閑話⑧ 撫子の初めての帰省 中編
更新遅れたのにブクマしてくれてありがとうございます!!2日連続でブクマしてくれるなんて明日は雪でも降るのかなぁ泣
今回も撫子視点です!
「アニっち、お兄ちゃんはなんでこの家を出たの?狭いところが好きだからっていう理由だけじゃないよね?」
私は最大の疑問をアニっちにぶつけてみた。これが1番気になってることだった。実家がそんなにワケありなのかと思って来てみたけどそうじゃないと思う。むしろ住みやすい。強いて問題を挙げるなら公共交通機関やコンビニまでのアクセスが悪いことかな。あと山奥という点もマイナスかも…
「そんなに気になるのか?」
「気になる!正直この家は今住んでるアパートよりかなり住みやすいと思うし…立地を除けばだけど」
「別に大した理由じゃないぞ?」
「それでも気になる!」
「かなり拍子抜けな理由でもいいのか?」
「うん!だから教えて!」
果たしてどれだけ拍子抜けな理由なのか…拍子抜けとまで言えるということは我慢しようと思えば我慢できるという意味としても捉えられる。
「…山奥で周りが森だと虫がたくさん出て嫌なんだとさ」
拍子抜けすぎた。
「そういう反応になるよな。俺もそのリアクションしたからわかるわ」
「…なるほどね」
いや、全く理解できていないんだけどね。
「撫子ちゃんはここにいる間、潔の部屋を使っていいから」
「お兄ちゃんの部屋!気になる!」
目を輝かせてアニっちを見ると、やけに沈んだ表情をしていた。
「まぁ…あれだ。あんまり、期待しない方がいいぞ」
「何の期待?」
「ベッドの下とか何も無いからな。つまんない奴だよな」
「いや、そういう期待してないから。あるとも思ってないし。あったら一緒に住んでる私にとっくに手出してるでしょ」
「それもそうだな…あーあ、男としてもつまらない奴だなぁ…」
まぁ、キスはされたんだけどね…
「じゃあ、私、お兄ちゃんの部屋行ってみるね」
「おっけー。2階の1番奥だからすぐわかるはずだよ」
2階に上がる階段は玄関から見て左にあった。すごく急な階段だなぁ。
「お兄ちゃんの部屋…わくわくするなぁ…」
2階の1番奥の部屋、ドアを開けると驚きの光景が…驚きの…ある意味驚くべき光景だった。
「なにこれ…嘘でしょ?」
何もない。ただの白い部屋。無の空間。壁紙が白だからかなり広く感じるけれど、実際はさほど広くない。全く何もないわけではない。一応、勉強机と椅子ならある。だけど、それだけだ。
「押し入れに仕舞ってるのかな?」
よく見ると白い壁紙に少し切れ目のようなものがあった。かなり分かりづらいがそこに押し入れがあるみたい。
「敷布団と掛け布団だけしかない…」
お兄ちゃんは物を極力持たないミニマリストと呼ばれる人たちと同じなのかな?
「な?何もないだろ?」
立ち尽くして呆然としているとアニっちに声をかけられた。
「全部捨てちゃったの?」
「俺も零も母さんでさえも触った時ないぞ」
「中学校のアルバムとかは?」
「それもないな」
「クリスマスプレゼントとか誕生日プレゼントとかは?」
「ない」
「あげなかったの?」
「いや…欲しがらなかった」
「え…?」
「潔には欲がないんだ。あるとした睡眠欲とかろうじて食欲くらいか」
「物欲がないの?」
「そういうことだな」
どういうこと?人間ならお金くらいは…
「お金は?」
「それも欲しがらないな。疚無家の仕事の報酬も全て寄付してるから」
「寄付?」
「寄付というかなんというか、人助けかな」
「そう…なんだ…」
お兄ちゃんは何も欲しがらない。お金すらも。
「あぁ、そういえばつい最近ようやく強請ったものがあったか」
「それは…?」
「ん」
アニっちが私を指さしている。いきなり指を指すなんて常識知らずな…!って思ったけどもしかして…
「私?」
「うん。体育祭前に言われたんだよ、撫子っていう女の子を妹にしたいって。それが潔の欲しいものだったんだよ。まさか妹を強請るとは思わなかったけどな」
アニっちに言われてついニヤニヤしちゃう。けれど、なんで?
「勇さんはあんなにお兄ちゃんを溺愛してるんだから欲しいものくらいすぐに手に入ると思うんだけど…なんで何も欲しがらないんだろう?」
「それは本人に聞いてみろ。俺にもわからん」
アニっちとお手上げみたいだから私はお兄ちゃんに電話で聞いてみることにした。
皆さん、今週もお疲れ様でした。土曜もお仕事の方は早めに体を休めてください。作者は連日寝不足です。たぶん枕が悪いんだと思います。枕をコ○コ○コミックに変えて寝てみようかなと思います。
次話は帰省編 後編です。4時投稿です。
ちなみにイサギはガチで虫が嫌いです。3大欲求を比率で表すと睡眠欲:食欲:性欲=7:2:1くらいです。参考までにどうぞ。
※この比率は結構重要なものになります。作者は後書きにキーワードを載せる斬新なスタイルでやっています。