80話 愛の暴走列車は大体ヤンデレ気質
梅ノ木先生視点です。
「おかしい…おかしいわ」
後輩教師の夏原 詩と温泉旅行のことを話してから3日ほどが経った。疚無校長はイサギくんに私たちの連絡先を先に渡しておいたというが…
「一向に連絡が来ない…」
やっぱり私、嫌われちゃったのかな。そうだよね、めんどくさい女だよね。アラサー間近(まだ25歳)はもうオバサンよね…なんて机に突っ伏していじけていた。
―prrrr prrrr
勢いよく顔を上げ、着信を見る。そこにはようやく待ち望んだ相手の名前があった。
『もしも…』
『もしもし!イサギくん!?』
『食い気味ですね…そんなに僕と話したかったんですか?』
あっ、久しぶりに声が聞けて嬉しすぎて、ついやってしまった…もっと冷静にならないと。
『ふ、ふん、そうじゃないわ。なかなか連絡が来ないから心配だっただけよ。元気にしてたかしら?』
なんかツンデレみたいになっちゃった!ツンデレ教師ってなによ!誰得よ!めちゃくちゃめんどくさいじゃない!
『心配ありがとうございます。いろいろありましたが、大丈夫でしたよ』
『いろいろ?』
『あれっ、知ってたんじゃないんですか?僕が2日間家出してたこと』
『知らなかったわよ!もう家に戻ってるとはいえ、心配になってきたわ!いますぐそっち行くから!!』
『えっ、ちょっ』
『あ、あと、私、君の一人称は俺の方がいいからメガネ外しててね!』
『我儘すぎません…?』
―プツッ
ふん!なんで皆に迷惑かけるのよ!もし恋人が無理だったら、保護者にでもなろうかしら!うん、そうしましょう!
…ここが彼の住むアパート…随分と質素ね。撫子さんも一緒に住んでるって聞いたけど…羨ましいぃぃぃ
―ぴんぽーん
「はーい」
チャイムを押すと愛する生徒が玄関で出迎えてくれた。好き♡
「お邪魔するわ」
「お久しぶりです。なんか、ツンデレ感が強くなりましたね」
「そ、そんなことないわよ!?教師に向かってその態度は失礼よ!」
そんな生意気なイサギくんも好き♡
「てか、ほんとに来たんですね。どうぞ、上がってください」
家では白い半袖Tシャツと体操着のハーフパンツを着ているのね…好き♡
「なんか、さっきから背中がゾワゾワするんですけど、変なもの持ち込まないでくださいね。そっちは対応しかねますから」
「さっきから本当に失礼ね、君は」
私の愛がバレちゃったけど好き♡♡♡
「あっ、梅ちゃん、おひさ〜」
「撫子さん、お久しぶりです。お元気でしたか?」
「うん!おにいちゃんと仲良くしてるよ!」
「おにいちゃん?」
「そっか、あなた達義理でも兄妹だもの。そう呼ぶのは当然よね…くっ、イサギくんの近くに生涯いられるなんて…妬ましいわ」
「教師として有るまじき発言ですよ、それ。てか、撫子のタメ口は指導しないんですか?」
「それは私が言ってもたぶん聞いてくれないわ。おにいちゃんから言ってくれればいいじゃない」
「教師としての仕事放棄してません…?てか、おにいちゃんって言いたいだけでしょ」
「私の事、おねえちゃんって呼んでもいいのよ?」
「…考えておきます」
ぎゃー!!考えておくって!!今度呼んでくれるよね!?そうだよね!好き好き好き好き好き好き好き好き好き
「好き好き好き好き好き好き好き」
「落ち着いてください。心の声が漏れてます」
私の暴走する愛はもう止まらなくなってしまった。
ヤンデレ気質のヒロインは大体幼馴染ポジだと思いますが、この小説の場合は違います。ほぼヤンデr((殴
ゲフンゲフン、失礼しました。まさか後書き欄にヒロイン達が殴り込みに来るとは…
次話は19時投稿です。