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閑話⑪ 中途半端なラブコメ知識は自分の首を絞める

イサギ視点の閑話です。


夏原も傷ついてしまったが、それ以上に傷つき苦しんでいたのは…

「はぁ…つら…何なんだ、この温泉旅行は…」


 こんなつもりじゃなかったのに…というか、どうしてこうなってしまったんだ。喧嘩→仲直り→喧嘩を2日間で何回してんだよ、俺は…!(厳密には1回しかしていない)


「人間関係ダル…もうヤダ…」


 宿泊部屋の座布団に突っ伏してボソボソと文句を呟いていた。


「じゃあ、もうやめちゃいますか?」


「いや、そういうわけにも…って、おわぁ!?いつからいたんですか!?」


「ふふふ、いつからでしょうか?相変わらず潔くんは反応が可愛らしいですねぇ」


 こわすぎるだろ、ここの女将!ガチで心霊現象かと思ったわ!俺の背後を取るなんて何者なんだよ!一応あの忍者もどきの兄なんだけども…


「潔くん、人間関係に疲れたら少し休んだ方がいいのではなくて?」


()()()()休んでたのに、また休んだら休み癖がついて動けなくなりそうなので遠慮しておきます」


「ふふふ、相変わらずストイックですねぇ」


 細目の和服美人は口を手で抑えて上品に笑っているが、俺の考えてる事は全部お見通しのようだ。


「潔くん、わざわざ悪役をかってでなくても良いのに…」


「俺がやらなきゃ誰もやらないでしょ。(あの学校で)生徒と恋愛するのは自由ですけど、もし俺がいなくなって他の男が転校してきた時に双方の心にヒビが入ったら『あの時俺が注意していれば…』なんて思いたくないんで」


「そんなありえるかどうかわからないことをいちいち考えてたらキリがないでしょうに…」


()()()()()()()()()()わからないから常に最悪を考えてるんですよ」


「ふふふ…そうでしたね。君はそういう子でしたね」


「…ただの経験論ですよ」


「それにしても君はいつも他人のことばかり気にして…もう少し夏原先生を見習ったらどうです?」


「うぐっ…あの人は自分のことばかり気にしすぎなんですよ。それを言うなら俺の事を見習ってくれたって…」


「ふふっ」


 女将が珍しく弾んだ笑い方をした。いつもはお淑やかに不敵に笑うのに。


「どうしたんですか?」


「ふふふっ、いえ、あまりにおかしくって」


 何かおかしなことを言っただろうか?


「潔くんと夏原先生は案外相性がいいのかもしれませんね」


「というと?」


「夏原先生は潔くんの他人を気にすることを見習いたい。潔くんは夏原先生の自分を気にすることを見習いたい。まさにパズルのピースがピッタリあうような感じがしませんか?」


 確かに…正反対な2人だからこそ…反発しあうんじゃなくお互いがお互いを認めているところがあるということか。


「なるほど。そのような考え方もあるんですね。気付きませんでした」


「ふふふ、潔くんもまだまだ子供ですからね」


 むぅ…子供扱いはしないでほしい…確かに年齢も精神も女将に比べたら子供かもしれないが。


「って考えるとさっきのは言いすぎでしたかね」


「どうでしょうね。潔くんがそう思うならそうなのではないでしょうか。私には潔くんの言いたいことが分かりますが、他の人には伝わらないかもしれませんしね」


 傍から見たら俺が一方的にブチ切れただけなんだけど、それを見ただけで俺の言いたいことがわかるなんてこの人すげぇや。


「ところで、いつまで滞在される予定なんですか?」


「そうですね…そろそろ()()()ですし、明日には帰ろうかなと」


「明日の昼まででいいですか?」


「はい。()()()()()()()()よろしく伝えておいてください」


「ふふふふふふ…あなたも人が悪いですね」


「大切な友達に手を出したんです。きっちり精算してもらわないと」


「あら?大切な友達って私のことですか?」


 この人は俺以上に意地が悪いな…


「女将…いえ、紅花さんは大切な友達ではありませんよ」


「あら…そうなんですか…」


 あからさまにしょんぼりしているが、落として上げる、それが年上ラブコメの攻略法だ…!


「紅花さんは、俺にとって大切なオンナです」


 両手を優しく手に取りながら目を見て言ってみたが、少し語弊があったかもしれない。


「まあ!ふふふ、嬉しいですわぁ。潔くん、ようやく()()を固めてくれたのですね!」


 …ん?決意とは…まさかっ…!


「式はいつに致しましょうか…初夜が楽しみですわ、旦那様♡」


「…紅花さん、取り返しがつかなくなるので悪ノリはそこまでで…」


「あら?そうですね。まだ結婚出来る年齢じゃありませんでしたね」


 そういう問題じゃないんだが…


「ふふっ、潔くん、誰とお付き合いしてもかまいませんが明石家をこれからもよろしくお願いしますね」


「…それはもちろんですよ。紅花さんだけじゃなく、愛からも藍ちゃんからもかけがえのないものをたくさんいただたんですから」


「なにを照れてるんですか?顔が赤いですよ?ふふふっ」


 歳上とはいえ豊満和服美人の両手握ってたら嫌でもこうなるってばよ店


「紅花さんはもう少し俺を思春期の男の子として扱ってくれませんかね…」


「ふふっ、考えておきますね」


 

イサギは恋愛を知りませんが、恥じらいは知っています。


いつも読んでくれてありがとうございます。前話について賛否あるかもしれませんが、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。


ストーリー考えてたら眠くなったので仮眠とります。

次話は夜に投稿できたらします。

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