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~時薙ぎ~ 異世界に飛ばされたレベル0《SystemError》の少女  作者: にせぽに~
軌跡への遁走曲《フーガ》
124/209

王国のギルド

ラミカやカルビンさん達と別れ、ゼーレンさんやマリスに先導されて

王国内を歩く私達。

………街の雰囲気は帝国より明るめだね、帝国は質実剛健って感じだけど

王国は絢爛華麗って感じかな?

そして農業や畜産が盛んと言われるだけあってこうやって歩いてるだけでも

食べ物関係のお店だらけだ、様々な食料品店を始めとして

何かの肉を焼いてる屋台や具沢山なスープを店頭で煮込んでる店など

見てるだけでお腹が空いて来そうな場所だね。


「相変わらず食べ物関係の店が多いわね

 聖教にいた頃は戒律で食べられなかったものも多かったから

 ここを通るだけで結構な修行みたいな感覚だったわ」


フィルが歩きながらお店を眺めて呟く。


「そうなんだ、けど今はフィル何でも食べてるよね?」

「まぁね、冒険者となった以上戒律で食べられないって言ってられないし

 それに食べたからと言って別に罰せられるとかは無いのよ

 ………ただ、出世は出来なくなるけどね」


私の質問にフィルが少し苦笑しながら答える。

出世…ねぇ、宗教と言え組織だから上下関係はあるとは思うけど

もしかして聖教って思ってたより生臭いのかな?

だからフィルが出て行った………そんな感じなんだろうかね。


「………食べ物がいっぱい」


私の服を掴んだままトコトコと歩いてるリアが

きょろきょろと店を見回しながら呟く。

………そう言えば王都に入国する前に朝ご飯を食べたきりだったね。

そろそろお昼に近い時間だし、リアお腹が空いたのかな?


「リア、お腹空いたの?」


リアに尋ねてみるもリアはぶんぶんと首を振り


「こんなにいっぱい食べ物並んでるの………見た事なかったから」


そう言ってまた店を見回し始めるリア。

………王都の風景を見た事が無い?

ふむ…となるとリアは王都に住んでいた訳じゃないのかな?

いや…まだそう考えるのは早計かな、記憶が戻ってない状態でもあるみたいだし

もしかしたらこんな雑多な風景を見られる場所に

住んでなかっただけかもしれない、例えば貴族街とか………

ともあれ王国に来たからにはリアの身元を探すのも目的の1つだ。

なるべく情報を集めるように動いた方がいいだろうね。


「………っと、到着したぞい

 ここが王国の冒険者ギルドじゃよ」


ゼーレンさんが大きな建物の前で立ち止まる。

大きな看板が掲げられていて、そこにはでかでかと文字らしきものが書かれてる。

多分あの看板に冒険者ギルドとか書かれてるんだろうね。

建物からはそれっぽい格好をした人たちが出入りしてる。

帝国では見られなかった女性の冒険者の姿もちらほらと見える、鎧を着こんでる人や

水着顔負けのそれ着てる意味あるの!?と言いたくなるような格好の人

後マリスの様な魔導士っぽい人もいるね。


「へぇ、王国じゃ女性冒険者は珍しいものじゃないんだね」


ギルドの様相を眺めていて思わず口に出す私。


「その辺りは文化の違いじゃな

 帝国はつい十年ほど前までは女は男の道具と言う認識じゃったし

 マイーダみたいな例外を除けば女は家に籠って男を支えるのが

 常識と言う考えじゃったしな

 だから嬢ちゃん達の様なパーティは奇異な目で見られてたんじゃよ」


その辺りは散々体験させられたから印象に残ってる。

けど、王国なら女性冒険者が普通なら私達も少しは風通しが良くなるのかな?


「ま、王国なら私達が冒険者やってても変な目で見られる事は無いでしょ

 見ての通り女性冒険者もそこそこいるしね

 そう考えると帝国にいた時よりは環境的にはいいのかもね」


フィルが少しだけ気の抜けた表情をして口にする。

まぁフィルにとってはあの男所帯はしんどかっただろうしね。


「フィルミール嬢ちゃんの期待に水を差す様で悪いが

 王国は王国で面倒な事があるからの

 その辺りは一概には言えんぞい」


けど、ゼーレンさんがその言葉を否定して来る。


「ん?王国も何か私達の風当たりが強くなりそうな事があるの?」


思わずゼーレンさんに聞き返す私。


「王国は帝国と違って性別での差別は基本無いんじゃが

 先ほども少しと言ったと思うがかなり厳しい身分制度があるんじゃよ

 王族、貴族爵位、上民、下民、奴隷………と言う感じにの

 基本上の階級の人間には逆らえんし、逆らったらまず殺されるとも

 思っとった方がええくらいの感じの奴がの」


うわ、そんな感じの身分制度があるんだ………

切り捨て御免がまかり通ってた江戸時代みたいだね、まああの制度は

よっぽどじゃなければ適用されなかったらしいけど。


「ちなみに儂ら冒険者は基本的には『上民』扱いじゃ

 尤も、下民自体は犯罪を犯したりした輩の呼称じゃから

 一般人と同じじゃと思っといたほうがええ」


ふむ、そんな感じなんだ。

士農工商みたいに職業別で身分を設定されてる訳じゃないんだね。


「もう少し詳しい話は王国のギルドマスター、【エウジェニー】が

 やってくれると思うからの、聞きたい事があればその時に聞けばええ」

「お、やっぱりギルドマスターはエウジェニー姉ちゃんのままなんだ

 確か会うの2年ぶりぐらいかな~、やっぱり変わってないよね?」

「勿論じゃとも、相変わらずの様子じゃ」

「あははは、それは楽しみだね~」


ゼーレンさんの説明にマリスが割り込んでくる。

ここのギルドマスターも女性なんだ。

となるとマイーダさんみたいな肝っ玉母さんな感じな人なのかな?


「………マリスが気に入ってる人間の時点で不安しか無いんだけど」


フィルが不安そうな表情でため息を吐きながら呟く。


「ま、まぁ確かにマリスが気に入るような人だから

 多分変人だろうけど悪人じゃないだろうから………」

「それ…自分も変人って言ってるようなモノよ、レン」

「う………」


私のフォローに冷静にツッコミを入れてくるフィル。

いや確かに普通の女子高生じゃないとは自覚してたけど変人にカテゴリされるのは

ちょっと遠慮したいかなぁ。


「ま、私はどんなレンでも愛せる自信はあるけどね♪」


そう言ってウィンクをするフィル、いやそれ全然嬉しくないから。


「と、兎に角ギルドに入ろう

 ゼーレンさん、手続きは帝国と同じなんですよね?」

「いや、嬢ちゃん達に関してはマイーダから連絡が行っておるし

 儂もある程度の話は通しとる、直接ギルドマスターのエウジェニーに

 会えばええ筈じゃ」

「そうなんだ、なら不必要にリアを待たせる必要は無いかな」


取り合えず手続きに時間がかからなそうなのは一安心だ。

多分大人しく待ってくれてるとは言え、リアを大人しかいない空間で

待たせることにはなら無さそうなのは有難いね。


「そんじゃ行こっか~

 んっふっふ~、色々な意味で楽しみだね~」


マリスが上機嫌でギルドの中に入って行き、ゼーレンさんがその後に続く。

何かマリスがあそこまで上機嫌だと絶対何かあるよね………用心しとこう。






ギルドの中に入ると思ってたより人の数は少なく、喧騒もそこまでじゃなかった。

仲間内で談笑や食事をしている冒険者達が一瞬だけこちらを見るも

直ぐに会話や食事に戻ってる。

ギルドに入るだけで一斉に注目を浴びる羽目になった帝国とはえらい違いだね。


「今戻ったぞ、エウジェニーはおるかの?」


ゼーレンさんはそのままつかつかとギルドのカウンターに行き

受付らしき初老の男性に声をかける。


「ゼーレン、もう戻って来たのか

 あれだけ楽しそうに出て行ったのに随分と早い帰還だな」


受付の人は親し気にゼーレンさんに答える。

何か気心の知れた関係っぽいね。


「やっほー、イマノルのおっちゃん久しぶり~」


続いてマリスがニコニコ顔で手を振り話しかける。


「お………来るとは聞いていたが久しぶりだな

 2年も経つのに一向に背が伸びんな、お前さんは」

「ま~ね~、最近楽しい事が多すぎて

 成長する暇が無いんだよ、あははははは♪」

「ふっ、相変わらずの様で何よりだ」


マリスの奇妙な言い回しにも動じず笑みを浮かべる受付の人。

どうやらこの人ともそれなりの付き合いがあるっぽいのかな?


「それで………後ろの嬢ちゃん達がお前が話してた子らか

 成程、ゼーレンが浮かれるのも無理はない器量良しばかりだな」


そして受付の人は私達に目線を移し、1人1人確認する様に見つめてくる。

フィルが僅かに眉を顰めるけど、まぁこの辺りは我慢してもらうしかない。


「話は聞いている、中々に面倒な事に巻き込まれたようだな

 だが、ウチとしては有能な冒険者が来てくれるのは大歓迎だ

 ギルドマスターも会えるのを楽しみにしてた様だしな、直ぐに伝えるよ」


そう言って受付の人は奥の部屋に入っていく。

さてさて、どんな人が出てくるのやら………

 

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