151話 病院でのイチャイチャはやめましょう
遅くなってすみません。
久々のイサギ視点です。
瑠璃が絶賛暴走中です。
「潔くん…君、どこに行っていたんだい?」
「先輩、すんません。大浴場と大食堂を間違えてしまって先に腹拵えをしてしまいました」
「なるほど…つまり君は天然なんだね」
「大体そうなんじゃないんですか?」
「それはどういう意味だい?この世界の人のほとんどが天然だと社会全体が止まってしまう気がするんだが」
「大体、純人間なんじゃないんですか?」
「あぁ、君はやはり天然だよ」
「?」
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「うむ!うまい!うまい!うまいぞ!潔くん!」
「ここの病院食、塩分控えめのわりに美味しいですよね」
「うむ!」
よかった。先輩は思ったより元気そうだ。さっきまで鼻を抑えたり顔を両手で覆ってみたりしてたから体調が悪いのかと思っていたけど思い過ごしだったみたいだ。
「桔梗先生から聞きましたよ。入院してる間の世話をしてくれるんですよね」
「うむ!そうだ!私に任せたまえ!」
虫歯を最速で治療するために入院したんだけど入院中の世話がいるのかどうかは正直わからない。でも、先輩はノリノリだしいいかな。それにお願いがあったからちょうどよかった。
「じゃあ、病院から通学するってことですね」
「そ、そういうことになるな…」
なんだか歯切れが悪いな。何か不安があるのだろうか。
「でも、君がどうしてもと言うなら、あれだぞ。1日中、君の世話をしてやってもいいぞ」
あー、この言い方な。この言い方が好きじゃない。
「いえ、学校に行ってください」
「そ、そうか…」
何やらガックリしているがガックリしたいのはこっちの方だ。してやってもいい、してやらないこともない、そういう言い方をする人が俺は大嫌いだ。今ので先輩への評価がゼロになる可能性も充分にあったが最近先輩から貰っているものが多すぎて評価がゼロないしマイナスになることはないだろう。
「そういえば先輩は…」
「潔くん!さっきからなんなんだ、君は!」
「はい?」
きゅ、急に怒りだした…この人、恐い…
「約束が違うじゃないか!」
「約束?」
「君と2人で交わした約束だよ!覚えていないのかい?」
全然思い出せない。何か大切な約束をしただろうか…デートの約束は紫苑先輩としたことだから瑠璃先輩は関係ないし、マッサージは俺がするなんて一言も言ってないし…
「私と2人きりの時は先輩呼びせずに敬語も無しだと言ったじゃないか!」
「…あー!なるほど。そうでした、いやそうだった!」
「思い出してくれたかい…?」
「そんな悲しそうな顔しないでほしいんだけどな…」
「じゃぁ、瑠璃って呼んで…?」
急に怒りだしたと思ったら急に小動物みたいになってしまった。か、可愛い。これがギャップ萌えというやつか。
「る、瑠璃…」
「好きって言って?」
「す…って、何言わせようとしてるんですか」
あっぶね!
「ほら!敬語になってる!」
「あ、ごめん。じゃなくて!」
「ははは!さすがにノリで言ってくれなかったか!」
「そんなの今言うことじゃないでしょ…」
「じゃあ、いつなら言ってくれるんだい…?」
「そりゃお互いの気持ちが一致しないと…じゃなくて!さっきから何なんだ!酔ってるのか?」
「まさか!素面だよ、私は。お酒は20歳からだぞ、潔くん」
んなこと知ってるわ!
「それにしても、ふふっ、お互いの気持ちか…」
「反芻しないで!恥ずかしいから!」
「こっちの準備は万端なんだけどなぁ」
こっちの準備は出来てないんだよ!てか、なんの準備?
「それじゃあ、潔くん…寝ようか」
「そうですね、じゃなくて、そうだな」
時刻は22時。7時に起床するとして睡眠時間は約9時間。ちょうどいい長さの睡眠時間だし、さっさと寝よう。
「ところで…そんなにくっつかないでほしいんだけど…」
「どうしてだい?これなら君が寝てる間に異変があったらすぐに対応ができるだろう?」
「それはそうだけど…」
暑い!もう6月中旬だぞ!?くっつかないでほしい!
「すー…すー…」
「もう寝たのかよ…」
まぁ、明日は離れて寝てもらおう。でも最後に思ったことがあるから言わせてくれ。
「医療用ベッドに2人でくっついて寝るなんて聞いた事ねぇよ」
病室に暴走列車を持ち込むのはやめましょう。