閑話⑤ 交錯する思惑 後編
ガチで遅くなりました。
ツインテドリル先輩視点です。
この先輩はいろいろとズレています。
お父様が私に疚無 潔と友好関係を築くように命令してきたのは5月の体力テストの後のことだった。
『柘榴よ、疚無家の次男が音女高校に入学したらしいな』
『ええ、そうですわ、お父様。しかし、あの者は今までの男たちとは全く違うようですわ。地位にも名誉にも富にも名声にだって関心を示しませんもの』
私はその時既に1回目のアタックに挑戦し無様に失敗していた。まさか名前すら名乗らせてくれないなんてっ…!
『ふむ…噂通りだな』
『噂とは?』
『彼は自分で手に入れた金を民のために使っていると聞いた。金欲も野心も皆無な少年でな…噂によると疚無家から出ようとしているとか』
そんな男がこの世におりますの?金にも女にも目が眩まない野望のない男などいるはずがありませんわ。それに疚無家といえば古来よりこの街を支えてきた大百姓。領主と言っても差し支えない御家。その家を出るですって?みすみす貧乏になりたがるだなんて疚無 潔という男は何を考えているのでしょうか。
『そこで柘榴には彼と友好関係を築いてほしいのだ。そうすればいずれは疚無家と禊萩家の間にパイプが繋がり我が家が潤うだろう。欲を言えば彼が疚無家を出たら婿に来てくれればいいのだがな…まぁ、そう上手くはいくまい…ふふふ』
お父様でさえ、金欲や野望に満ち溢れているというのに…
6月中旬、疚無 潔が再び登校し始めた。そして絶好のチャンスが到来した。それこそ合同授業!そして鬼ごっこ!親睦を深めるだなんて、あの新任教師、頭は悪そうですがなかなかわかっているようですわね。しかし、追いかける側に彼が行くというから黙っていればあの栗教師は、しれっと彼を逃げる側に置くなんてッ…!
いつもの私ならここで諦めていましたわ!ですが、神は私を見捨てなかった!3年生のやる気がなくて助かりましたわ!私は彼の隣に立つ権利を得ることができた!しかししかし…2人も邪魔者がいたのです。
とりあえず彼に再度アタックするためには彼の周りに群がる女が邪魔ですわね。あることないこと言って屈服させましょう。そして、私は2人で授業を抜け出してゆっくりとお茶でも…
そう思っていたのにっ…!!
「ホホホ、私は1人で逃げ切ってみせますわ!どんな手を使ってでも!」
なぜこんなことを言ってしまったのでしょうか、私は…!2人で手を取り合うということがなぜ出来なかったのでしょうか…
そして畳み掛けるは…
『HeyHeyHeyHey!突然始まる鬼ごっこ!逃げ続けるのは女の子!追いかけるのは男の子!叱責上等!自由な高校!校内放送マジ最高!』
この酷いラップ…!あの栗頭…!許しませんわ!もう逃げるのはおしまい!今度はこちらから行きますわよ!禊萩家の特殊執事部隊を総動員してでも彼を捕らえてみせますわ!!
こうして、普通の鬼ごっこはいつの間にか陰謀が渦巻く鬼ごっこに変わっていった。ある者は自分の鬱憤を晴らすため、ある者は1人の男子生徒に近づくため、そしてある者は(力づくでも)非礼を詫びさせるために…
最近投稿が遅くなりがちですみません。やる気が起きない…というよりインスピレーションが湧いてこないと言った方が正しいのかな?投稿頻度が少なくなったり時間通りに投稿出来ないかもしれませんが1日1回は必ず投稿します。これだけは曲げないッッッ!!
次話は投稿時間ランダムです…ごめんなさい…