118話 久しぶりの登校って緊張しませんか?
久しぶりに登校するので久しぶりのキャラがわりと出ます。皆さんは覚えてますか?ちなみにイサギはほぼ忘れてます。
通学路に夏服JKが多すぎる。まぁ、当然のことなんだけど。久しぶりに登校してみて改めて思ったことがある。
「やっぱり1人だけ私服は浮いてるな」
「仕方ないじゃん?男子1人だけしか入学しなかったから予算の都合で制服作ってもらえなかったんでしょ?」
「それはその通りだし、言い分が分からないわけじゃないが…」
1人だけでも入学したのだから来年度以降の入学者のためにも制服くらい作るべきではなかろうか。てか、予算の都合って言うけど、体育祭の無駄な設備投資を削減したらだいぶ余裕出来ると思う。
「まぁ、いいか。この学校は自由なのが取り柄だし」
待てよ。自由が取り柄で制服登校と私服登校のどちらかが選択できるのになぜ今日は制服で登校する生徒が多いんだ?
「なぁ、今日、制服で登校する人多くないか?」
「今日は新任の先生の紹介があるからだよ」
「なるほどな。全校集会か」
この学校は基本的に自由だが強制される行事が時々ある。体育祭や定期考査が良い例だ。学校行事は体調不良や身内に不幸なことがない限り原則参加しなければならない。定期考査はカンニング防止のため強制登校となっている。そして全校集会は入学式や卒業式、終業式など来賓が伴う場合は制服で登校しなければならない決まりになっている。尚、今年度の男子生徒は1名であり制服がないため別室登校をすることになっている。
「…俺だけハブられるやつじゃん」
「…私もそれはどうかしてると思ってるよ」
制服作らないって決めたの自分たちのくせに学校の面子を保つために来賓が来た場合男子生徒をハブるっておかしいよなぁ!?まぁ、別に集会に参加したいわけじゃないけど、なんか違うくない?
「どんな先生が来るんだろう?」
「確かグズマ先生の代わりに入ったとかなんとか…グズマ先生の代わりってことは体育教師ってことか」
「いいえ、体育教師は他の先生が受け持つみたいですよ」
いつの間にか横を歩いていたのは…
「あんた、誰?」
「えっ!?忘れてしまいましたか!?撫子さんはわかりますよね!?」
「えっと、えっとね、ちょっと待ってね」
撫子も思い出せなさそうだ。こんなに影の薄い人物はいただろうか。
「もう!私ですよ!梔子 雅です!」
梔子 雅…あぁ、一目惚れしそうになった子か。俺の中の美女ランキングでは温泉旅行の時に出会った白肌美人が圧倒的に1位になっていたから忘れていた。
「悪い悪い、思い出した」
「撫子さんも思い出してくれましたか?一応クラスメイトなのですが!」
「ごめんね〜私、オンライン勢だからさ、許してっ!」
「許しますっ!」
許すんかい。
「雅って体育祭の時クラスメイトを庇って自分だけ悪役になろうとしたカッコイイJKだよな」
「それを言っちゃったら全然かっこよくありませんし、カッコつけようとも思ってません!」
「へぇ、みやっちってカッコよくて可愛いんだね!つまり無敵ってコト!?」
「そういう事だな」
「そんなことないです!煽てないでください!」
うわぁ、顔真っ赤ぁ、照れてるわ〜褒められ慣れてないんだろうなぁ。
「ところで、新任の体育教師って結局誰なんだ?」
「私の恩人です!イサギくんに謝るきっかけをくれた人です!」
「ふーん。誰だろう。心当たりがないな」
「男の先生らしいですよ!」
「へぇ、そりゃまた珍しい」
俺に謝るきっかけを与えた男…か。誰だろうか。
久しぶりの登校、クラスメイトの反応はどうだろうか。4月の初登校を思い出すなぁ。あの時は白根に手を引いてもらって教室に入ったんだっけ。それから早1年…ではなく、まだ2ヶ月しか経ってないのに…何なんだよ、この充実感。もう新入生じゃなくて一端の高校生って感じがするんだが。
教室のドアの前に立つイサギ。廊下には誰もおらず、D組も隣のE組の生徒も全員教室にいるようだ。時間に余裕を持って家を出たはずなのに、のらりくらり登校しているうちに最後になってしまった。
「せめて誰かしらいれば一緒に入れたのに…緊張する…」
教室に入るだけなのに、ドアを開けるだけなのに、深呼吸をしてから…いざ!
―ガラッ
「おは…」
「おはよう!イサギくん!」
「おはよう!疚無くん!」
「「「おはよー!!!」」」
挨拶を言い終える前にめちゃくちゃ挨拶された。1番最初に挨拶をしてきたのは梅ノ木先生だった。なんでもういるんだよ。他のクラスの先生はまだいなかったのに。
「お、おはよう…ございます…」
ついつい圧に負けてしまった。自分よりも大柄な男にマチェットを向けられても負けない俺がJKの挨拶の圧に負けたという…なんとも言えない屈辱感だ。ただ悪い気はしなかった。
「久しぶりです!元気でしたか?」
「えっと…平子だっけ?」
「そうです!よく覚えていてくれました!」
名前を当てただけで手を握られて目をうるうるさせたのは委員長の氷田 平子。相変わらず元気そうだ。
「氷田さん、そこまでにして。そろそろ体育館に行くわよ。イサギくんはごめんなさい。保健室で待っててくれる?」
「わかりました」
別室登校をする前に必ず先生に顔を見せないといけないのだが、教室にいてくれたので職員室に行く手間が省けてよかった。
「じゃあ、また後でな」
「後からまた来てくれるんですか?」
「一応授業受けていくつもりだけど…俺がいるとまずかったか?」
「いえ!一緒に!これからも!勉強しましょう!!」
「わ、わかった、わかったから」
クラスの中で1番圧が強いのはこの女だった。
投稿が遅れてすみませんでした。なんとか昼に投稿できました。作者はお盆ぼっちなので家族が出かけている間は家でゴロゴロしてます。
次話も投稿が遅れる可能性があります。ご理解よろしくお願いします。