122話 蛙の子は蛙、その兄弟も蛙
似たようなタイトルをつけた時がある気がします。
遅くなりました。
「よしっ、お前ら、急遽授業内容を変更することにした」
海は手を2回叩き追いかける側になる予定だった生徒達に声をかけた。
「は?」「鬼ごっこじゃねーんすか?」「どういうことですか?」
「お前たちの不満はもっともだ。それについては申し訳なく思っている。だけどここは弟の顔を立ててくれないだろうか」
「うわっ、サイテー」「クズ教師」
「イサギくんの許可もなくそれは酷いと思います!」
「えーと、明石ちゃんだったか。潔が懇意にしている君に言われるのが1番心にクるなぁ…」
「いくら兄弟だからってやっていいことと悪いことがありますよ!イサギくんが悲しむことはやめてください!」
「ムム…そうだな。潔の顔を立てさせるのはやめよう。それも含めて俺が悪かった」
「それでいいのです!」
愛が海に頭を下げさせると周りの生徒は拍手をした。
「よし、気を取り直して授業を再開するぞ」
「気を取り直すの早くないですか!?」
「だって、時間もったいないし。この学校は夏休み明けに球技大会があると聞いた。ということで、球技大会の練習を各自にしてもらう。どの球技を選択するかは自由だ。怪我しないようにウォームアップはしっかりなー」
海は早口言葉で生徒に有無を言わせずに授業内容を伝えた。生徒らはさっきよりもまともな授業内容だったため各自渋々ながらも練習を始めた。
「あ、1年D組委員長、来てくれ」
海は思い出したかのように委員長の平子を呼んだ。
「はいっ!なんでしょうか!」
「今日は水野は欠席か?」
「体調不良で欠席と聞いています!」
「そうか。ありがとう。行っていいぞ」
「はいっ!」
「ふむ。体調不良…か。嘘か真か…神のみぞ知る…」
海の厨二病は健在だった。
―その頃イサギ達は…金髪ツインテドリルを追いかけていた…のだが廊下をのんびりと歩いていた。
「イサギくん、走らなくていいんですか?」
「走ったら疲れるじゃないですか。ドリル先輩が行くような場所、知ってるんですか?光先輩」
「うぅ…知らないです…」
「でしょぉ?」
「潔くん、先輩にドヤ顔でマウントしてる場合じゃないよ…」
「そういえば光先輩、俺の事を名前で呼ぶようにしたんですね」
「はっ!周りがそう呼んでいたので、つい呼んでしまいました!ダメ…でしたか?」
そんなに目をうるうるさせられたらさすがの俺も困るんだが…
「いや、ダメじゃないです」
「そういう君はようやく私のことを先輩呼びしてくれるようになりましたね!」
「学校ではそうしようかなと」
「校外でもそうしてほしいのですが!」
「先輩がそれを望むならそうします。けど本当にそれで良いんですね?」
「何の確認か分かりかねますが、そうしてください!」
「はぁ…わかりました。一生、先輩は先輩ですね」
「イサギくん、そういえば私の事、名字で呼んでたけど…」
「そうだな。それがどうしたんだ?」
「いや、いいけどさ!ふんっ!」
機嫌を損ねさせてしまったようだ。何がいけなかったんだろうか。姉と区別させるために春野と呼んだことの何がいけなかったのか…神のみぞ知る…
イサギと海はやはり兄弟だった。
彼らの厨二病は治りません。ただし彼らは普通の厨二病ではありません。
次話は作者の腹痛が治り次第投稿します。