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召喚! 陰の鬼神キサラ!

X「まだですか、出番。」

作者「次だ、次!」

X「良かったです。いい加減に臭くてムサい野郎に囲まれているのは辛かったので。」


 結局、思っていた以上に距離があって、鬼族の居る場所には、夜明け頃に到着した。


「シュナ!」

「ただいま帰りました、お爺様。」

「シュナよ、何故、エルフ族と一緒に居る!」

「お爺様、私は鬼族の誇りを捨てたくないわ。」

「どういう事だ、シュナ。」

「お爺様に言われて黙って見ていたけど、とても誇り高き鬼族の戦い方じゃなかったわ。」

「……そんな筈は……」

「指揮を任されていたクズキは、エルフ族の小さな子供を人質に取り、その『命』を使って、命令をしていたわ。」

「なんと……」

「そして、前回の戦い、いえ、襲撃でエルフ族は多大な犠牲者が出ているわ。私は、その襲撃で大切な誰かを喪った者達に代償を払いべきだと思う。」

「……シュナよ、何を以て代償とする?」

「私の『命』よ。」

「待て、シュナ!」

「エルフ族は、将来の一族を束ねる者からも犠牲者が出ているわ。ならば、私達鬼族も、一族を束ねる者からも代償を払う者が必要だわ。」

「……エルフ族の娘よ。知っているのならば、亡くなった者達が、誰かを答えてくれるか?」

「……私達の村を治める村長の末娘、次期村長の私を支える筈だった親友3人、村の警護の隊長と、その部下5人、そして一般のエルフが8人。……以上よ。」


 ……思っていた以上の犠牲者の数だ。


「……何と言う事だ。」

「正々堂々の真正面からの戦いならば兎も角。そんな……」

「ちょっと待てよ!」


 鬼族の中から、肉体派なチンピラが現れた。


「誰だ?」

「そんな事より、クズキはどうした?」

「……クズキ?」

「そうだ!」

「……ああ。あのゴミなら、拷問されて苦しみながら殺されているだろうよ。」

「……殺してやるー!」

「アリア!」

「邪魔だー!」

「何!?」


 孤高の黒剣士アリアが、一撃で消失した、だと……


「死ねー!」

「……くっ……」


 ……使うしかない!


「召喚! (いん)の鬼神キサラ!」


 召喚に必要な「格」を無視した代償か、一気に俺の中の全てが減少していった。


「た、倒せ……」


 俺の、最後の命令に、キサラは、刹那の煌めきで、鬼の首を斬った……




「……あれ?」

「気が付いたか、トーマ!」

「……どういう状況?」

「トーマが召喚した存在が、あの鬼の首を斬った瞬間に消えて、トーマも倒れたんだ。」

「俺が倒れて、どれくらい経った?」

「4時間程よ。」

「……思っていたよりかは、時間が経過していないな。」

「気が付いて、本当に良かった。」


 ちょっとくすぐったいから話題を反らそう。

 膝枕からは、逃れそうに無いしな。


「鬼族は?」

「決める事が有る、と言って向こうに行ったわ。」

「……そうか。」


 シュナや鬼族は、再び俺とエレンの前に集まった。


「結論から言おう。奪った命は、同じ『命』で償う。」

「……は?」

「奪った命の代償として、私シュナに……」

「鬼族次期後継者の『キスイ』だ。」

「私は長女の『ミカゲ』よ。」

「そして、次の世代を支える予定の……」

「待て待て待て! どうし……」

「トーマ。これは、私達鬼族の償いであるのと同時に鬼族の誇りを取り戻す為でもあるの。」

「うむ。儂らにも、エルフ族が喪った以上の代償を払う事が出来なければ、前に進めまい。」

「……だから、トーマにお願いがあるの。」

「……この剣は?」

「私達鬼族の大切な宝剣よ。慈悲と断罪の剣で、私達鬼族は『自殺』が出来ない。そんな時に使う剣だ。だから、トーマに私達の最期を見届けて欲しい。」

「……本気、なんだな?」

「ええ。私達鬼族も、大切な誰かを喪った哀しみを背負う必要があるわ。」

「分かった。それなら、やろう。ただ……」

「ただ?」

「その代わりと言ってもアレだが、シュナ達は、俺の仲間になってくれないか?」

「つまり、トーマのカードになれ、と?」

「ああ。」

「何よ、そんな事。私達からお願いする必要が無かったわね。なねぇ、皆!」

「おう!」

「?」

「トーマが召喚した存在はな、多分、儂達鬼族が崇拝する闇と剣神の鬼の女神だ。」

「……!」

「だから、我ら鬼族の女神を従えるトーマは、儂達鬼族の信奉する存在だという事だ。」

「……分かった。」

「義は結ばれた! エルフ族の次代の(おさ)の者よ、良いな!」

「ええ。エルフ族の代表として見届けましょう。」


 そして、俺は順番に宝剣を通して仲間(カード)になった。


「トーマ、これからよろしくね。」

「ああ、シュナ。よろしくな。」

「トーマよ、よろしく頼む。」

「ああ、キスイ。」

「トーマ、よろしくね。」

「ああ、ミカゲ。」


 他にも、次代を支える予定だった若い鬼族達が、俺の仲間(カード)になった。


 《個人名トーマ=ルナフィリアが、所有する名付きの鬼族のカードが5枚に達しましたので封印が解かれ、祭壇のモンスターカードと魔法カードに鬼族のカードが解放されました。》


 ……へ!?

 ……マジかよ!


 と、とりあえず、鬼達は今後はエルフ族を襲わない事を誓い、要請が有れば助力する事を約束した。

 因みに、鬼族の次期後継者は、次男の「キゲツ」が継ぐらしい。

 どちらかというと「穏健派」との事だ。


 ……まあ、新しい「形」は必要だよな。


 ガルシアおじさんも、ここまでは予想していないだろうけど、充分、いや、過分な追加報酬を手に入れた俺とエレンは、エルフ族の村に戻った。


 無事な生還に皆が喜んでくれたよ。


 そのまま宴会となり、逝った者達を見送る為に(エルフ族にしては)派手な宴会となった。



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