正体判明―Identity―
昼寝してたら昼飯が15時前になってしまった…
はじめまして。
オレの名前は、ナイトウルフといいます。
あ、本名ってわけじゃなくて、いわゆるコードネームってやつです。
何で本名を名乗らないのかって?そりゃあ、もし本名を喋って、万が一にも面倒なことになるのが嫌だからですよ。…多分無いとは思うけど。
年齢?確か17…だったかな。あ、でも今が何年かわかんないので、あくまでオレが活動していた時間は17年ってだけですけどね。
今度は性別?そんなの男に決まって…あぁ、そういやそうだったか。え〜、元男で、現在女の子です。起きたらこうでした。それ以外は知らん。
ところで、そろそろオレからも一つ質問したいんですが。
なんでオレは捕まって、質問というか尋問責めにあってるんですかね?
◈ ◊ ◈ ◊ ◈ ◊ ◈ ◊ ◈ ◊ ◈ ◊ ◈ ◊ ◈
さて、皆さんにはこれまでの経緯を簡単に説明しようと思う。
外でドンパチしてる音がうるさすぎて目が覚める。
鋼鉄の天井を蹴破ってドンパチの中に突撃し、蹴散らす。
女の子二人に捕獲されて、でかいビルに連行される。
以上、3行まとめ。割とまとめんのってムズいのねぇ。
なんでそんなことで寝てたのかとか、なんで鋼鉄を蹴りで壊せるのかとかは割愛する。長いの嫌いでしょ?オレも嫌いだからよくわかる。
「真面目に答えてください!貴女は一体何者なんですか!?」
どうやら、心の友との会話で現実逃避できるのはここまでらしい。
現在、オレは四方囲む机のド真ん中で、正面の台パンかまして荒ぶってる眼鏡の女を含めて総勢15人ほどの人間に様々な視線を向けられていた。
驚くべきことに、その内5人は自分と同世代くらいかそれより下の少女なことである。
まあ、全員がだいたい睨んできてるから、針の筵状態でひじょーに落ち着かないんだけどな。
「もう一度聞きます。貴女は何者ですか」
ヒステリックに髪を振り乱していた眼鏡女が落ち着いたようだ。
「さっきも言ったろ。ナイトウルフだ」
「本名を言えと言っているんです!」
「あのさぁ、アンタ随分非常識なのな。まず人に名前聞くときは自分から名乗るべきとは思わないわけ?譲歩してこっちは名乗ってやったのに自分が何者かも言わないやつの命令なんざ聞くかよ。一応、敬語を使ってやってたが…使う気も失せたわ」
「ぐっ!?」
おうおう、図星か?目に見えてダメージ入ってるわ。
「…遠乃木椿です。討魔機関極東本部長を務めています。…これで満足?」
口の端をピクピクさせながら自己紹介された。なんでそっちがイラついてんだよ。ホントなら怒っていいのは助けたのに突然拉致られたこっちだろうに。
「はぁ…オレはナイトウルフ。やっぱりそれ以外の何者でもねぇな。本名は…長らく使ってなかったせいで、とっくに忘れたよ」
「それから、昔…今日起きる前までは、軍の真似事みたいなのをやってたな。それで、他に質問は?」
「今、軍と言い…」
「名乗れよ」
「…猿影響介。機関の司令部所属だ」
「で、その司令部の猿介さんが何か?」
「さるすけって…いや、さっき軍と言っていたが、旧日本には軍はなかった筈だ。一体何をやっていたと言うんだ?」
大人No.2、司令部猿介さんからの質問だが、率直に話した方がわかりやすいだろう。
「ぶっ壊す仕事だよ。ガシャガシャうるせぇ、機械生物共の撃滅係だ」
剣を取り出しながら言うと、この場の全員が硬直、そして5人の少女が何やら早着替えをしてオレに武器らしき物を向けてきた。