12話 ザックリ回想編 中3冬 前編
潔が目立ちたくない理由が語られます
あぁ、そうだ。あの時、中学3年の冬、年越し前だったろうか。
俺はクラスの女子に呼び出されたんだ。その女子はクラスで1番のアレだった。なんだったか。マゼンタみたいな語感のアレだ。要するに人気者あるいは高嶺の花だったのだが…名前は知らないのでモブ子と呼ぼうか。
「ねぇ、疚無」
「なんだ?」
「初詣一緒に行かない?」
ツッコミどころが多すぎる。通常ならクリスマス前に誘うものじゃないか?なぜ年越し前に誘う?そしてなぜ俺?
「なんで?」
「なんでって…ほら、合格祈願よ!」
「1人で行けよ。俺、寒いの苦手だから」
と、適当に理由を並べて断ろうとした。というか断った。そしたら
「~~~~~っ!あたしが付き合ってあげるって言ってんの!」
「いや、そういうのいいから。嫌々付き合うのは破綻確定だろ。偽恋系のラブコメじゃあるまいし」
「あぁ、そう。そういうこと言うんだ。じゃあもういいよ」
「おう。他のやつを誘ってくれ」
~冬休み明け~
「おはよー」「おひさ!」「あけおめー」
挨拶を交わす声が聞こえる教室に俺が入っていくと急に静まり、
「おはよ」
と、挨拶をしても無視された。
なんだろうか。この嫌な感じは。
「潔、おはよ」
「おう、白根。おはよう」
「あのさ、潔」
「ん?」
「私…彼氏できたんだ」
「へぇ、良かったじゃん。ずっとほしいって言ってたもんな」
「うん…それだけだから」
「…?」
白根のパッとしない返事と周りの視線と態度に違和感を覚えた。
俺はすぐに確信してしまった…これはハブるってやつだな!?そして明日には机に落書き、上履きに画鋲パターンだな。そっちがそう来るなら俺も対抗しなければな…
後編に続く