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166話 タダノ・イサギは煽りまくる

どうも、タダノ・イサギです。

『イサギくん!どこほっつき歩いてるんですか!早く帰ってきてください!』


『桔梗さん、落ち着いて。潔くん、いったいどこにいるんだい?怒らないから話してみたまえ。話してくれたらまたさっきのをやってあげようじゃないか』


 さっきのはもう勘弁してくれ。やられてる方がどんな気分なのかわからないだろう。いたたまれない気持ちになるんだぞ。


『瑠璃はもう黙っててくれ。夕食までには帰るから。それじゃあな』


 有無を言わせぬ速さで電話を切る。今の状況を話して協力を仰ぐのも良かったんだがなるべく人を巻き込みたくない。それに義妹(撫子)の拉致事件に関与している可能性があるこの子を利用しない手はない。さっき助けた手前、少し申し訳ない気もするが…


「ローズ、もう興味本位で路地裏に入っちゃダメだよ。それと無闇に人を煽らないこと。おーけー?」


「うっ…イサギ様がそう言うのならわかりました…」


「俺以外の言うこともきちんと聞こうね」


「イサギ様がそう言うのなら…」


 ダメだ。この子、全然わかってないな。煽りスキルの高い自分だから言えることだが煽る側には覚悟が必要だ。煽るのは遊び半分でやっていいことじゃない。殺られる覚悟がない者は絶対に人を煽ってはいけない。それに煽ることは喧嘩をふっかけることじゃないからな。


「桔梗さんの家は大きかった?」


「私が前に住んでいた家より小さかったです。でもあのような造りの家は初めて見ました。あれが日本家屋というものなのですね」


「ローズが住む家もたぶんあんな感じになると思うんだけど少し窮屈かな?」


「最初は窮屈かもしれません。ですが、早く慣れてイサギ様と一緒に暮らしたいので…」


「俺と暮らすってどういうこと?」


「あ、ちが、なんでもないです!」


「そ、そう?」


「うぅ……」


 さっきから俺の事をおじさま扱いしたり質問を有耶無耶にしたりと謎が多い子供だ。


「それにしても、ローズの髪の色って綺麗だね」


「綺麗だなんて…!えへへ…」


 綺麗と言われて照れるローズ。可愛いと言われるより綺麗と言われた方が嬉しいんだろう。


「おーい!!ローズ!!」


 商店街を抜けた広場でこちらに向かって手を振る英国紳士…いや仏国紳士。長身でヴァイオレットの髪色がかっこいい。


「あっ、お父様!」


「見つかってよかったね」


「何をしてたんだ!こんなに暗くなるまで!」


「ご、ごめんなさい。でもお父様がこの街は治安が良いと仰ってたので…」


「言い訳無用!それに…()()の世話になったのか?ローズ」


 …ほう。()()ときたか。


「お、お父様!この方は私を助けてくれた命の恩人です!平民だなんて無礼です!」


「ふん。どうせ謝礼目当てだろう。下心が見え見えだぞ」


「お父様!先程からいったい何なのですか!今朝は上機嫌だったじゃないですか!」


「今朝は長姉(ちょうし)以外の全員で桔梗さんに挨拶できたから調子がよかったのだ。だが今は()()()()()()次姉(じし)がいなければ長男もいない。そしての三女のお前すらいなくなる。まったく…不出来な子供だ」


「へー、ローズん家って姉弟多いんだなー」


「チッ…平民が貴族の会話に口を挟むんじゃない!」


 ローズが一触即発スレスレの状況にあたふたしている。


「パパウイエさん、この街に来たんなら平民とか貴族とかそういう意識は持たない方がいいですよ」


「誰がパパウイエだ!私にはヴィヨレという名前がある!」


「郷に入っては郷に従ってくださいよ、ヴィヨレさん」


「平民がこの私に指図するな!私に指図していいのはこの街を治める疚無家の当主或いは疚無家に仕える名家のみだ!」


 疚無家はこの街を治めてないんだけどなぁ。あと桔梗家や唐草家は疚無家に仕えているわけじゃない。極々普通のご近所付き合いをしているだけだ。


「そうでしたか…残念です。それなら()()()()()()何も言えないです…」


「ふっ、やっと理解したか、愚民め」


 周りにいる人々が何かを言いたそうにこっちを見ているが今は何も言わないでほしいな。


「ところで、長男くんと次女さんは探さなくていいんですか?」


「貴様には関係ないだろう!」


「いやぁ、それがそうでもなくて…」


「イサギ様、どういうことですか?」


「なんか俺の妹が拉致されたみたいでさ」


「なんと!それは大変です!イサギ様の妹さんのお名前は何と言うのですか?」


 この質問をローズの方からしてくれるのを待っていた。返答後の反応(リアクション)次第ではどの程度関与しているか変わってくる。


「撫子っていうんだ」


「…な、ナデシコさんというんですね。そ、それと見た目などを詳しく教えていただけますか?」


 そういえばさっき光から撫子の着物姿の写真を貰ったんだった。俺はローズにスマホの待ち受けを見せた。


「こういう子だよ」


「…!」


「どこかで見たりしなかった?」


 さて、どう出る?




これは誰がどう見てもあの展開の予感…?


以下ストーリーに関係ない話です。

みなさんはもう遅いandざまぁの後に更生する系か好きですか?それとも更生せずに逆恨みする系が好きですか?それとも更生も逆恨みもさせずに完膚なきまでにぶっ潰す系が好きですか?


私は3択目が好きです。



次話は明日6時投稿予定です。

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