2話 いつの時代も序盤の最強キャラは幼馴染
「ねぇ、何してんの?」
と、声をかけられ背中を叩かれた。ビクッとして後ろを振り返ると顔馴染みの奴だった。水野 白根。小学校、中学校とかれこれ9年間同じクラスの腐れ縁ってやつだ。
「あははっ!ウケるんだけど!ビビりすぎでしょ」
「仕方ないだろ…男が俺しかいないんだから」
「それな!まさかだったね!」
「お前、もう友達できたの?」
「まぁね。バスケ繋がりがあるからね。」
「はぁ…相変わらずコミュ力高いよな…」
白根はいつも明るく溌剌している陽キャ…というよりもはや太陽である。こいつの笑顔は眩しすぎて直視できないので体育の授業はサンバイザーを着けないといけない。なんてくだらないことを考えていると
「ところで、コソコソ何してたの?」
「コソコソ隠れてたつもりはないけど、廊下が混雑してて教室の出入り口も塞がれてるみたいだからどうやって教室まで行こうか考えてたんだよ」
「なんだ、そんなことかぁ」
そんなこととはなんだ。こっちは男1人なんだぞ。初登校なんだぞ。女性専用車両に間違って乗っちゃったようなもんなんだぞ。
「とりあえず行こ!」
「っておい!」
右手首を掴まれて廊下のど真ん中をズンズンと進んでいく白根。
コイツ、やっぱすげぇな。コイツの目には何が映っているんだろうか。
「ここ!D組ね!」
「う、うん」
「ごめん、ちょっと避けてねー」
そう言って教室の出入り口に屯している女子の前をさらに進んだ。
まじで申し訳ない…といたたまれない気持ちになった。
水野 白根
元ネタ「シロネグサ(芹)」
田舎に住んでるので女性専用車両を見た時がないです…