46話 最近暑いのでヒヤッとさせてあげませう
本当にあったら困るこわいこわい話
瑠璃先輩と分かれたあと、私は普段は通らない道を帰っていた。
「ふぅ、今日も1日疲れた〜」
私はアパート近くの河川敷に座り、川のせせらぎに耳を傾けながら休憩していた。
「風が気持ちいいなぁ…夕日も綺麗…イサギっちが恋しくなっちゃうな…」
ここ数週間は毎日隣にイサギっちがいて登下校も寝食も一緒だったから1人の時間は新鮮だった。
「たまには1人もいいけど…やっぱり隣にいてほしい…」
そうなることはないんだろう、いつかは離れなければいけない時がくる、そんなことはわかっていた。だけど…
「だけど、これからもずっと一緒にいたいよ…」
やっぱり1人の時間はいらないかもしれない…1人になると哀愁に浸ってしまうから…
「よし、そろそろ帰ろう!イサギっちも帰ってくるだろうし!」
ぼーっとしていたらいつの間にか黄昏時になっていたので、すぐに立ち上がり歩を進めようとしたその時…
―カツッ
「…?」
なんだろう、人の気配はなかったけど…
―カツッカツッ
ヒールの音?だんだん早くなってるような…
こわくなった私は早足で帰り道を歩く。
―カツッカツッカツッ
「ハァッ…ハァッ…ハァッ…なんなの、誰なの、こわい…!」
―ドシン!
「え…?」
大きな音がしたので振り返ったら私のよく知る女が尻餅をついていた。
「いたたた…なんなのよ、もう!あと少しだったのに!」
「かあ…さん…?」
「さあ、お家に帰るわよ、撫子」
「絶対に嫌!」
「あなたはイサギという男に騙されてるの」
「違う!イサギっちは私を助けてくれた!あなたは私を金蔓だとしか思ってない!私は私の意思で日出草を出てイサギっちのところにいるの!!」
「…そう。そうなのね。わかったわ」
わかってくれた、とホッとしたのも束の間、
「無理矢理にでも連れていくしかないようね…あなたたち、多少傷つけてでも捕まえなさい!」
誰かにそう命令したのだろうか、母親の後ろから大柄な男達が…
「ぐへへへ……へ?」「どうなっ…て…」
―バタッバタタッ
「な、何してるの!?あなたたち!こっちは高い金払って雇ってんのよ!はやく捕まえ…!」
「おーにさーん、つーかまーえたー」
地面に座りただ呆然とする母親の首筋にドラマや漫画でよく見るようなクナイが向けられていたが、黄昏時も終わり辺りは暗くて誰が助けてくれたのかよく見えない。
「な、な、何者…!?」
「口を開くな、くさい」
「く、くさ…!?」
「…死にたくなければ退け」
「くっ…!おぼえてなさいよ!必ずあなたをめちゃくちゃにしてやる!あのイサギという男もね!!」
母親はありきたりな敗者のコメントを残し逃げていった。
「あ、あの、ありがとうございます…」
「早く立て。家まで送る」
街灯が助けてくれた男の顔を照らし、ようやく誰が助けてくれたのかがわかった。正確に言えば顔は見えず、フードを被っていたが。
「あの、確か、君は…」
「零だ」
「イサギっちの弟…だよね」
彼は無言で頷き、アパートまで歩き出した。
「どうして私を…?」
「頼まれなければこんなことしない」
「誰に頼まれたの?」
「はぁ…1人しかいないだろう。愚兄だ」
やっぱりイサギっちだった。助けてくれたのは彼だけど、イサギっちは先を読んでいたんだ。
「だが、勘違いするな。アンタは愚兄に好意を向けているようだが、あの男は疚無家の3人の中で1番危険だ。言っていなかったか?好きだけど付き合えないって」
言っていた。そういうことだったんだ。きっと巻き込んでしまうから…イサギっちなりの優しさと配慮だったんだ。
「拙者は愚兄と呼んでいるが、敬意は示しているつもりだ。愚兄は3人の中で1番強い。悔しいがその事実は変わらぬ。最強であり最凶であり最恐であり…最狂なんだよ」
アパートに着くまで彼は淡々とイサギっちのことを教えてくれた。イサギっちの本当の姿を。
本当にあっても颯爽と駆けつけてくれるヒーローがいたらいいなぁと思う話でした。長くなってしまいすみませんでした。途中で区切ろうかとも思いましたが、一気に全部読みたい人もいるかなぁと思い一気に書きました。
次話はあまあま回の予定です。
7時更新予定です。
読者の方は何時に更新したいとかありますか?寝る前、昼休み、出勤中電車の中で読みたいとかあったら感想あるいは活動報告にコメントしてくれたら検討します!なかったら今まで通り不定期更新にします!
いつも読んでくれてありがとうございますm(_ _)m
今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m




