表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
~時薙ぎ~ 異世界に飛ばされたレベル0《SystemError》の少女  作者: にせぽに~
時越えの詠嘆曲《アリア》
208/209

掴めない手掛かり

「うっわ、すっご……」


マリスが驚いた表情で閃光の先を見つめながら呟く。

私は思わす振り返り、閃光の先にいた下級悪魔(レッサーデーモン)を見る。

そこには、腕を振り上げたまま身体に大穴を開けた

下級悪魔(レッサーデーモン)が立っていた。

下級悪魔(レッサーデーモン)はその態勢のままうつ伏せに倒れ込む。

……流石に悪魔と言えどあれだと死んじゃうか。

一瞬動き出すかもと警戒をしたけどそれは杞憂に終わった、ならば

リーゼの援護に向かうべきだ。

そう思い今度はリーゼの方へ振り向く、すると……


「……中々の威力みたいですね、これを受ければ

 我とて傷を負うのは免れないでしょう」


いつの間にやらすぐそばに来ていたリーゼが下級悪魔(レッサーデーモン)

死骸を見ながら言って来る。

身体の所どころに青い液体が付着してるけど、あれは下級悪魔(レッサーデーモン)

返り血みたいだ、ぱっと見リーゼ自身が怪我を負ってる様子は無い。

そしてその奥には首や片腕が欠損した下級悪魔(レッサーデーモン)の死骸が転がってる。

敵じゃないとは言ってたけど1人で倒してしまうなんて流石だね。


「……ふぅ、取り合えずこれで何とかなったわね」


フィルは銃身を下げ立ち上がりながらひと息をついて言う。


「だけど、ゼーレンの言ってた通りの威力ね

 これ、扱い方を知らなかったら確実にレンを巻き込んでた

 ……悔しいけど感謝するしか無いわね」


手に持った長銃(ライフル)を眺めながらフィルは呟く。

うん、私より二回り以上大きい下級悪魔(レッサーデーモン)にあんな大穴開ける

威力を持った銃を狙いも付けずに打つなんて想像しただけでゾッとする。

……銃撃って狙わず撃たれる方が回避は難しいんだよね、実際。

まぁ狙わなければ当たらないのも銃なんだけど、それでも予想外の方向から

流れ弾が来る事はかなり怖い、使用武器が違うとは言えゼーレンさんは

その辺りをきちんと教えてくれていたみたい、まぁ基本中の基本なんだけど。

……とといけない、ここで気を緩めちゃダメだ。

私は周囲の気配を探る、あの下級悪魔(レッサーデーモン)とやらの気配は覚えた。

次からは視界を奪われたからと言って簡単に奇襲なんてさせない。

……と、張り切ってみたものの周囲にそれらしい気配はない

どうやらここにいたのはこの2体のみだったみたいだ。


「いや~、威力は凄い事になるとは思ってたけど

 下級悪魔(レッサーデーモン)に大穴開けるほどとはね~」


いつの間にやら下級悪魔(レッサーデーモン)の死骸の前でしゃがみ込み

興味深そうに眺めてるマリスが呟く。


魔導銃(アレ)作った奴らに見せてあげたいくらいだね~

 きっと腰抜かすと思うよ、あははははは」

「お断りよ、私が魔導銃(これ)を使うのはレンの為だけだもの

 魔導士連中の為に誰が使うものですか」


マリスの言葉にフィルが不機嫌な声で答える。

さて、たちまち戦闘は終わった訳だけど……


「魔族、ね……もしかしてここって魔族の住処だったりするの?」


頭に浮かんだ疑問を仲間達に聞いてみる。

襲撃の仕方が完全に待ち伏せのそれだったし、その可能性もあるかなと

思って聞いてみたけど、仲間達は全員首を横に振り


「そんな訳ないじゃん、魔族の領土ってここよりずっと東にあるんだよ

 それにこの下級悪魔(レッサーデーモン)ってさ、主に上位魔族が

 召喚して使役する為の存在だからそもそも住処なんて無いんだよ」


私の問いにマリスが苦笑いしながら答える。

ふむ、まぁ自分でも無いかなと思ってたから思った通りだ。

けど、そう言う事なら……


「なら、この近くに上位魔族とやらがいるって事?」


私の疑問にマリスは再び首を振り


「その可能性も薄いかな、上位魔族が使う事が多いってだけで

 下級悪魔(レッサーデーモン)って手順さえ守れば人間だって召喚できるんだよ

 それに一度召喚しちゃえば送還しない限り消えないし

 与えた命令をひたすらに黙々とこなしてくれる

 いわば『使い魔』って感じの存在なんだ

 だからあらかじめここに召喚してここに来た人間を始末する様に

 命令したって考えるのが自然なんだけど……」


マリスは答えながら周囲を見回す。


「マリス、何か引っかかる事でもあるの?」

「ん~~、引っ掛かるというか不自然さを感じるんだよねぇ

 王国の住人がここには何もないって言ってたし、実際何も無さげなんだけど

 マリス達が来たら下級悪魔(レッサーデーモン)が襲い掛かって来たんだよね

 ……これって誰かの思惑なんじゃないかな~ってさ」


私の問いかけにマリスが不審そうな表情で答える。


「誰かって誰よ?」

「それは分かんないよ

 ただ、下級悪魔(レッサーデーモン)何か使ってマリス達を襲わせたって事は

 その誰かはマリス達に()()()()()()()()()()()って

 可能性が高いな~って思っただけ

 ま、憶測に過ぎないけどね~」


フィルの問いかけにもマリスは答えた後、表情をふっと戻す。

ここを見られたくない、ね……

周囲を当たらめて見回すも変な所はない、鬱蒼とした森が広がってるだけだ。

となると……


「リーゼ、確か何か違和感感じたって言ってたよね?」


戦闘前にリーゼが呟いた事を思い出し、問いかける。


「はい、ですが……」


リーゼにしては歯切れの悪い答えが返ってくる。

視線もこちらでは無く遥か彼方を見つめているような感じだ。


「違和感……と言えば違和感なのですが

 ほんの僅かですが、()()()()()()()()()()()()を感じるのです」

「感じる筈のない気配?」


曖昧なリーゼの言葉に問い返す、リーゼ自身も表現に困っているようで

何とも難しい顔をして考え込んでいる。


「リーゼが感じている感じる筈のない気配ね……

 あまりに抽象的過ぎて想像もつかないわね」


フィルはリーゼが見ていた方向に向いて呟く。


「ん~、そうでもないかも

 実はここ、過去にドラゴンと魔族がやり合った場所だったりするんだよ

 リーゼが感じてるのはその残滓なのかも知れないよ」


だけどマリスは色んな所から情報を仕入れていたらしく

そんな事を口にする。


「そうなの?」

「うん、とは言えず~っと昔の話だけどね~」


思わずマリスに聞き返し、マリスも頷く。

成程ね、そうだとしたらリーゼが何か感じ取っても不思議じゃないかも。

だけどリーゼは首を振り


「いえ、戦いの残滓などと言うものでは無いのです

 こう、何と言うか……知らないのに知っていると言うか……

 ですがここにある筈のないものと言うか……上手く言葉に出来ません」


困惑したような、そして申し訳ない様な表情でリーゼは告げる。

う~む、益々抽象的だね……しかしリーゼが何か感じたとするのならば

確実にここには何かあった筈、それを察知させないために

下級悪魔(レッサーデーモン)をけしかけた?

……そう考えれば一応辻褄は合うけど、そうなると下級悪魔(レッサーデーモン)の召喚主は

リーゼの正体を知っていたって事になる。

それはそれで厄介な事態かも知れない、もしリーゼの正体がバレれば

私達は王国からも追放されかねない、リアの件がある以上それは避けたいかな。


「ん~~、まぁこれ以上ここにいても収穫は無さげかな

 リーゼの違和感は気になるとこだけど、それは他のとこに行ったら

 分かる事かも知んないし」


私が考えを巡らせている横でマリスがそんな事を言って来る。

……確かにこれ以上ここにいても仕方なさそうだ、ましてや

ここに長くとどまってると再び下級悪魔(レッサーデーモン)をけしかけられる

可能性だってある、無駄な戦闘は避けたいとこだ。


「そうだね、ここにいても収穫が無いどころかいいことは余り無さそうだし

 とっとと移動した方が良さそうだね」

「賛成ね、ぼちぼち日も暮れそうだし、そうなると

 魔物の姿だって増え始めるしね」


私の提案にフィルが乗っかり、他の二人も頷く。


「それじゃいったん王国に帰ろうか

 マリス、次の場所ってもう確定はしてるの?」

「ん~、確定にはもうちょっと時間かかりそうかな~

 とは言えそこまで時間はかからないから気長に待っててよ」

「そっか、ならそうさせて貰うよ」


私はマリスとそんな会話をしながら帰路に就いた……








そんなレン達を、遥か上空で見つめていた者がいる。

明らかに人ではない異形な者、その者はフンっとつまらなそうに息を吐き


「フン……まぁ、あの程度の力は予想通りか

 さて、次は――」


その者は誰となくそう呟いた瞬間、まるで蜃気楼のようにその姿が掻き消える。

その後にはただ、夕闇の帳が残されていた……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ