142話 自由は解放か束縛か
瑠璃視点です。短めなので早めに投稿しました。
「ほう…因縁とはな…お前、就任前に何をしでかしたんだ?」
「嫌だなぁ、叔母さん。何もしてないよぉ、イッサと一緒にこの子を助けてあげただけだってば」
「本当だろうな…?嘘だったら…」
「ほんとほんと!本気なんだって!イッサか生徒会長ちゃんに聞いてみればわかるから!」
「ふんっ。織部が同じ場所にいたのなら間違いないだろう」
「私、どんだけ信用されてないのよ…」
「それで因縁とはどういうことだ、唐草。コイツの話が本当なら因縁ではなく恩人なんじゃないか?」
確かに彼女は命の恩人だ。だけど、この人が命の恩人だったとしても背に変えられないものはある…!!
「昨日は確かに助けられました。そのことは私も感謝しています」
私が謝意を示すと新任教師は安堵の表情を見せた。
「ですが!その人は、い、潔くんの愛人と言っていました!もし彼女の話が本当なら不純異性交遊にあたるのではないでしょうか!」
「…ほう。お前…いや、貴様…どうやら我が愚息と同じ目にあいたいようだな…」
「いやいや、叔母さん、瑠璃ちゃんはただ嫉妬してるだけだってば。それにこの学校は何から何まで自由なんでしょ?それなら不純異性交遊にはならなくない?」
「ふむ。それも一理あるな」
再び新任教師は安堵の表情を見せたが私は納得がいかない。それにさっきから校長先生をおばさん呼びするとは不敬が過ぎる。
「校長先生〜、さっきからおばさんって呼ばれてるけどその人とはどういう関係なんですか?」
「おや、そういえば自己紹介がまだだったか。おい、さっさとしろ」
「はいはい、扱いが雑なんだから…コホン、改めまして疚無 勇校長のご紹介に与りました疚無 弥勒と申します。これから1年間…1年未満かな?よろしくお願いします、皆さん」
「えっ、疚無って…」
「勘のいい者は既に察しているかもしれないが、弥勒は私の姪だ。つまり潔は弥勒の従兄弟ということになる。先程愛人を名乗っていたようだが、あまり冗談は間に受けないようにな。コイツの冗談を本気で相手にしていたら時間の無駄だからな」
「愛人は確かに自称だけど愛人っぽいことは結構してるし…あっ、これ、秘密なんだっけ。てへっ☆」
なんだか痛々しい担任だ。潔くんも痛々しい一面を見せるが弥勒先生はより一層痛い気がする。
「弥勒先生の担当科目はなんですか?」
「担当科目は体育だよん♪昨日1日でクビになった先生がいるらしいけど私はそうならないから安心してね♪」
1日でクビになった体育教師…あぁ、潔くんの兄君か。結局学校で会うことなくいなくなってしまった。
「ところで!その!イッサという呼び方はなんですか!?」
「えー?別によくなーい?この学校は自由なんでしょー?」
むむむ…彼を巻き込むのは気が引けるがこうなったら私の持ちうる全てのカードを切るしかない。
「校長先生、風紀委員長として生徒の呼び出しを行います」
「ふむ。いいだろう。誰を呼び出すんだ?」
「…疚無 潔くんです」
その頃、イサギは…
「や、疚無 潔くん、あなたは…授業の邪魔なので…学校に来ないで…ください…」
「………えーっと、わっ………かりました」
追放宣告されていた。
イサギに会心の一撃…!これは痛い!
次話はイサギ視点でお送りします。