29話 みんな!僕を取り合わないでくれ!って1度でいいから言ってみたい
投稿が遅くなりました。今から明日の分も書きます。
「出席確認をする。各クラス委員は出席数を確認して報告するように」
音女高校は学校の授業に参加しない、もしくは参加できない生徒にリモート授業や夜間補習などの学習サポートをしているらしい。そっちの出席率が100%なら勤勉とも言えるだろう。別に勤勉かどうかに拘る必要もないと思うけども。
「グズマ先生、1年D組以外全員出席しています」
さすがに勤勉すぎるだろ。合同にしたせいで体育館の人口密度が高すぎる。
「よし、お前達、ペアになれ。余りは出ないと思うが、余ったら私が組もう」
ペアかぁ。ペアにする授業は嫌いなんだよな…俺と組んでくれる人なんかいるわけが…
「イサギっち!ペアなろ!」
「潔様…ではなく潔さん!ぜひ私とペアに!」
「潔くん、良かったらどうですか…?」
「潔!やろ!!」
撫子、向日葵、アカシアちゃん、白根が同時に声をかけてきたがさすがに誘いが多すぎる。
「ちょ、落ち着いて。そんなに鼻息を荒くしなくても…」
「「「「ダメだよ(です)!!!」」」」
み、みんな!俺を取り合わないでくれ!なんて悠長なことを言ってる場合じゃないな…
「とりあえず、みんなは他の人に誘われてるならそっちを優先してよ。僕は余ってもいいからさ」
「「「むぅ…それなら…」」」
「やっぱり誘いを蹴ってたのか…撫子は誘われてないのか?」
「うん!私は誘われてないからイサギっちと組めるよ!!」
「そっか。じゃあ、組むか」
「うん!!!」
ペアの誘いを受けるとほかの3人がジト目で見ていたが、撫子はパァっと笑顔を見せた。可愛い。それにしても社交ダンスの誘いでもないのに、体育でペアを組むことにそんなに積極的にならなくても良くないか?
「イサギっちとペア♪イサギっちとペア♪」
「ご機嫌だなぁ」
「そりゃそうだよ!イサギっちとのペアは倍率が高いんだから!」
「…何言ってんだ?」
ライブのチケットでもあるまいし…くだらないことで争ってるんだな、女子は。やはり、男が1人なんて珍しいんだろうな。目立ちたい…ということか?俺は目立ちたくないから相反しているな。
体力テストの種目は…「握力」「上体起こし」「長座体前屈」「反復横跳び」「20mシャトルラン」「50m走」「立ち幅跳び」「ハンドボール投げ」か。ハードすぎる。
「はぁ…だっる…」
「まあまあ!そう言わずに!ほら!行くよ!」
頑なに動こうとしなかったため撫子が物理的に俺の背中を押してくれた。
「なに、あの男子、ほっそ」「あんなのがうちの唯一の男子なの?」「超ダサいんですけど」
他のクラスの女子の小言が鬱陶しい。
「なぁ、撫子。僕は一体何を期待されているんだ?」
「私もよく分からないかな」
「とりあえずさっさと終わらせて帰ろう」
「すぐに帰れたらいいけどね…」
と、横目でグズマ先生を見るとニヤニヤしながらこっちを見ていた。
「とりあえず、最初は軽めので行くか」
「そうだね、軽めのっていうと…」
「シャトルランだな」
「それ、超重くない!?」
「3回くらい走ってやめればすぐ終わるから軽いだろ」
「イサギっちはそれでいいの?」
「…撫子には伝えておくけど、ほんとに体力がないから先にやろうが後にやろうが結果は変わらないし、あまり全力でやると救急車を呼ばざるをえなくなる」
「そんなになの?」
「周りは僕を煽ったり嘲笑ったりするかもしれないが常に『いのちだいじに』しないといけないからな」
―ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド…あ、もう無理。我ながら粘ったのでは…
「ハァハァ…50回…なら…納得…してくれないと…困る…」
―バタッ
「イサギっち!?大丈夫!?」
「大丈夫なわけ…ないだろ…あんなに周りから睨まれて…3回で終われるような空気じゃない…後で校長に言いつけてやるからな…」
その後も周りから睨まれつつ笑われながらもメイン種目「握力」まで辿り着いたのだった。
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