14話 クラスメイト曰く「私たちの出番、まだ?」
やっとこさクラスメイトが登場します。
廊下で白根と話しながら勝手に過去を振り返っていた俺は周りに誰もいなくなったことにようやく気づいて慌てて教室に入った。完全にしてやられた。教室に1番最後に入るのは目立つ!
何度でも言おう。この学校は自由だ。朝のホームルームだけ顔を出して帰る者もいれば部活動に行く者もいる。朝のホームルームにだけ顔を出して帰る者は連絡事項だけ聞きに来たのだろうか。
各学年各クラスきっかり35人。今日の1年D組の1限は数学。クラスには俺と白根と明石 愛さんだけしかいなかった…
「えー、今日は数学の先生が休みなのと人がいないので自習にします」
担任の梅ノ木先生はそう告げて職員室へ戻った。
やばい…この調子じゃ毎日自習になってしまう…
「ねぇ、潔」
名前を呼ばれたので顔を上げると離れた席の白根がいつの間にか俺の前の席に座っていた。
「せっかくだから明石さんに話しかけてみたら?」
「うーん…まぁ今は1人だから話してみようかな…」
最前列の廊下側が明石さんの席だ。ちなみに俺の席は最後列の窓側。真反対で対角である。
今は本を読んでいるみたいだ。邪魔してしまうようで申し訳ないが…
「こ、こんにちは、明石さん」
「…どうも、疚無くん」
「僕の名前知ってたんだね」
「有名ですから…」
「僕って有名なの?」
「男子は1人だけだから当然かと…」
「そ、それもそうだね、あはは…」
白々しくしらばっくれてみたがあっさり返されてしまった。
「今何してるの?」
「読書してました」
「何の本?」
「読書とは言えないかもしれませんが教科書です。予習してました」
「そうなんだ。実は僕も教科書読もうと思ってたんだよ」
「何の教科書ですか?」
「う〜ん、少し迷ってるんだよね」
「迷うというと?」
「転生系にしようか、追放系にしようか、無双系にしようか…」
「…は?」
明石さんは間の抜けた返事をした。状況がわからないようだ。
「どれがいいと思う?」
と聞いたところで後ろから白根が
「あーーっと!潔!何を言ってるのかな!?」
「何って予習の話だろ?」
「明石さん、困ってるよ?」
「何に困ってるの?」
「疚無くんの教科書って…」
「ラノベだよ」
「「………」」
しばらく沈黙が続いた。
明石 愛ちゃんは黒髪ショートカットで小柄なメカクレ読書少女のイメージです。作者は相当タイプです。
次話も明石ちゃん回です。
明石 愛
元ネタ「アカシア」
花言葉通りのキャラクターにする予定です。