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閑話① 瑠璃と紫苑

章が切り替わったので閑話カウントをリセットしました。


今回は春野 菜花の姉の紫苑視点です。

 イサギくん達が温泉旅行に行っている間、私と瑠璃は学校で自主学習していた。


「ねぇ、紫苑…今頃イサギくんは先生たちとあんなことやこんなことをしてるのかな…」


「瑠璃…それもう耳にたこができるくらい聞いたわ」


 瑠璃はさっきからずっとこんな感じで勉強し始めたかと思えば顔を机に突っ伏してボヤいたり、ため息をついたりよ繰り返しだった。正直…相手にするのがめんどくさい。


「だって、あの梅ノ木先生と夏原先生だよ!?スレンダーでクールで女子からもモテる梅ノ木先生と低身長の頑張り屋妹キャラで人気を博す夏原先生と旅行なんて…!んん?でも何も無い可能性の方が高いのかな?」


「何も無い可能性しかないでしょ。でも体育祭の時の梅ノ木先生を見たあとだと何かあってもおかしくないかもね…梅ノ木先生、恋愛経験なさそうだし…」


「ねぇぇぇぇぇ…なんでそんなこと言うのぉぉぉ?」


 ほらね。彼女はイサギくんを好きになってから女の子らしくなったかと思ったらめんどくさい性格になってしまい、ある意味女の子らしくなった。


「瑠璃、いい加減めんどくさいから帰っていい?」


「待って、紫苑!ごめん、私が悪かった!」


 これもさっきからずっと繰り返している流れだった。めんどくさいから逃げようとすると目をキリッとさせて謝ってくる。でも数分すればため息をつくので私の生気が吸われているのか士気が下がる一方だった。とりあえず話題を変えよう。


「そういえば聞いた?」


「何を?」


「転校生の話」


「知らない!イサギくん情報しか耳に入らないもん!」


 ここまで来るともはやストーカーなんだけど。他校から王子様扱いされてきた幼馴染が初恋でストーカー化してしまった件について。


「夏休み明けに転校生が来るらしいよ。確か4人姉弟だったかな」


「へぇ、多いね。なんで夏休み入ってもいないのに明けた後のことを知ってるの?」


「長女がSNSでかなり有名人なんだよ。音女高校に転校するって書いてたよ」


「この時代に住所特定されるようなことをわざわざSNSに書いちゃうんだね…もしかして常識が通じない感じの子?」


「うーん…どうなんだろうね。高慢な人じゃないといいけどね」


「長女は3年生とか書いてる?」


「それは書いてないかな」


「うぅ…イサギくんのクラスに誰も入りませんように…!」


 結局イサギくんの話に戻っちゃうんだよね…イサギくんって重い女の子、好きじゃなさそうなんだけど大丈夫かなぁ…


「そういえばその有名人さんの名字とか名前は載ってるの?」


「うん、えーとね、()()()だってさ」


「ウイエ…何語?」


「ごめん、それはわかんない」


「だよねー、でも響きから推測するとヨーロッパの方かなぁ。え、てことは、留学生?」


「留学じゃなくて完全に移住っぽいよ」


「へぇ、仲良くしたいなぁ」


 今の瑠璃と仲良くできる人は同じ価値観を持ってる人だけだと思うけど…少なくとも私は幼馴染じゃなかったら仲良くしてないよ。友達として幼馴染として、ちゃんと言っておかないとな…


「ねぇ、瑠璃、聞いて」


「なに?イサギくん関連のこと?」


 やっぱりそれしか聞かないよねー


「うん、関係あるかな。あのね、単刀直入に言うんだけど…」


「うん」


「瑠璃…最近めんどくさい」


「えっ?どういう…えっ?」


「イサギくん、イサギくんって典型的なめんどくさい女だよ」


「え、私、そんなに言ってた?」


「少なくとも今日だけで200回は聞いたよ。そんなんじゃイサギくんに避けられちゃうよ。イサギくん、めんどくさい子苦手っぽいもん」


「えっ、えっ、ど、どうすれば…」


 すごい。イサギくんパワーすごい。めちゃくちゃ慌ててる。


「前みたいにどっしり構えてればいいんだよ。無理に女の子っぽくしなくていいのに。瑠璃らしくいればいいのにイサギくんに恋してから変だよ?」


「そ、そうかな…」


「正直、瑠璃が男の子を好きになるなんて思わなかったけどイサギくんなら納得いった。けどね、イサギくんに好かれるために瑠璃が変わる必要なんてないと思うよ。イサギくんもいつもの瑠璃の方がいいはずだよ」


「そうなの?」


「だって前にウィッグかぶってきた時に保健室でそのままの瑠璃がいいって言われたんでしょ?」


「そ、そうだった…忘れてた…イサギくんの言葉を忘れるなんて不覚…!」


 だんだん以前の瑠璃に戻ってきた。


「よし!イサギくんのことは一旦頭の片隅に寄せてまずは勉強だ!」


「その意気だよ!良かったぁ…瑠璃が元に戻って…」


「そんなにめんどくさかったか?」


「めちゃくちゃめんどくさかったよ!私が嫌だってことは彼も嫌なはずだよ!」


「うっ…それはすまなかった…」


「言葉遣いも変わってるし!」


「本当に申し訳ない…気をつけるよ…でも、遠慮せずに言ってくれてありがとう、紫苑」


「どういたしまして。幼馴染だししんゆうなんだから当然でしょ?」


「ふっ、それもそうだな」


 本当に戻ってくれたみたい。よかった。めんとくさいままだったら本当に絶縁していたかもしれない。まぁ、イサギくんがまた登校するようになったらどうなるかわからないけどね…



今回から4章ですが本編にはまだ入りません。

お盆明けくらいから入ろうかな?


次話も閑話にします。

お盆期間中は投稿頻度が減り投稿時間がランダムになる可能性があります。詳しくは活動報告をご覧下さい。

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