106話 たぶんイサギは自分のキャラ数を把握していません
ブレブレなんだよなぁ…作者すら把握してないからなぁ…なんなら最近作者の意思に反して増えてるんだよなぁ…
イサギ視点で先生達に謝りに行きます。
―prrr prrr
『ゼロ、昨日の今日で悪いんだけどちょっと手伝ってくれ』
『何を手伝えと?』
『実はかくかくしかじかで…』
『なるほど。わからん。しっかり説明しろ』
『追加のエモノを運んでほしい。それだけだ』
『了解した。処断は?』
『お前に任せるが帰り道で落とさないようにな』
『…了解した』
『おい、今の間はなんだ?昨日落としたのか?』
『逃げられた』
『嘘つくな。お前がエモノを逃がした時なんてないだろ』
『誰にでも失敗はある…』
『じゃあ、今回はしっかり頼む』
『当然。誰にものを頼んでいると思っている?』
『昨日失敗したお前に頼んでんだ、このチビが!』
やれやれ…これだから後先考えずに突っ走る奴は苦手なんだよ。後片付けの後片付けをしなくちゃいけないだろうが。何のための後片付けだよ…
昨日の事件に終止符はうたれていない。旅館に着いた時に俺に不満を持つ者は昨日の男だけじゃないというのはわかっていた。俺がこの旅館を離れた後に愛や藍ちゃん、紅花さんに何かしようものなら俺は自分自身を酷く責め、彼らを原型を留めないくらいボコボコにする気がする。自分のためにも、彼らのためにも、彼女らのためにも、禍根を残してはならない。
「まずは仲直りからだな…」
可能なら梅ノ木先生と夏原先生両方と同時に仲直り及び関係修復をしたい。こう言ってしまえば真剣さに欠けるが時間が残されていないからだ。先生達も仕事があるだろうし、生徒と教師の間に亀裂が入った状態で教壇に立っても授業に集中できないだろう。校長に息子を任されているんだから尚のことだよな…学校に親がいるのって厄介だなぁ…
―ガラッ
「たのもー!!!!」
俺は先生達が泊まっている部屋のドアを思いっきり開けた。そして思い出した。
「あっ、ノックし忘れた」
―コンコン
―ガラッ
「たのもー!!!!」
「ちょっとイサギくん!何してるんですか!?」
「あれっ、夏原先生だけですか?」
「私だけですけど…梅ノ木先生に用事がありましたか?」
「いや、梅ノ木先生と夏原先生の2人に用事がありました」
「ひっ…き、聞きたくないです…」
「どうしてそんなに怯えてるんですか?というか、場所が職員室でも夏原先生はそんなことを言うんですかね…」
「そ、それも、そうですが…だって、さっき、失せろって言ったじゃないですか…」
「あぁー、はい、その節はすみませんでした」
「えっ?」
夏原先生はキョトンとした顔をしている。それもそのはず、アレを1番嫌っている俺がアレをしたのだから。手のひら返しを。
「さっきはすみませんでした。先生に暴言を吐いてしまったのは最近思い通りにいかないことが多くてイライラしてたからです。八つ当たりしてしまってすみませんでした」
嘘では無い。最近思い通りにいかないことが多いというのも本当のことだ。最近というよりも入学した日から今日に至るまでなんだが。ストレスはあった。ここ何週間かは撫子のおかげで解消されつつあったが、スキンシップの激しい女性が多すぎて撫子がいなくなってからはストレスが急に増えた感じがする。ある意味俺はもう撫子無しじゃ生きられない体になってしまったのかもしれない…
「わっ、私のほうこそ、イサギくんに馴れ馴れしくしてしまってすみませんでした…こ、これからは、気をつけます…というか、もうしませんので…ど、どうか、嫌わないで…じゃなくて、イサギくんのことをもっと教えてください!」
「こちらこそ嫌いにならないでくれると嬉しいです。というか、俺の事知らなくて当然ですよね。まだ入学して3ヶ月なんですから」
夏原先生は俺の事をきちんと考え始めてくれたようだ。嬉しいな。頼れる人が増えたってことでいいんだよな、たぶん。
「…ぐすっ…イザギぐん゛…ごめ゛ん゛ね゛ぇ…」
「謝罪は受け入れましたから!泣かないでくださいよ…」
生徒が教師を泣かせて慰めるってどういう構図になっているんだろうか。俺はとても滑稽に見えるだろうなぁ…
「ありがどぉ…ぐずっ…」
俺は夏原先生が落ち着くまでしばらく背中を摩ってあげた。
イサギ、裏で暗躍しすぎなんだよなぁ…
いつも読んでいただきありがとうございます。
明日は私用が入ってしまったので投稿が遅れます。ご理解の程よろしくお願いします。