ソフィアは喜んでいた。
衝撃な事実が発覚!
一応はリンには、家の内情を話してあるが、リンはそれでも困惑している様だな。
そして、レーナが待つ屋敷に到着した。
……結果報告だ。
レーナの命令で、正座説教2時間の後、貴族以上が使う「婚約証明書」という書類に、レーナは全てを記入済みで、俺は名前の部分のみ記入となった。
……う~ん。
相手を探して放浪するぐらいなら、良く識っている可愛いレーナの方が良いよな。
レーナは、本気で真剣みたいだしな。
それと、家名はどうなるか分からないから、まだ記入しない方が良いらしい。
此処で、衝撃の事実が明かされた。
……俺、「養子」だった。
レーナは俺を慰めようとして、ソフィアは喜んでいた。
……可愛い妹のソフィアよ、何故、ショックを受けている兄を無視して喜んでいるのだ?
……え?
妹のソフィアはこう言った。「これで、永遠に手に入らないと思っていた未来が、手に入るから。」と。
……そうか、良かったな、ソフィア。
そして、何故、レーナとソフィアが臨戦態勢を取る?
どうどう、落ち着け2人共!
これからは、一緒に暮らすんだからな。
そう、俺が言うと、レーナもソフィアも、顔を赤くしてクネクネと身体を動かし始めた。
ガルシアおじさんは、というと、ロザリスおばさんと一緒に紅茶を飲みながら俺達3人を見ていた。
ひと通りの騒動が収まると、ガルシアおじさんから真面目な話が始まった。
先ずは、ソフィアだが、最近は家の評判は良くないらしいくて、そこで、貴族の伯爵家として、またレーナの父親として、ソフィアを引き取ったみたいだ。
勿論、レーナの専属侍女見習いは、他の貴族への牽制も兼ねた建前らしい。
……まあ、ソフィアの神霊格は「A」だもんな。
次に俺だが、きちんと調べた結果、俺が養子である事が分かった事で実家に遠慮する事無く、ガルシアおじさんは、俺を引き取ったみたいだ。
更に言うと、俺の魔導召喚士としての実力を認めている為に、貴族の伯爵家としてもメリットが有る為に遠慮する事は無い、と言ってくれた。
ただ、流石に俺の魔導学園の入学は無理みたいだ。
……そりゃあ、そうだろう。
しかし、妹ソフィアは、床を叩いて悔しがり、レーナは、高笑いをしていた。
ソフィアよ、そこまで悔しがってくれるんだな。
そして、何故、そこで高笑いが出る、レーナよ!
それで、これからの俺達の処遇だが、ソフィアは魔導学園の入学に備えての準備をしながら、最終的には、本当にレーナの侍女が出来る様に教育するみたいだ。
この世界のメイドや侍女の技術や作法等は、働き先が困らない女性垂涎のモノらしい。
そして、俺は今まで通りで良いらしい。
レーナの専属執事候補は、他の貴族に手を出させない建前みたいで、本当は、レーナの魔導書グリモワールの相手をさせる為、という話にしているみたいだ。
だから、俺は今まで通りに王都から出て、魔導書グリモワールの腕を磨くのが仕事と言える。
そんで、定期的にレーナの相手をする事だ。
リンの待遇は、俺の補助をやって貰い、リンの私物を買うお金は俺が出し、それ以外はガルシアおじさんから出してくれるみたいだ。
ここまで話したガルシアおじさんは、「今日は、これで解散。」と言って、俺とリンの部屋を案内された。
案内された部屋は、俺とリンが同室になる事は無かったが、隣がリンの部屋だった。
きちんと、俺の部屋には、俺の私物が置いてあった。
その日の夕食やお風呂が終わり、部屋でデッキを見直していると、ガルシアおじさんに呼ばれた。
ガルシアおじさんが待つ執務室に入ると、ロザリスおばさんも居た。
何事かと聞いたら、「他言無用」と言われた後で、俺に告げた。
……レーナの神霊格が「E」から「C」に上がっている、と。
「バカな……」
「トーマ!」
「ごめん。でも、本当なのか?」
「ああ、本当だ。」
「記録に残っているのは、『童話』ぐらいだよな?」
「その通りだ。」
「原因は?」
「不明だ。」
「レーナの変化は?」
「特に悪くなっていない。」
「他に、この事を知っている人は?」
「神殿の司祭だが、一応、金を握らせている。」
……この世界の「神殿」も腐っているのか。
この世界の常識としてなら、神霊格は生まれながらに決まっている。
何かで、変化するのなら、当然、世界中に知られている筈だが、それは無いとすると、かなり特殊な事をした、という事だ。
そうなると、俺が知っているレーナが特殊な事をしたのは「何」だ?
……そうか!
……アレか!
いや、待て。
それなら、それこそ、世界の公式に載っている筈だ!
……違いは何だ?
昔の「神庭決闘」と、俺とレーナの「神庭決闘」の違いは何だ?
俺だって、神霊格が上がるのなら、上がって欲しい!
……その理由は何だ?
そもそも、「神庭決闘」とは、何だ?
それは、異次元での決闘で、神々が観戦す……る……
「あーーー!」
「どうした、トーマ!」
「分かった!」
「分かったとは何だ?」
「レーナの神霊格が上がった理由だ!」
「何!」
「それで、レーナの神霊格が上がった理由は何なの?」
「神々だよ。」
「「……神々!?」」
「そもそも、『神庭決闘』とは、何だ?」
「……『神庭決闘』とは、この世界から切り離された場所で行われる古典的な決闘方法で、名前が示す通りに神々の庭で……決闘を……!?」
「そうだ! 神々が興味を持ち、観戦する程に盛り上がり、神々が祝福を与える程の勝負をする事が、神霊格が上がった理由だろう。」
「しかし、今では……」
「昔は、常識だったのかもしれないが、何時しか神霊格を上げる為だけになり、神々が興味を失くしてしまった結果、廃れ、今では誰もしない知識だけになったのだろうな。」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。
客観的では無い自己評価ですが、最近は自分のキャラ達が生き生きしている様に感じます。




