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113話 この小説のヒロイン、落ち着きなさすぎでは?

愛視点です。

終盤も終盤です。

 もうすぐ潔くんが部屋にくる。潔くんが部屋にくると思うと緊張して私は部屋の中をクルクルと回っていた。


 ―コンコン


「は、はーい、どうぞー」


「起きてる?」


「潔くん、大丈夫だった?」


「うん。全然平気。先生は怪我したけど俺は無傷だよ」


「そ、そっか…」


 先生が怪我しちゃったんだ…


「それで話って?」


「あ、うん。あのね、あの、ごめんなさい!」


 やばっ!焦っていきなり謝っちゃった!


「えっ…友達やめます宣言?」


「いや!友達続けたいです!」


「じゃあ、なんで謝ったの?」


「私が馴れ馴れしくしたせいで潔くんを怒らせたから…」


「はて…?なんのことだ?」


「えっ?」


 当時の状況を説明しても潔くんは納得のいかない顔をしていた。私に対して怒ってなかった、とか?


「そもそも友達というのは距離が近いのが一般的じゃないのか?距離が遠いとそれはただの赤の他人じゃないか?」


「た、確かに…でも、梅ノ木先生と夏原先生には怒ってたじゃない?」


「あの2人はあくまで教師だし俺は友達として接してないよ。彼女らが勝手に名乗ってるならそれでいいけどね。どんな形であれコミュニティを拡げられるならむしろ有難いよ」


「えっ、てことは、私の早とちり…?勘違いってこと!?」


 うわぁぁぁぁ!!恥ずかしいよぉぉぉ!!葵ちゃんに恥を忍んで事情を話したのに…


「なんで顔を赤くしてるのかわからないけど…まぁ、誰にでも間違いはあるさ。んじゃおやすみ」


「待って!今日はどこで寝るの?」


「最終日くらい先生達と寝ようかなって。藍ちゃんはもう寝たと思うし」


 もっともな理由だった。彼は元々宿泊客。お泊まり会に呼んだわけじゃない。


「え?なに?俺と寝たいの?」


 潔くんのくせに!そういう感情ないってわかってるけど、どんな感情でニヤニヤしてるの!?


「ふ、ふんっ!別に!男の子と2人きりで寝るなんてはしたないよ!」


「そんなにむくれるなよ…あー、そうだな、じゃあ、夏休みに入ったら撫子と来るよ。これでどうだ?」


「えっ!ほんとに!?」


「やっぱ、友達は笑ってくれた方がいいな」


「あっ、うん、あのね、潔くん…」


「どうした?」


「いつも笑顔にしてくれてありがとう!私の笑顔を守ってくれてありがとう!これからは私が潔くんを笑顔にするから!」


「…なんか照れるなぁ。でも、ありがとう、よろしく頼むよ。期待してる」


「うんっ!」


 あーあ、学校でもこんなふうに話せたらいいのにな…でも学校には来てくれないんだもんね…


「あぁ、そうだ。来週から学校行くからまたよろしくな」


 潔くんは学校に来てくれない…来てくれない?来てくれる?


「来てくれるの!?」


「うぉっ!?どうしたんだ?そんなに嬉しいのか?」


「嬉しいよ!それはもうとびきり!潔くんが私より小さかったらジャイアントスイングしてたよ!」


「どこで学んだんだ、その技は…俺がしてあげようか?」


「いや、遠慮しておこうかな…とりあえず、楽しみにしてるね!」


「お、おう。そんなに楽しみにされても普通に登校するだけなんだけどな…」


 むふふ〜、潔くんと学校生活をリスタートさせるなんて幸せだよ〜


「じゃあさ!お弁当一緒に食べない!?」


「お、おう。いいけど…急にグイグイ来るようになったな」


「こ、これが友達としての接し方だよ!これが普通だよ!たぶん!」


「そ、そうなのか?愛が言うなら信じるけど…」


 私のことを信じてくれるのは嬉しいけど過信しすぎも良くないかも…


「それじゃあ!おやすみなさい!潔くん!」


「うん、おやすみ、愛」


 あー、勘違いは恥ずかしかったけど怒ってなくてよかった…葵ちゃんになんて弁明すればいいんだろう…うぅ、これからはもっと落ち着いて行動しよう…

イサギが愛をジャイアントスイングしたら遠心力で水平線の彼方まで飛びそうですね。


次話は昼に投稿予定です。

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