134話 生徒会長は崇拝される。風紀委員長は憧憬を抱かれる。
投稿が遅くなってすみません。
瑠璃視点で続きます。
幼馴染で親友の紫苑に背中を押された私は潔くんのために、汚名返上するために、すぐにアクションを起こした。
「失礼する。織部 和はいるか?」
この学校は2年次からA組、B組、C組は文系、D組とE組は理系というようにクラスで文理がはっきり分かるようになっている。また3年次の文系クラスは進路によってさらに細かく分けられる。A組は就職組、B組は短大や専門学校組、C組は国公立組となっている。
生徒会長である織部 和は3年C組に所属している。成績は常に1位、運動神経抜群、才色兼備とはまさに彼女のことをいうのではないか。
「はいよ。何か用事か?瑠璃」
「和!」
「うん?」
「く、悔しいが…潔くんが和と2人きりで話がしたいそうだ…2人きりで…」
「何を悔しがっているんだ…別に深い意味ではないだろうに。大丈夫だ。私は瑠璃を応援している。叶うかどうかはさておき、一生応援するつもりだ!」
そこは嘘でも叶うと言ってほしかった…
「さて、彼は私に何の話をしようと言うのだろうか。心当たりは…ないけどな」
「もしも万が一、億が一…兆が一でも恋愛相談をされそうになったらすぐに話を切り上げるんだ!いいな!?」
「どれだけ心配しているんだ、お前は。大丈夫だって。私は彼を気に入っているだけで恋愛感情は持っていない。それに彼が私に恋愛相談をするような男に見えるか?見えないだろう?」
「むむ…それもそうだが…」
「どうせ紫苑にも説得されたのだろうが納得がいかないんだろう?ここでごねられても仕方がない。今回は私が彼に瑠璃を同席するように頼もう」
「ほ、本当か!?」
「今嘘をついてお前の機嫌を損ねても私に得がないだろう。私は得がないことはしない」
和は得のないことをしない所謂省エネ人間…つまり、今回潔くんと話すことに何かメリットを見出しているということだろうか。
「じゃあ、今から彼の教室を尋ねてみようか」
「その前に職員室に寄ろうよ。生徒会長と謁見する方法を先生たちに聞きに行ってるかもしれないし」
「ふむ。一理ある…が、謁見とはなんだ。私は王様じゃないんだけどな」
この学校の生徒は和を崇拝してる節があるからあながち間違ってない気がするけど。
『…でして、警察署からも是非感謝状を受け取ってほしいと連絡が来ているのですがいかかでしょうか』
『素晴らしい!あの子はこの学校の誇りです!』
『あの新入生が入学してからこの学校は変わり始めましたよね。体育祭で大事件を起こしたものの最終的には収まるところに収まりましたし』
『けれど彼はそういったものには興味がなさそうですし自分から受け取ろうとは思わないのでは?』
『『わかる〜』』
「失礼しま…」
「待て。どうやら先生たちが話しているようだ。それに彼もいなさそうだし教室に向かおう」
いつもはコーヒーの香りで充満し空気の張りつめた職員室が今日は生徒だけではなく教師全員が出勤していることもあるのか何やら楽しげな雰囲気だ。
「そうだね。そうしようか。それにしても先生たち、なんか嬉しそうじゃない?」
「そうだな。何の話だろうか…」
私たちは先を急いでいたのですぐにその場を離れたのでどんな話をしているのか聞くことができなかった。
「失礼。疚無 潔くんはいるか?」
「せ、生徒会長と風紀委員長!?潔くんならさっき帰りましたけど…」
「そうか…一足遅かったか。わかった。日を改めよう」
いなかった。本当に帰ってしまったのか…或いは和を探していて私たちと入れ違いになってしまったのか…昼休みのことを後悔しながら廊下に出て和を待っていた。
「あ、あの…」
「む…君は明石 愛さんだったか?」
「は、はい。生徒会長に覚えていただき光栄です」
「ふふ、そう畏まらなくてもいい。それでどうかしたのか?」
「潔くんならいつものところにいると思います」
「ふむ。何か心当たりがあるようだな。ぜひ教えてほしい」
「はい。潔くんがいる場所は………」
「なるほど。教えてくれてありがとう」
「いえいえ」
廊下で待つこと数分、ようやく和が教室から出てきた。私は既に諦めていた。
「…今日はもう帰る?」
「いや、居場所がわかったから今から向かおう」
「本当に!?」
「ああ。明石 愛さんには後日改めて礼をしなければな」
いちいちそんなことするから崇拝されるんだよ。でも今回は本当に助かった。ありがとう、愛さん。
長くなりそうだったので途中で切りました。続きは今夜投稿予定です。