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138話 義妹と従姉はキャラがブレすぎ

遅くなりました。さきほど私用を終えてきました。長めになりました。

 唐草 瑠璃と織部 和の2人と別れた後、イサギは従姉妹の弥勒と一緒に帰宅していた。突然の教師就任ラッシュにイサギの頭はパンク寸前だったので情報を整理することにした。


「弥勒姉、教師を頼まれたのはいつ?誰から?」


「んあ?今日、(いさみ)叔母さんから」


 なるほど。今日、母親から頼まれたと。ふむ。今日!?今日ってことはさっき!?つまり兄貴はクビになったんだな!それは朗報だ!だけど相変わらず母さんのやることは突拍子が無さすぎる!判断が早い!


「ちなみに担当科目は?」


「体育」


 あちゃー…まぁ、弥勒姉の方が兄貴よりも接しやすいし学生ウケもいいだろうな。


「あとクラスを受け持つことになったよん♪」


「なんっ…!?何年生の何組…?」


「3年生のE組だった気がするよん♪」


「よん♪」じゃねぇから!そんなノリで話せる話題じゃないんだよん♪!?待て、落ち着け、3年E組…知ってる人がいる気がする。それもすごく絡んでくる先輩…誰だったか、もうわからん。そうだ、俺が考えても仕方ないことだろう。俺が悩もうが既に決まってしまったことは変えられないんだ。現実を受け入れよう。


「言い忘れてたけど、同居人がいるから。家に着いたら紹介するよ」


「えぇ!そうなのぉ!?なぁんだ、お姉ちゃんと2人きりじゃないのかぁ、残念残念♪」


 こんな痴女と2人きりなんてさすがの俺も追い出してるわ。それか俺が出ていくか。


「どんな子?同い年?仕事仲間?」


 えぇい!一気に質問をするな!


「人懐っこいやつ。同い年。仕事仲間じゃないし俺は無職の学生だ!」


「へぇ〜、どんな子なのかなぁ、楽しみだにゃん♪」


 キャラ!キャラが!大学2年生だからまだ許される(?)けど一定層にしかウケないキャラになっとる!従兄弟として恥ずかしいから絶対に学校で出さないでほしい一面が出ちゃってる!




「相変わらず質素なアパートに住んでるねぇ。私の家に来ればいいのに〜」


「断る。(かしま)しいのはあまり好きじゃないんだ。知ってるくせに」


 弥勒姉の…従姉妹の家族は仲睦まじいので全員同じ家に住んでいる。それも都市部の一等地!羨ましい限りだ。うちはどうしてあの山奥から引っ越さないのか不思議だ。


「ママンも妹たちもイッサに会いたがってるのにぃ…どうしてぇ?」


「ただでさえ身内が過保護なのにどうして従姉妹からも過保護という名の寵愛を賜らないといけないんだ…」


「むふふ、イッサのそういうところが可愛いんだけどにゃぁ…わからないかにゃぁ」


 猫又か?猫娘か?怪異か?そういう類の何かに取り憑かれてる気がする。伯母さんと従姉妹たちが心配になってきた。これがもしキャラだったとしても心配だ。


「ただいまー、帰った…ぞ…」


 俺の声が小さくなる理由がお分かりだろうか。


「おかえり!お兄ちゃん!遅かった…ね…」


 撫子の元気に出迎える声が段々と小さくなっていく。


「ただいま!帰ったよん♪」


「誰!そのえっちなスーツで隠しきれないえっちな体型の女の人!ナンパ!?ナンパしたの!?ナンパされたの!?」


 えっちなスーツというのはライダーススーツのことだろう。撫子は偏った知識を持っているせいで女性のライダーススーツを()()()()()で見ているらしい。お兄ちゃんは悲しいよ…だがライダーススーツのせいで弥勒姉の凹凸(おうとつ)のある体が際立っているのは同感だ。もうちょっと…あれだ、なんとかしてほしい。


「ちょっと待て!人にえっちとか言う前に自分がどんな格好をしてるか見ろ!」


 撫子の格好は素肌にエプロンを着用した伝説のフォルム、現代社会に実在するかどうか…存在すらも曖昧と言われている「裸エプロン」だった。そして何故か片手にお盆を持っている。何をするつもりだったんだろうか…


「きゃあああああああああ!!!見ないでぇ!!!」


「いてぇ!!!」


 お盆を思い切り顔面に叩きつけられた。超痛い。





「あれれぇ?同居人って女の子だったのぉ?」


「そうだよ。けど、(やま)しい関係とかじゃないからね」


 今の姿を見られてよく言えるな、俺氏。


「それはわかってるわよぉ。疚しい関係は私とだけで充分だものぉ」


義妹(いもうと)の前で誤解を産む表現をするのはやめてもらえないかな、従姉妹の長女さん」


「義妹?この子が?どういう経緯で?」


 俺は撫子との出会いから体育祭後までのことを大雑把に説明した。ニコニコとした微笑みも途中から消え真剣な表情をしたかと思えば突然涙を流し始めた。


「うっ、ぐずっ、大変…だったんだね…ぐずっ」


「ミロクさん、私はお兄ちゃんに感謝してもしきれないくらいの恩をいただきました。女性として、義妹として、お兄ちゃんと一生一緒に生きていく所存です」


「いや、そこまでの恩を感じる必要は…」


「あるもん!」


 いつにも増して真剣な義妹と情緒不安定な従姉(じゅうし)、俺の周りはいつも混沌に満ちている。撫子は俺の言葉を遮りフンスと鼻を鳴らしている。俺はそんなに大層なことをしたつもりはないんだけどな…


「撫子ちゃん…私の事、お姉ちゃんって呼んでいいからね!」


「やめといた方がいいぞ。弥勒姉の妹たちが不平不満を言う姿が容易に想像出来るから」


「じゃあ、2人きりの時はそう呼んでいいからね!」


「うん!ミロクお姉ちゃん!」


「ぎゃぁー!きゃわいい!!!」


「そんな絶叫しなくてもよくないか…?2人も妹がいるじゃないか…」


「3人目の妹にイッサという弟がいて、アタイ、幸せだわん♪」


 さっさとキャラを統一してくれないだろうか。


「ところで、さっきはお義兄ちゃんに御奉仕しようとしてたのかしら?」


「い、いや、あれは、その…あっ!ミロクお姉ちゃんに相談があるの!お兄ちゃんはお風呂にでも入ってきて!」


「お、おう。わかったよ…」


 弥勒姉と撫子はすっかり意気投合してしまったようだ。これは嬉しいことなのか悲しいことなのか…残りの従姉妹たちが騒がなきゃいいけどな…


「てか、泊まっていく気かよ…」


主人公のキャラがブレるとそれは他の登場人物にも影響するらしい…作者泣かせですね。

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