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~時薙ぎ~ 異世界に飛ばされたレベル0《SystemError》の少女  作者: にせぽに~
帝国と王国の交声曲《カンタータ》
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三筋の閃光

「さて、気持ち悪さ半端ないけどやるしかないね!!」


王国兵と別れ、デカスライムに向かって突撃していた私は

そのままの勢いで巨大な粘体へと体当たりを敢行する。

………正直蠢く粘体の中に突っ込もうなんて正気の沙汰じゃないよね。

背中がぞわぞわしっぱなしで鳥肌が立ってる感じがする

生理的嫌悪感が全力で警鐘を鳴らしてるね、けど我慢だ。

私はデカスライムの数㎝前の時点でさらに勢いをつける為踏鳴(ふみなり)を入れ

両手を顔の前でクロスさせそのまま突っ込む、その瞬間………


 

     ゴォッ!!



一瞬視界が黄色くなり、爆音に似た音が耳を打つ。


「………あれま、引火性が高いとは思ってたけどここまでとはね」


緑色の粘体は私が纏った炎に触れた瞬間、盛大に燃え始めた。

私は足を止め、ゆっくりと近づく。

その歩幅に合わせて粘体は削られて行き、瞬く間に延焼が広がっていく。


「ふむ、突っ込む必要は無かったかな

 ここまで引火性が高いと爆発が心配だけど………」


私は燃え盛ってる粘体を見回す、ひたすら炎が広がって行ってるけど

爆発が起こる様子は無い、ひとまず安心っぽいかな。

何か、巨大なロウに火を着けて行ってる感覚だね。


「まぁ爆発するなら王国軍もこんな近場で火矢は使わないか

 なら、核に向かって少しづつ削って行こうか」


そう思い私は1歩踏み出す、それを察知したのかデカスライムは

延焼してない部分から触手を伸ばし私を攻撃しようとするも

炎に触れた途端導火線の様に燃え伝わり、結果的に延焼が広がっていく。

………思ってた以上に効果的だったねこの火達磨状態。

マリスはこの魔法になんか名前を着けたがってたみたいだけど

またカッコ悪い名前なんだろうね

と言うか人の名前を勝手に付けないで欲しいなぁ。

などとどうでもよさげな事が頭に浮かべながら私は一歩一歩

核のある方向へと歩いていく。

歩く度にデカスライムが触手を伸ばして来るもさっきと同じ結果になり

加速度的に延焼範囲が広がっていく。

既に視界全体が炎の海な状態になってる、これマリスの炎じゃなかったら

私確実に焼け死んでるよね、ホント魔法って不思議。


「思ってた以上に楽な展開になったね、とは言え油断は禁物

 全体像が見えないから何ともだけど、まだ粘体の半分以上は

 引火してないっぽいね、なら!!」


私は延焼を促進させるため、デカスライムに右手で一撃を入れる、その瞬間………


 

 ボォォォン!!



いきなり爆音がして、周辺の粘体が一気に吹っ飛ぶ。


「えっ、な…何!?」


全くの予想外の事態に一瞬焦るも、直ぐにマリスの言葉を思い出す。


「………そー言えば右手は触れると爆発するんだっけ

 と言うかこの状態でもその効果は残ってたのね」


またえらい危険物を仕込んでくれたねぇマリスってば、忘れてた私も悪いけど

これ不意に誰かの体に触れたりしたら大惨事だよ。

………とは言え、この状況では有難い。


「何かモンスター退治って言うよりも大きな苔の撤去作業に

 なってきた気がするね、まぁ楽だしそっちの方がいいけど」


だけど油断する訳にはいかない、相手は初見という事に変わりは無い。

次にどんな予想外の行動をしてくるか分からないからね。

私は戦闘態勢のままデカスライムに攻撃を加えていく。



………




………………




………………………



数十分後、私はようやく核の数m迄接近することが出来た。

………完全に苔の掘削作業だったねこれ、最初は楽だと思ってたけど

逆にしんどかった、これなら普通に戦った方がましだったかもと

数十分前とは全く逆の感想を抱いちゃったよ。

相も変わらずデカスライムの触手攻撃は導火線にしかなってなかったし

王国軍の広範囲火矢攻撃のお陰で分裂攻撃で消火できる規模の延焼じゃなくなってた。

その分裂攻撃もただただ炎の延焼を広げる結果にしかなってなかったらしく

今やデカスライムは表面積のほぼ9割が炎上してる始末だ。

このままほっぽってもいずれ燃えつきそうな気もするけど、中途半端な事をして

倒せる流れをひっくり返されることも戦闘には良くある話だ。

なら最後まで初志貫徹はすべきだよね。


「せいっ!!」


掛け声一発、私は右の貫手を粘体に滑り込ませる。

すると派手な爆音が響き、粘体に大きな穴が開く。

それが塞がれる直前に体を差し込んで火を着ける、この繰り返しで

前に進んできたけど、そろそろ終わりだ。


「よっと!!」


再び右の貫手を粘体に差し込み、爆発させる。

すると、粘体の穴からやっとこさデカスライムの核が顔を現した。

………案外デカいねこれ、直径1mくらいありそう。

私は再生を防ぐために周囲の粘体を延焼させ、それから

コンコンと核を手の甲で叩く。


「思ってたより硬いね、しかも可燃性はないっぽいか

 これを砕くのはやっぱり私じゃ無理っぽいかな?」


右手で爆破する手もあるんだろうけどここは

一先ずリーゼに任せるのが得策かな?

けどどうやって知らせよう、この場から離れても大丈夫なのかな?


『マスター、聞こえますか?』

「うわっ!?」


いきなりの声に驚く私、今のはリーゼの声?


『驚かせて申し訳ありません、今我は念話にて

 マスターに語り掛けております』


念話………そう言えばマリスが私とリーゼに繋がりがあるって言ってたっけ

けど、前に人形達の宴でリーゼを探した時は何もなかったような………


『マスター、我からも核の露出を確認いたしました

 手はず通り投擲を開始しますのでその場から退避を』


おっとっと、今はそんな事を考えてる場合じゃない。

リーゼが槍を投げるなら少しでもその通り道を維持しとかないと。

けど念話ってどうやるんだろ、普通に声出して話すやり方でいいのかな?


「えーっと、リーゼ聞こえてる?」

『はい、聞こえております』


お、良かった。普通に話すだけで通じるみたいだね。

なんとなくスマホを持って話したい気分になったり。


「私はなるべく槍の通り道を確保するためにここに留まってる。

 リーゼは投げる直前に合図をお願い。

 そうしてくれたら回避は出来るから」

『マスター!?

 ………ッ、了解致しました』


リーゼは一瞬驚くも、少しだけ不服そうな声で了承してくれる。

毎度無理言ってゴメンね、リーゼ。


『それでは、5カウント後に槍を投擲します

 恐らく2秒後にマスターの場所を通過しますのでくれぐれもご無事で………』


お、大まかな到達時間が分かるのは有難い。

それならどうとでも出来そうだ。


『それでは行きます

 5……4……3……』


リーゼがカウントを始める。

その間にリーゼ達がいる方向を確認する。よし、方向は確認した

引き付ける必要もないし、投擲と同時に横に回避すれば大丈夫かな。


『2……1……0!!』


リーゼのカウントが終わったと同時に、私は横に飛び退く。

きっちり2秒後、後方から物凄い勢いで何かが通過し………

先にある核に接触する、その瞬間!!




  バッゴオオオオオオォォォン!!



何故かいきなりの大爆発、一瞬にして視界が爆風で0になる。

私はその前に反射的に体を伏せ目と耳を手で塞ぎ口を開け

爆発の衝撃を衝撃をやり過ごす。

………まさかこんなところ(エルシェーダ)まできてバイト先で嫌になるほどやった対爆防御を

する事になるとは、つーかマリスってばリーゼに何投げさせたの!?


『マスター!?マスター!!無事ですか!?』


どうやらリーゼも予想外だったらしく珍しく慌てた様子で念話を飛ばして来る。


「ああ、何とか無事だよ

 と言うか何投げたのリーゼ?」

『いえ、我にも分かりません………

 今フィルミールがマリスに問い詰めている最中です』


あ~、その光景が目に浮かぶね。

私も一緒に問い詰めたい気分だけど、先に安否報告と状況確認しとかないと。


「リーゼ、取り合えずフィルに私は無事って伝えといて

 私は状況確認の為に視界が晴れるまでここで待機してるから」

『了解致しました、くれぐれもご無事で…マスター』


リーゼとの念話を終え、私は視界が晴れるのを待つ。

相手の攻撃はほぼ無効化できてる状態だけど、まだ何かあるかもしれない。

私は身構えながら核のあった方へ視線を向ける。

やがて視界が晴れ、私の視線の先には………ヒビだらけになった上

中央に大穴が空いたデカスライムの核が姿を見せた。


「う~わ、思ったより派手にやっちゃってるね

 これ、もう倒してたりは………」


そう思った瞬間、周囲の粘体から触手が向かって来る。

纏った炎がそれをことごとく無効化、着火し延焼はさらに広がっていく。


「まだまだの様だね………あと一押し必要かな?」


私はぐっと右手に力を籠め、核に肉薄すべく右足を踏みしめる。

あそこまでボロボロなら右手の爆発を数度叩き込めば破壊できそうだ。

そう思い踏み出した瞬間………!!



   ズヒュシュッ!!



右上………全く予想外の方向から閃光が3つ、粘体を貫通しながら

核を貫いていく。


「………っ、何!?」


慌てて周囲を見回すも誰もいない、人の気配もしない。

となると中長距離からの遠隔攻撃!?

私は貫かれた核を見る、するとその閃光がトドメになったのか

核は静かに崩れ去っていく。

それと同時に粘体の形を維持できなくなったらしく、炎を纏いながら

溶け出していく。


「おっと、そのままだとちょっとマズいね」


閃光の正体は気になるけど今は脱出が優先だ。

私は降りかかる粘体を焼却しながら仲間の元へと戻って行った。

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