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109話 久々戦闘シーンあり

タイトル通りです。ほんのちょっとだけあります。


イサギ視点です。

「はぁっ、はぁっ…つ、疲れた…」


 寝起きに走らされてる状態なんだけど…これは辛い。今度から体育の授業くらいは出ようかな…


「お客様、まもなく夕食の時間ですがどうかされましたか?」


 後ろから男の従業員が話しかけてきた。


「あぁ…ちょっと外に飲み物でも買いに行こうかと思って」


「お飲み物なら中でも買えますが、それかご希望のお飲み物を夕食の配膳時に一緒にお渡しすることもできますよ」


 なんて素晴らしいサービス精神なんだ…!だが…


「ご配慮はありがたいですが、今すぐ飲みたいので」


 従業員に対して客が配慮なんて言葉を使うかわからないが、テキトーにあしらっておこう。どうせ、こいつは()なんだから。


「そうですか。ですが、夕食時に部屋にいていただかないと困りますので、出かける際はスタッフに一言お声がけ下さい」


「それはすみません。先程女将さんに言っておいたのですが…」


 …従業員の後ろに誰かいる。あれは…!()()だ…!


「そうでしたか。連絡はいただいていないのですが…」


「じゃあ、そういうことなんで!」


「チッ!おい!待てよ!さっきからこっちが丁寧に引き止めてんのによ」


「言葉を崩したら丁寧とは言わないぜ、おっさん!あと背後に気をつけろよ!」


「ハッタリか?そんなもん効くわけ…!?ぐはっ…」


 従業員は突然膝から崩れ落ちた。彼の後ろには薙刀を持った和服の女性が腰に手を当てて立っていた。


「ふぅ…助かりました、紅花さん」


「ふふふ、従業員の指導はお手の物ですよ、潔くん。こちらは任せてください」


「ありがとうございます!」


「あぁ、あともうひとつ…」


 足を止めて振り返ると紅花さんは影のある笑みを浮かべていた。


「できれば生かして返していただけるとありがたいのですが、ふふふふふふ…」


 この「ふ」の多さは…ごくり…


「わ、わかりました…今回の処断はお任せしますね…」


「ありがとうございますぅ!それではお気をつけて、ふふふ」


 片手に薙刀を持った紅花さんが手を振って見送ってくれた。薙刀武装状態の紅花さんはかなり心強い。100人が一斉に襲いかかろうが、彼女は一瞬で全員を死の淵へ追いやるだろう。


「紅花さんが異世界転移すれば間違いなく無双するだろうな…」


 無双しているところが想像出来てしまうからちょっと羨ましい。


 緊急事態なのにくだらないことを考えながら走ること5分、ヤバそうな林を見つけた。たぶんここにいるんだろうな…


 ―prrr prrr


『林の中に3人いる。以上だ』


 電話に出たら弟に報告だけされて切られた。礼くらい言わせてほしかった。それにしてもなんでわかったんだ?林の中で人の動きを見れるのは()()()()()じゃないか?いくら忍でも()()()()()のような非科学的なものは使えないと思うのだが…


「この中に入るのか…嫌だな…」


 何がヤバいって、虫が多そうなところがヤバい。暗闇の林に入ること自体は別にいいんだけど虫が嫌なんだ。虫さえいなければ…


「はぁ…突然ウィル・オ・ウィスプとかになれねぇかな」


 ウィル・オ・ウィスプとはファンタジー系小説やアニメでよく聞く鬼火のことだ。今全身が火に包まれれば虫はきっと寄ってこなくなるだろう。虫除けスプレーなんてものはいらなくなるのだ。いや明るいからむしろ寄ってくるようになるのか?それならば、やはり人間のままでいたい…なんて考えているが、結局は歩みを進めるほかないのだ。


 行方不明者を捜すには声を出すことは必要なのだが、今回は行方不明者じゃない。恐らく、いや絶対に拉致・誘拐だ。敢えて声は出さずに自然の音だけに頼る。枝は踏まないように、草葉に触れて衣擦れ音を出さないように、慎重かつ素早く歩く。


 ―カサッ


 …何かが動いた。この辺りの生態系は把握済みだ。何のために毎朝走っていたと思っている。このために決まっているだろう。この辺りに生息しているのはリスのみだ。そしてリスは昼行性(ちゅうこうせい)、日中しか活動しない。


 つまり、今俺の後ろにいるのは…


「人間ってことだろ」


 後ろから伸びる腕を掴み自分の方に引き寄せ思い切り投げる。


「なっ!?」


 そして直ぐにひっくり返して両腕を後ろに回して掴み男の手首の骨を折る。


「ぎゃあ!!」


「甘いな、近づくなら気配と音を消したほうがいい」


 男を気絶(戦闘不能)させたら一歩後退する。上からもう1人来たからだ。


「なかなかやるじゃないか、ヤマナシ イサギ」


「あんたらは全然やらないじゃないか、モブおじさん」


「減らず口め…!!」


 男は逆手にナイフを持ち臨戦態勢をとりながら、片足で落ち葉を巻き上げた。


「もらったぁぁぁ!!!」


 叫びながらナイフを振るもそこにイサギはいない。木の幹に両手で掴まりながら遠心力で体を振り両足を男の首に絡みつける。


「ぐえっ!?」


「声も出すなよ」


 両足を外すと男はその場に倒れた。意識はないようだ。


 (つた)で両手両足を縛って葉っぱでもかけておくか…おっと、武器は貰っておかないとな。さて…あと1人は梅ノ木先生と一緒にいるのかな…ここは圏外みたいだし…仕方ない、こいつらは後で回収しにくるか。


















スピンオフは紅花さんが異世界で無双する姿でもいいかもなぁ…



※次話も暴力的な表現があるので注意してください。

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