閑話④ 交錯する思惑 前編
海視点での閑話です。兄には兄なりの考えがあったのです。ただのど素人ラッパーじゃないんです。短くてすみません。
「君、名前は?」
「オーホッホッホ!名前なんてとうに捨てましたわ!」
「はい、君の評定1ね」
「嘘ですわ!冗談ですわ!禊萩 柘榴ですわ!」
…は?なんだ、この女は。また弟に取り入ろうとする輩か?それにしてもこの学校は本当に多いよな。男1人に集りすぎだろ。禊萩家なんて聞いた事もねぇわ。ぶっ潰したろか…おっと、いかんいかん。ブラコン危険思想が出てしまった。時間も押してるしさっさと始めるか。
「じゃあ、春野、桔梗、禊萩、潔は準備運動して5分後に逃走開始。他は準備運動して10分後に追走開始な」
潔が禊萩とかいう変な女と言い合いをしていると春野が間に割って入り双方を宥めようとした。
「まあまあ、2人とも落ち着いて!」
「うるさいわね!あなたは春野さんでしたか?お姉さんはバレーの強化選手のようですが、あなたは足を引っ張っているようですわね。姉妹でも運動神経は似ないようですので毎日ご苦労様ですわ。ホホホ」
ほほう…なるほどなるほど。こりゃ使えるな。ただもう一声ほしい。
「桔梗さん?あなたには前々から言いたいことがあったのです」
「な、なんですか?」
「親のコネで副会長まで上り詰めた気分はさぞ良いでしょうね!ホホホホホ!」
ついつい頬が緩んでしまう。こいつはいい。教師なんてぶっちゃけ退屈だったがトラブルというのはなかなかどうして心を躍らせる。やはり、と言うべきか。この女の狙いは潔。正確には疚無家だろうな。
「逃げる側、そろそろ行けー」
コイツら4人は先に行かせて残りの生徒は授業内容を変えるか。
潔はなかなかざまぁというやつをしたがらない。理由は明確だ。潔は優しすぎる。自分が酷い目にあおうが相手の将来を優先しすぎる。うつ病になってからは特に顕著に見られる。だが、俺はそれに納得しない。納得できない。なぜ弟だけが酷い目にあわなければならないのか?余計なお世話と言われるのは承知の上だが、この女にはストレス発散もとい報復対象になってもらう。
ようやくアイデアが…まぁ、閑話ですけど。中編はないと思います。