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96話 シリアス展開だけどなんか違う

ブクマ増えてた!嬉しい!ありがとう!!8月序盤にブクマが増えるなんてこれは何かが…何かがおきる予感…!?



 イサギの厚意を足蹴(あしげ)にしてしまった愛は(紅花)の説教から逃げ自分の部屋に戻っていた。


(私は悪くないもん…潔くんが全部悪いのに…)


「むー…むー…」


 ベッドの上のクッションに顔を(うず)め唸った。


 ―コンコン


「お母さん?入っても話せることなんてないよ」


 ベッドに寝転がったまま返事をしてすぐにドアが開いた。


「んじゃ入るぞ」


 聞こえてきたのは母の高い声ではなく、男の低い声だった。


「い、潔くん!?な、なんでここに?」


「考え事をしながら歩いてたら唸り声が聞こえたからノックしてみた」


(そんな動画配信者の動画タイトルみたいなことある!?)


「あ、あの、さっきは…」


「あー、それな。謝らなくていい。俺が悪かったんだから。ごめんな。もう勝手なことはしないから」


「あっ…ちが…」


 愛の声はか細く(かす)れ、いくら聴力の良いイサギでも届かなかった。


「それだけだ。じゃあな、()()()()


「…っ!!」


(イサギくんは高校に入ってできた初めての友達…彼はいつも助けてくれる私のヒーローなのに…)


 ―コンコン


 再度ドアがノックされたが返事をしなかった。否、できなかった。


「愛、入るわよ」


 紅花は愛の部屋に入ってすぐに驚いた。自分の娘が泣いているのだから。


「愛、大丈夫?どうして泣いているの?」


「お母さん、私、潔くんに…ひどいこと…言っちゃって…」


 愛は鼻をすすりながら涙声で紅花に心中を話した。それを紅花は黙って頷きながら聞いていた。


「愛…正直に言うとね、私はあなたを叱るべきか慰めるべきか悩んでいるの。あなたが抱いている想いは初めての想いだから仕方ないとも思ってるの。でもね、愛は高校に入学する前から潔くんのお世話になっているのよ」


「ど、どういうこと…?私は入学前は潔くんのことを知らなかったし…会った時もないよ?」


「それはそうよ。でも疚無家と明石家は古くからの()()なの。疚無家の者は昔からこの街を守り続けている家系、多くの功績をあげた者はそれ相応の褒賞をいただけるの。でもね、次男の潔くんは欲がなかった。彼には欲しいものがないの」


「じゃあ、そのお金は貯まっていくだけ…?」


「そう。貯まっていくだけ。でも無欲な少年は幼いながらに考えたの」


『貯まっていくだけのお金なんていらない。お金は使って回してなんぼ。いくら無欲だからって使わないなんてことはあってはいけない。だったら…』


「だったら、この街に住む人達のために使おうって。彼はこの街を支えるために頑張って手に入れたお金をこの街の人達に使うことにしたの。でも全員に渡すことはできないから子供がいる家庭に限って渡すことにしたの」


「子供がいる家庭に限って…?それって…養育費?」


「ふふっ、さすがに養育費を全部払ってもらうわけにはいかないわ。親としての面子(めんつ)があるもの。彼が支援してくれたのは教育費よ。あなたの入学費も彼が払ってくれたのよ」


「えっ…潔くんが私の入学費を…?」


「ええ、あなただけじゃないわ。白根さんのも、向日葵さんのも、葵さんのも彼が払ってくれたのよ。もちろん、希望者だけだけども。だから、今回のことは叱ることにするわ。あなたは潔くんに謝らなければいけない。伝えなければいけない。何を言うか、それは任せるわ。さぁ、行ってきなさい」


「…ぐずっ…うん、行ってきます!」


 愛は紅花の説教を聞き入れて涙を拭い部屋を出た。


「ふふふ、潔くん、本当に感謝してるのよ。あなたは大人にもできないことを簡単にやってしまうきらいがあるけれど、本来ならそう上手く事は進まないのよ。やっぱり、あなたも疚無家の血筋なのね、ふふふ」





「これからも愛と藍をよろしくね、ふふふ…」





タイトルの意味わかりましたか?

「愛の声」とか「愛の部屋」とか書いてる側はなんか複雑な気持ちになってくるという意味です。


次話…というか明日は私用があって夜まで帰って来れないので投稿が遅れます。出先で投稿出来たら投稿しますが、期待はしないでください。

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