閑話② アカシアちゃんの心の内
今回から閑話(イサギくん以外の視点など)を少し挟みます。
私の名前は明石 愛。音女高校に入学したばかりの新入生です。今年から共学になると聞いていましたが、私には関係ありません。男子とは話す機会もないし、地味で根暗な私と話したい物好きさんなんているわけがないだろうし…
と思っていた時期がありました。
まさか、音高で唯一の男子に話しかけられるなんて…
「こ、こんにちは、明石さん」
(えっ?男の人?もしかして…)
私は教科書を読むのをやめて少し視線を上にあげた。
(確か…疚無くん、だっけ)
とにかく返事をしないとと思い
「…どうも、疚無くん」
(どうしよう…やっちゃったかも…無愛想だったかな、第一印象悪くなっちゃったかな…)
「僕の名前、知ってたんだね」
(一人称「僕」だったんだ…意外かも。入学して翌週に右眼に痣つくってたからワイルド系だと思ってたけど…)
「有名ですから」
「僕って有名なの?」
この質問には少し驚いた。
(共学になったのに男子1人だからすごく目立ってると思うけど…あまり気にしないのかな。健全な男子高校生ならハーレム万歳!って喜んでると思ったのに…)
どうやら疚無くんも読書(予習)をするようだけど…何の教科書を読もうか迷っているみたい…
「転生系、追放系、無双系…」
何を言っているのかさっぱりで困ってたら後ろから水野 白根ちゃんが来てフォローしてくれた。
そもそも疚無くんは教科書を貰ってなかったみたい。
その後校長先生が疚無くんのお母さんだったことにも驚いたし何よりも目の前でミニ親子喧嘩を見せられて
(疚無くんって今まで出会ってきた男子と違う気がする。どことなくキャラが掴めないような…)
なんて考えてたら自然と笑顔が溢れていたことに私自身驚きを隠せなかった。
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疚無くんはとても不思議な人。教科書やノートの名前欄を見て突然発狂したり、体力づくりを兼ねて火鋏を持ちながらゴミ拾いをしたりするそうだ。たぶん周りの人は「変な人」「おかしな人」と纏めてしまうかもしれないけれど、私はおもしろい人だと思ってる。
体育祭が来月末にあるので一緒に走らないかと誘われた。
(もう少し疚無くんに近づいてみたいし、名前で呼んでもいいかな)
「潔くんって呼んでもいいですか?」
さすがに距離の詰め方を間違えたかもしれない…いきなりすぎたかも…と早々に反省していたら
「うん!もち!いいよ!」
と返事をくれたので私は少し幸せな気持ちになった。
「じゃあ、僕はアカシアちゃんって呼ぶね!」
私も白根ちゃんも頭の上にハテナが浮かんだ。
(今なんて言ったんだろう?)
そう思って2回聞き返したけど間違いなく「アカシアちゃん」と言っていた。
(独特なネーミングセンス…下の名前で呼んでくれてもよかったんだけどな…)
半ば強引に納得させられたような気がするけど…やっぱりわからないな、潔くんのキャラクター。
(でも、はしゃいでるところ、ちょっとかわいい…)
体育祭に向けて体力づくりしないかどうか誘われて思わず返事をしてしまった。
(誘ってくれたのは嬉しいけど白根ちゃんと潔くんの間に割って入るなんて…よかったのかな…)
アカシアちゃんの可愛くて純情な感じが伝わればいいなぁ…
投稿遅れてすみませんm(_ _)m