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~時薙ぎ~ 異世界に飛ばされたレベル0《SystemError》の少女  作者: にせぽに~
少女達の輪舞曲《ロンド》
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冒険者への道しるべ

「冒険者?」


これまた聞きなれない言葉が出てきた。

冒険者って………冒険をする人の事だよね。

それって職業なのかな?と思っているとフィルミールさんが

ゼーレンさんに詰め寄ってる!?


「貴方、レン様にそんな仕事をさせるつもりなの!?」

「そんな仕事と言われてもの、まぁ確かにやくざな商売ではあるが

 ファングベアを倒せる嬢ちゃんなら向いてると思うがの」


憤慨するフィルミールさんを飄々と受け流すゼーレンさん。


「だからって、あんな野蛮な人たちがいる仕事を………」

「その辺りはまぁ面目ないとしか言えんが、一応国家間で認められた

 立派な仕事じゃぞ、儂も冒険者じゃしの」


そう言ってゼーレンさんは懐からカードらしきものを出して

フィルミールさんに見せる。


「………嘘、これって」

「棺桶に片足突っ込んだ儂ですらこれぐらいの稼ぎは出来るんじゃ

 嬢ちゃんなら食うに困らない位の稼ぎは楽にできるじゃろうて」


フィルミールさんえらく驚いてるけど何が書いてあるんだろ。

2人の会話からしてゼーレンさんが稼いだ額がカードに書いてるみたいだけど。

う~ん………冒険と職業がどうも結びつかないんだけど、一先ず聞いてみよっか。


「えっとさ、そもそもの質問なんだけど、冒険者って………何?」


私の言葉にフィルミールさんがはっとして、真剣な表情でこちらに向く。


「レン様………冒険者に興味がおありなのですか?」

「興味と言うか………当面の資金は出来たけど、多分すぐ無くなるだろうし

 元の世界にいつ戻れるかも解らないから、継続的に収入を得られる

 仕事の話は聞きたいかな」


日々の糧を得る為にお金を稼ぐのは何処の世界でも大変だろうし、ましてや

この世界に来たばかりの私は資格やコネなんか全くない状態だ、ならば

出来る可能性があるなら冒険者とやらをやってみるのも悪くないかな。


「レン様の言うことは理解できます、ですが冒険者と言うのは

 常に危険が付きまとう上、野蛮な人達と一緒に寝食を共にせねばなりません

 正直私はお勧めで出来かねます」


常に危険………ね、まぁ冒険に危険はつきものだろうけど。


「彼らは冒険者、と言う風に名乗ってますがやっている事は実質何でも屋です。

 お金の為ならどんな依頼でも受け、その内容によっては強盗紛いの事すら

 平気でする人達なんです、そんな仕事なんて………」

「それは流石に偏見過ぎじゃな、確かに儂らは依頼さえあれば何でもするが

 国やギルドが決めたルールには従うし、強盗紛いのような無法はせんよ

 ま、荒事が主じゃから男社会じゃし荒くれ者が多いのは否定はせんがの」


フィルミールさんの言葉にゼーレンさんが横槍を入れる。


「冒険者の主な仕事は魔物退治じゃな、畑を荒らす害獣から

 国の存亡がかかった強大な魔族までピンキリじゃ

 後は商人や貴族などの護衛、未発見の遺跡の調査なんかもあるの

 大抵が戦闘になる可能性が高いから荒事に慣れてるのは必須なんじゃ」


成程ね、冒険者と言うより傭兵が近い感じだね。

確かに、お爺ちゃんのお陰で荒事に慣れてる私に

向いてるといえば向いてるのかな。

ちょっと女の子としてはどうかと思うけど………


「そっか、でもそれって私の様な何も知らない小娘が「冒険者です!!」って

 名乗っても誰も依頼をしてくれない様な気もするけど」

「その辺りは心配ないぞい、一応冒険者の事は【冒険者ギルド】と言う所が

 管理しておっての、登録さえしてしまえば依頼の斡旋やトラブルの処理を

 してくれる様になっとる。それに新人冒険者には一定期間じゃが食事と

 寝床も世話してくれるんじゃ」


あら、傭兵みたく使い捨てなのかなと思ったら結構厚遇してくれるんだ。


「国家間でも腕利きの冒険者の確保は急務じゃからな、下手に国に縛られない分

 身軽に動ける冒険者は国にとっても何かと都合のいい人材なんじゃ」


ふぅん、フィルミールさんの言葉だとアウトローっぽい感じだったけど

国に認められた職業なんだね。


「そうなんだ、けどそんな好待遇だと冒険者になる人が多くなりすぎて

 依頼の奪い合いとかになりそうだけど」

「ああ、冒険者になるにはきちんと実力審査はあるぞ。結構面倒な審査じゃったが

 まぁ嬢ちゃんなら楽勝じゃろう」


ふむむ、話を聞く限りでは一先ずの食い扶持稼ぎとしては良さげだね。

取り合えず冒険者になってみて、この世界で生活しながら手がかりを探すって

感じがベターかな。

そんな考えが顔に出ていたのか、ふと気づくとフィルミールさんが

心配そうな顔をして私を見つめている。


「レン様、まさか冒険者になるおつもりでは………」

「他に方法も無さげだし、一先ずはそれでもいいかなとは思ってるよ

 まぁ、もっといい方法があればそっちに切り替えるけど」

「それは………ですが、この人も言った通り冒険者は男性が幅を利かせています

 そんな所にレン様が入ったらどんな目に合うか………」

「まぁ実力主義みたいだし、こっちの力を見せやればいいんじゃないかな

 ゼーレンさん、ちなみに冒険者同士の争いって基本御法度なのかな?」

「基本はな、じゃがそれでも阿呆な奴はおるし、トラブルも結構ある

 特に嬢ちゃんは女だから突っかかってくる輩も多いじゃろうて」

「まぁそうだろうね、でもまぁ降りかかってくる火の粉を払ってれば

 そんな輩はそのうち近寄ってこなくなるよね」


正直、喧嘩は嫌いだけどこちらに危害を加えてくるなら容赦はしない。

元の世界でも自信過剰から突っかかってくる輩はいたけどここでもそうらしい。

なら、現実を思い知ってもらうだけだね。


「ほう? それはなかなか面白い見世物になりそうじゃな

 ………正直最近の冒険者は自信過剰な輩が多くてな、そいつらの鼻っ柱を

 嬢ちゃんが片っ端からへし折ってくれるなら痛快極まりないな」


そう言いながらゼーレンさんは豪快に笑う。


「言っとくけど、こっちから喧嘩売るような事はしないよ?」

「分かっておるよ、じゃがまぁ、暫くはトラブルに巻き込まれやすいじゃろうな」


まぁそうだろうね、一般冒険者の平均的な力量がどんなものかは分からないけど

ギルドとやらに入るときはちょっと気を引き締めておいた方がいいかな。


「よし、ならば儂が帝都のギルドまで同行しよう

 冒険者の新規登録は各国の首都にあるギルドじゃないと出来んからな」


あら、この街じゃできないのね。

まぁそういう事ならゼーレンさんに連れて行ってもらうのが無難かな。

帝都とやらの場所も知らないしね。


「それは助かるよ、正直まだ右も左もわからないし

 道すがら色々教えてくれると嬉しい」

「お安い御用じゃ、いや~若い嬢ちゃんと旅するなんて何年ぶりじゃろうか

 久々に楽しい旅になりそうじゃわい、わっははははは」


そう言ってゼーレンさんは呵々大笑する

よし………一先ずの行動指針は出来た、後フィルミールさんだけど

流石に私の都合にこれ以上巻き込む訳にはいかないかな。

そう思い、これまでの礼を言うためにフィルミールさんに向くと………







「レン様、私も冒険者になります

 どうか、レン様の旅に連れて行っては貰えませんか?」







決意を固めた表情で、私にそう言い放った。

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