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閑話⑨ 撫子の初めての帰省 後編

帰省編は今回で完結です。相変わらず閑話なのに重要な部分が多いです。ここテストに出るよ!って部分がわりとあります。

『もしもし、お兄ちゃん、今ちょっといい?』


『うん?いいけど、どうかしたか?』


 さて、どうやって聞こうか…単刀直入に聞いてもはぐらかされる気がする。それなら少し遠回しに聞こう。


『お兄ちゃんって今、欲しいものある?』


『今か…うーん…』


「ない」って即答するかと思ったのに意外と考えてくれてる。ちょっと嬉しいかも。


『今は特にないかな。最近手に入ったばかりだし』


 最近手に入ったもの…それは私のこと…さっきアニっちが言ってたものだね。


『逆に撫子は欲しいものはないのか?』


 …きた!釣られてくれた。この質問が欲しかった。


『私は今はネイルが欲しいな。あ、でも香水も捨て難いかも』


『ふーん。それってさ…』


『うん』


『今すぐ欲しい物なのか?それとも我慢出来る物なのか?』


 前者を選択すればお兄ちゃんが買ってくれるのかな、と一瞬考えたけれど私が今すぐ欲しいものは、何故お兄ちゃんは物を強請らないのか、の答えだけだから、後者を選択する。


『うーん、我慢出来る物…かな』


『そっか。なぁ、そこに兄貴いるだろ?』


 なんでわかったんだろう…


『いるけど…それが何?』


『最近母さんに物を強請って断られたかどうかを聞いてくれ』


「アニっち、最近勇さんに何か欲しいものを強請って断られたりした?」


「うん?なんで、わかったんだ?実は昨晩どうしても欲しいバッシュがあってさ、金を前借りしようと思ったんだけどダメだって言われたんだよ…はぁ、困ったなぁ」


『だってさ』


『まぁ、そりゃそうなるよな。()()()()()()()()()()()に決まってるよな』


『…!!』


『撫子、お前が今1番欲してるものは何故俺が物を強請らないのかの答えだろ?もう答えなら出したぞ。わからなければ、あとは自分で考えろ』


『うん。もうわかったよ、ありがとう』


『賢いな、帰ったら撫でてやらないとな』


『楽しみにしてる!!』


『ははっ、あいよ。じゃあな』


 結局私が1番欲しいのはお兄ちゃんだったのかも、なんて。


「理由はわかったのか?」


「うん。わかったよ。お兄ちゃんが物を欲しがらず強請らない理由が」


 それはズバリ…


「頻繁に物を強請ると、いざ本当にどうしても欲しいものが現れた時に強請っても手に入らない可能性が高くなるからだよ。お兄ちゃんはその可能性をできるだけ高く保つために普段からお強請りをしないようにしてるんだと思う。だからお兄ちゃんは妹が欲しいなんて無茶苦茶なお強請りをゼロっちにもアニっちにもすることができたんだよ」


「なるほどな。確かにそうかもな。こいつは恐れ入ったわ。思ったよりも頭がキレるようだな」


「やっぱり最初からわかってたんだね」


「まぁね。撫子ちゃんを試させてもらっただけだよ。疚無姓を名乗る以上はこれくらいの賢さがないと。()()()()()()()に見下されるぞ。まあ、潔は撫子ちゃんを見下さないけとな」


「ゼロっちやお兄ちゃん以外の疚無の人?」


「まぁ、それは、あとでな」


 疚無家って3人兄弟と勇さん以外にもいるんだ…


「おーい!兄上!戻ったぞ!」


「あ、零が帰ってきたみたいだな」


 ゼロっちがお兄ちゃんのところから帰ってきたみたい。さっきは電話で聞きそびれたけど元気そうだったし大丈夫だったのかな?


「潔のところまで何しに行ってたんだ?」


「体育祭の時の残党が明石家の旅館に潜んでたみたいだ。被害者は明石 愛とその妹。特に目立った怪我はないが愚兄はガチギレだった」


「えっ、愛ちゃんが!?」


「潔の友達に手を出したんだろ?そりゃキレるわな。それでエモノはどこやったんだ?」


「あっ」


 ここでゼロっちは左手に持っているのが切れたヒモしかないことに気付いた。


「森の中に落としてきてしまった。まぁ、いいか」


「えっ!?」


「ふむ…まぁ、いいだろ」


「いいの!?」


「「大丈夫(だよ)」」


 2人ともケロリとした顔で全然焦ってないけど…


「潔には処断を一任されてるんだろ?」


「ああ。だから落としてきても大丈夫だ。それに手ぶらでこの山から出られた者はいないからな」


 こわっ…なに、この山…なんか出るのかな…そりゃお兄ちゃんもここに住みたくなくなるよ…


「だって、この山、虫すごいし、虫除けスプレー無しでは出られないだろ」


「手ぶらってそういう意味ね…」


 結局お兄ちゃんはこの家に住めないみたいだ…ゼロっちはさりげなくアームカバーつけてるし…アームカバーって紫外線対策じゃなかった?虫除けにもなるの?女子力向上してない?


「ただいま〜、お、撫子。来てたのか」


「勇さん!お邪魔してます!」


「ははは、そういうのいいから。もう家族なんだし、私のことも母と呼んでくれよ」


「は、はい!お義母さん!」


 勇さん…じゃなくてお義母さん、いい人だぁ…


「とりあえず潔が帰るまでゆっくりしていきな」


「はい!ではお言葉に甘えて!」


 この後、私は全然ゆっくりできなかった。ご飯が…うん、あんまり美味しくなかった…お兄ちゃんのご飯が食べたいよぉ…お兄ちゃんの腕に抱かれて眠りたいよぉ…


 もう欲しいものなんてないから、お兄ちゃんから離れたくない!!!







 初めての帰省、驚きの連続だったけれど1つだけ思ったこと…それは、お兄ちゃんがいないと何も楽しくない!!!ってことだった。










勇→親バカ

海→ブラコン

零→ツンデレブラコン

潔→シスコン

撫子→ブラコン(潔にゾッコン)


なんなんだ、この家族は…!濃すぎる!厨二病やらブラコンやらシスコンやら!こんなに設定が増えると思わなかった!過去の作者に問い詰めたい。どうしてこんなに設定を増やしたのか。


次話は昼くらいまでに投稿できるかなぁ…




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