156話 プロローグってやつです
時を戻そう!
時を戻しました。
しばらく撫子視点で進みます。
「君に一目惚れした!僕とお付き合いしてくれ!」
突然の告白、生まれて初めての告白に私は呆然としていた。なぜ告白されることに至ったのか…時間はお兄ちゃんが入院する頃に遡る。
-----------------------------
ある日の放課後、お兄ちゃんは風紀委員長から呼び出されたので私は先に帰宅していた。
―prrr prrr
『あっ!お兄ちゃん!』
『もしもし!撫子!すまん!俺、入院することになった!』
『へ!?ど、どうして!?大丈夫なの!?』
『大丈夫だ!ただの虫歯だから!』
『入院するくらいの虫歯なの?』
『最短で治すためにどうしたらいいか聞いたら1週間くらい入院してくれって言われた』
『あぁ…お兄ちゃん、面倒くさがりだもんね…納得した』
『それで悪いんだけど俺が入院している間は桔梗先生の家で弥勒姉と一緒にお世話になってくれ』
『それは良いけど…桔梗先生って桔梗 光先輩の家?』
『そうそう!』
『うん、わかった!お見舞いとかした方がいい?』
『虫歯でお見舞いされたら俺が恥ずかしいからそれはやめてくれ…』
『あはは!わかった!じゃあ、お大事にね!』
「はぁ…お兄ちゃんと会えなくなるのかぁ…ざんねん…」
------------------------------
弥勒お姉ちゃんが職場から帰ってきたあと、バイクで桔梗家に向かうことになった。
「撫子ちゃん!それじゃ桔梗さん家に行っくわよォ!」
「なんか気合い入ってんね、弥勒お姉ちゃん」
「そうでもしないと気が保てないからね!」
「何かあったの?」
「んー、撫子ちゃんはイッサの家族だから話すけど他言無用でお願いね」
「うん、わかった」
「実はね…」
バイクに乗り風を切って走っていると話し声はほとんど聞こえなくなる。だけど弥勒お姉ちゃんが話したことは全て聞こえた。それほど私に衝撃を与えたのだろう。
「お兄ちゃんが学校を追い出された…?あはは、冗談キツいよ、弥勒お姉ちゃん」
「冗談じゃないわ。新任の志倉先生っているでしょ?彼女に学校に来ないでって言われたのよ。クラスメイト全員の証言があるから間違いないわ」
「それで勇さん…校長先生は何か言ってましたか?」
「実は校長は出張に出かけた直後で帰ってくることができなくてまだ話をしてないの。だから…出張が終わるまで通学することはできないわね」
「そんな…せっかくオンライン授業をやめて通学するようになったのに…なんでっ…なんで!」
「撫子ちゃんはイッサのこと、大切に思ってるのね。嬉しいわ」
「大切に決まってる!だって、私の事を助けてくれたしたくさん愛情をくれるもの!」
お兄ちゃんは私を母親から助けてくれただけじゃない。実の母親がくれなかったものを彼はたくさんくれる…私の最愛の人。
「…決めた。私も学校行かない」
「え!?」
「お兄ちゃんを…家族を蔑ろにする人は許さない。私も学校に行かない!」
「そう…じゃあ、私も行かないわ!」
「いや、弥勒お姉ちゃんはクラス担任だし行かないとだめだよ」
「えぇぇぇ!そんなぁぁぁぁ!」
志倉先生にも事情があるかもしれないけど私は家族の味方をする。私だけがお兄ちゃんの事情を知っているのだから。
果たしてプロローグが何話分続くのか…10話くらい続きそう…