Castle。ちょっといやらしく聞こえないだろうか?うん、そうでもないな。
「ママー、また変な人がいるよー」
「あら、ほんとね。今度こそ通報するわ」
「んな!?」
あの時の親子(閑話⑥参照)がまたいた。いつもここにいるのだろうか。
「今日は竹籠を背負ってないのに、なぜ通報されるんだ…?」
「サングラスかけて片手に黒いゴミ袋、片手に火鋏を持ってたら通報されるのも無理ないよね」
独り言を呟いたつもりが、答えが返ってきてしまったので振り返ると警察官が2人立っていた。
「来るの早くないですかね!?」
「たまたまパトロールしててね」
「そうですか」
「とりあえず署まで来てもらえる?」
「慈善活動と体力づくりを同時にしてただけで俺は連行されるんですか?」
「連行だなんて人聞きが悪いよ。ただの任意聴取だよ」
「はぁ…そっちがその気ならこっちだって考えがあります」
―カチャッ
「なんで考えがあるって言っただけで警棒と拳銃に手をかけるんですかね…」
「「え、そういうことじゃないの?」」
「全然違います…俺は一介の高校生ですよ?とりあえずコレを受け取ってください」
「こ、これは…!」「名刺?」
片方はわかって、もう片方はわからなかったようだ。この名刺を受け取って意味が理解できない方は恐らく新人だ。
「し、失礼しました!あなたがあの疚無家の方だとは知りませんでした!パトロール、お疲れ様です!」
「えっ、ちょっと、先輩?どういうことですか?」
「いいから!お前も敬礼しろ!」
「すみません…!こいつ、新人なもので!」
手のひら返しにもほどがある…だからこの手は使いたくなかった。みんな、畏まってしまうから。
「いや、知らないのも仕方ないですよ。俺らは表立って行動することはほとんどないですから。高校でも陰キャ通してますし…」
最後の一言を付け加えるとさっきの親子を含め周りは哀れみの目でこちらを見ていた。
「そ、それで本日はどのような件でこちらに?」
「え?パトロールお疲れ様って言ってたし、用件なんてわかってるんじゃ?」
「はっ!も、申し訳ありません!失礼しました!」
「あっはっは、そんなに畏まらないでくださいよ。表立って取り締まるのは警察官の役割なんですから。市民に下に見られても困るでしょう?それで少し頼みがあるのですが、よろしいですか?」
「はっ!疚無家のご命令とあらば!」
「命令じゃなくて頼みなんだけどな…今月末うちの高校で体育祭があるから腕のたつ警察官を何人か貸してくれるとありがたいです」
新人警官は目を白黒させているが、ベテラン警官は事情を察したかのように頷いた。
「承知しました!では私達はこれで!」
「どうも、そちらこそパトロールお疲れ様です」
それから潔はバイバイと手を振った。
「先輩、あの少年は何者なんですか?」
「お前は新人だからまだ何もわからないと思うが、疚無家はこの街を裏から支えてきた家系なんだ。パッと見はかなり怪しいかもしれないが、その怪しさが彼なりのパトロールスタイルなんだよ」
「怪しければ目を向けるものの近づきはしないってことですか…」
「そういうことだ。彼は疚無家の次男。1番頭がキレる男だよ。長男は剣術の天才。三男は弓術の天才で三男の師は忍者の末裔と聞いたことがある。長男は他にどんな才があるか不明だが、三男は斥候や諜報が得意らしい。そういう意味では三男が1番影(裏)に近いかもしれないな」
「疚無家…いったい何者なんでしょうね…」
「何者だったとしても、我々警察官を含む市民が伸び伸びと生活できるのは彼らのおかげでもある。しっかり感謝しよう」
新人警察官はコクリと頷いたが、ふと疑問に思った。
「ふと思ったのですが、怪しい格好をしている人がいるという通報は度々あるんですか?」
「まぁ、あの格好だからなぁ」
ベテラン警察官は苦笑いして頬をポリポリと掻いた。
「だけど放っておいてやってくれ、と市民に言うわけにはいかないだろう?」
「それは…警察官の信頼が失墜する可能性があるからですよね」
「まぁ、そういうことだ。それに我々が出向いて通報者の前であのように振る舞えば格好は怪しいが中身は安全な人だと分かってくれるだろう?」
「確かに…」
「そのためにも君は腹芸を覚えたまえ。役に立つぞ。はっはっは」
「腹芸…?なぜ…はっ!なるほど!そういうことでしたか!」
新人警察官は「腹芸」という単語に一瞬疑問を持ったが、「署まで来てもらえる?」というあの一連の流れこそが先輩の演技だとそう気づいた。
潔は例の怪しさ満々の格好であるがゆえに時々市民から警戒されているが、パトロールついでにゴミ拾いなどの地域貢献をしていることは警察署も役所も理解しているらしい。警戒はすれども、信頼されていないというわけではないのである。
活動報告に今後のこと(主に明日からの更新について)を書きました。よかったら見てください。
第2章は完結まで書き終えましたが、作者の諸事情が落ち着くまでは1日1回遅くて2日に1回の投稿になるかもしれません。
ちなみに第2章は閑話含めてあと3話で完結です。
体育祭入るまでに閑話含めて60話を超えてます(´・ω・`;)
要領悪すぎんだろ、とか書くの下手くそか、とか様々思う方もいるかもしれませんし、作者自身が1番わかってます。煽るわけじゃないけどこれだけは言いたい。
小説のあらすじにめちゃくちゃ長くなるって書いてるでしょうがァァァァァ
素人だもの!そりゃ上手いわけないでしょうがァァァァ!!!と。こんなものでしょうか。辛辣な想いもどうぞ感想として残していただいて構いません。もちろん、受け止めるので。でも違うと思ったら反論しますので^^
ということで、次話は0時更新です!
いつも読んでくれてありがとう!これからも末永くよろしくお願いします!




