閑話⑦ 撫子の初めての帰省 前編
投稿が遅れてしまってすみません!
専門用語とか調べて書いてたら時間がかかってしまいました!
撫子視点です!
お兄ちゃんと先生方が温泉旅行に言っている間、私はお兄ちゃんの実家である疚無家に初帰省していた。案内をしてくれたのはお兄ちゃんのお兄さんの海さんだった。
「やっほ、撫子ちゃん、久しぶり」
「アニっち、おひさ〜」
「俺のことはお兄ちゃんって呼んでくれないんだね…しくしく…」
「紛らわしいじゃん?」
イサギっちを『お兄ちゃん』呼びし始めたから海さんのことは『アニっち』のままがいい。それにお兄ちゃんもゼロっちも海さんのことを『兄貴』とか『兄上』って呼んでるみたいだし。
「まぁ、いいや。それじゃあ、行こうか」
疚無家の実家までは海さんの車で1時間くらいらしい。ちなみに海さんの車はラ○ドクルーザープ○ドだった。車に乗って30分後山の中に入った。そして更に30分くらい経った後、鬱蒼とした木々が生える森山の奥地に日本家屋が見えてきた。
「さぁ、着いたぞ」
「えっ…でか…」
2階建てだけど横に広くて山奥にあるとは思えないくらい絢爛豪華な造りの武家屋敷だった。
「そうなんだよな、広すぎて住みづらいんだよな」
「なんでお兄ちゃんはこの家を離れて狭苦しいアパートの一室に住んでるの?」
「あいつ、狭いところ、好きだから」
「ふーん…」
確かに閉所空間の方が心地良いと感じる人はいるみたいだけどお兄ちゃんがそれにあたるっぽい。
「とりあえず入って。俺、車置いてくるから」
アニっちが車庫入れしてる間に門をくぐり引き戸をガラガラと開けると広めの土間があった。土間には特に何も置かれていないけれど式台の下にはたくさんのスニーカーが敷き詰められていた。おそらく誰かのコレクションだろう。コレクションにしては雑な扱い方だけど…
上がっていいのかな?一応、疚無姓になったんだし、いいよね…でも、うーん…こんな時お兄ちゃんならどうするかな…
『初帰省、おつかれ!早くあがれよ!』
って言う気がするし、上がっちゃおう!
「お、お邪魔します…じゃなくて、た、ただいまぁ…」
靴を脱いでしっかり揃えてあがると障子が貼られた戸が4枚あり真ん中の戸を開けて入ると畳が敷かれた居間になっていた。
さすが日本家屋…門とか玄関を見てわかってたけど…全室和室なんだなぁ。お金持ち?いや、大百姓って感じがする。
居間の右隣には仏壇があった。
そうだ、お兄ちゃんが実家でのルールを教えてくれたんだった。これを破ると…お兄ちゃんに失望される。それだけは嫌だ!お兄ちゃんに嫌われたくない!
とりあえず仏壇を拝もう。仏壇のある部屋の上には疚無家のおじいちゃん、おばあちゃん達の写真が飾られていた。数え切れないくらいの賞状はさらに隣の部屋にまとめて飾られていた。
私は南無阿弥陀仏と心の中で10回唱えてから御先祖様へ感謝の気持ちを伝えた。
(御先祖様、私は先日から疚無家の者になりました。御先祖様がいつもお兄ちゃんたちを見守ってくれたおかげで私はここに辿り着けました。いつもほんとにありがとうございます)
「おっ、えらいなぁ、他の家の者にも見習わせたいぜ」
私が仏壇を拝み終わるとようやくアニっちが戻ってきた。
「他の家の人は拝まないの?」
「最近のじいさんばあさんは疚無家に媚びへつらうことしか考えてないやつがあまりにも多い。御先祖あっての俺たちだって言うのにな。だから、撫子ちゃんはえらいぞ。どれ、撫でてやろう」
「いや、大丈夫だから」
「そ、そうか…」
なでなでしたいだけでしょ。断ったらすごく落ち込んでしまったけど、アニっちは面倒見が良いみたい。お兄ちゃんはアニっちの背中を見て育ったんだなってわかったかも。
「ところで、ゼロっちとか勇さんとかは?」
「零は潔に呼ばれて出かけたぞ。母さんはわからないな…」
「えっ、お兄ちゃんに何かあったのかな…」
「まぁ、潔に何かあったというより宿泊先で何かあったんだろうな。心配しなくても大丈夫だぞ?」
心配はいらないと言われても心配してしまう…
「心配か?」
「うん、心配…」
「ははは!」
「どうして笑うの?」
「いや、撫子ちゃんが潔のことを心配するなんて家族の一員になったんだなって実感したんだよ」
「そっか…これが家族になるってことなんだ…」
「でも大丈夫だよ。潔に何かあったら俺も出るからな!俺が出るということは疚無家が総動員するということだからなぁ!」
アニっちは胸を張りポンと叩いた。
「それなら…大丈夫だね」
「ああ!」
※疚無家のモデルは作者の父方の実家です。
作者の兄は実際にラン○クルーザープ○ドに乗ってます。
本当に遅れてすみませんでした!それでも待っててくれてありがとう!