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~時薙ぎ~ 異世界に飛ばされたレベル0《SystemError》の少女  作者: にせぽに~
軌跡への遁走曲《フーガ》
117/209

王国道中記

初投稿から丁度1年過ぎました。

まだまだ先は長いですがお付き合いいただければ幸いです。

「ギチギチギチギチ」


耳障りな音を立てながら目の前の魔物が私の前に立ちはだかる。

魔物の見た目はカマキリそのものなんだけど大きさがまるで違う。

背の高さはリーゼくらいあって、鎌を広げたその大きさは

見た事のあるカマキリの数十倍だ。

………今度はデカいカマキリとはね。

エルシェーダ(ここ)って色んな生物が巨大化してるなぁ。

私はそんなどうでもいい事を考えながらデカカマキリと対峙する――――


ゼーレンさんと再会し、一緒に行動する事になって2日

散発的な魔物の襲撃を受けたり、途中の村によって食料などを

調達したりしながらだけど王国への旅路は順調に進んでいた。

前にマイーダさんが言った通り、ここの魔物は帝国に出没するモノより

弱いみたいで、ほぼほぼ速攻でリーゼが1人で片づける展開になっていた。

まぁ、普通に考えてあんなデカい戦斧を振り回されたら

いくら魔物だと言ってもひとたまりもない訳で………

そんな風に淡々と魔物を両断していく様子を、少し離れた場所で

リアは少し驚いた表情のままずっと凝視し、ゼーレンさんは

感心したような雰囲気で顎髭を撫でながら眺めていた。

ちなみにリアは誰に言われずとも戦闘時にはゼーレンさんの傍に行く様になった。

その姿にちょっとだけ寂しさを感じだけど仕方ない、今の私は

リアを庇いながら戦う事なんて不可能だからね。


「リーゼ、凄く強い………」

「まぁドラゴンじゃから当然とは言えるが、それにしても

 いとも簡単に魔物どもを薙ぎ払っていくのう」


それぞれ感想を呟く2人、まぁ確かに見た目のインパクトは凄いよね。

私達も初めて見た時は驚いたもん。

けど、こんなリーゼが自分の10倍以上の大きさの魔物をブン投げたって

言ったら2人はどんな表情をするのだろうか………ちょっと言ってみようかな?

そんなマリスみたいな感情が頭によぎるが、それを表に出す間もなく

リーゼによる魔物の蹂躙は終了する。


「マスター、魔物を片づけました」

「お疲れさまリーゼ、今回も問題なかったみたいだね」

「はい、マスターの教えのお陰です」


リーゼはそう言って少し目尻を下げる。

そう言ってくれるのは嬉しいんだけど、恐らくリーゼの力なら

そんなもの無くてもこの程度の魔物なら問題なく倒せそうな気もするんだけどね。


「見事なものじゃの、リーゼ

 力押しだけでなく、きちんと攻撃を当てる様に動いておる

 その辺りはレン嬢ちゃんが教えたんじゃろ?」


感心した様な笑みを浮かべながらこっちに近づいてくるゼーレンさん。

流石にその辺りはすぐに分かっちゃうみたいだね。


「そう言う約束だからね、私の我儘に付き合って貰う代わりに

 私の戦い方を教えるって」

「そうじゃったか、しかしレン嬢ちゃんの動きを覚えたドラゴンか

 これは敵対する者としては中々に凶悪な組み合わせかも知れんの、はっはっは」


私の答えにゼーレンさんは笑いながら返す。

流石に武器が違い過ぎるから私の動きをそのまんま再現は出来ないだろうけど

それが実現出来たら確かにリーゼの強さは格段に上がるね。

取り合えずリーゼの鍛錬方式はそれを目指していくべきかな。

そんな事を考えながらリーゼの戦闘跡を眺める、そこには五体満足の魔物はなく

バラバラになった魔族の死骸をせっせと解体してるマリスがいる。


「お~お~、今日も大漁だ~ねぇ

 この調子でいけばいい感じに触媒が集まるかも♪」


ホクホク顔で魔物を解体していくマリス、本人曰く

「何か新しい分野に目覚めた!!」と意味わからない事を言い出して率先して

魔物の解体や魔晶石の回収を買って出てくれたのだ。

正直言って助かるんだけど………また変な事を始めて無いよね、マリス?

まぁ確かに魔物の素材とか魔晶石なんてマリス以外に使い道は無いから

売るしかないし、それでマリスが喜んでくれるなら構わないんだけどね。

一先ずマリスの解体を待つ私達、当然ながらその光景は

リアには見せない様にしてる、あまり気持ちのいい光景じゃないしね。

今はゼーレンさんが何か話を聞かせていて注意を引いてる状態だ。

とは言えぼーっとしてるのも時間がもったいない、少し偵察に出るかな。


「フィル、ちょっとこの先の様子を見てくるからリーゼの回復お願いね」


隣に立っていたフィルに一言声をかけ、返事を待たずに街道の先へ進む。

返事を聞かないのはフィルは絶対に一緒について行くって言ってくるからだ。

別にフィルが邪魔って訳じゃないけど、それでも偵察は身軽な方がいい。

………とは言え、帰ってきた後はまた怒ってるんだろうなぁ。

若干憂鬱になりながらも、辺りの気配を探りつつ街道を早めのペースで歩く。

………周りに魔物の気配は無し、流石にあれだけリーゼが倒せば

普通の魔物は引っ込んじゃうか。

リーゼが戦ってた場所はここからでもよく見える、あんな蹂躙劇を見せられて

それでも挑んでくる魔物は知性が無いかそれ以上に力を持ってるかのどちらかだ。

となれば暫くは安全に先に進めそうかな。

そう思って踵を返し仲間達の元へと戻ろうとすると目の端に妙なものが写り込む。

………あれは、人だかり?

街道の先に人の集まりの様なものが見える、けど流石に遠すぎて

何をやってるかまでは分からないね。

しかし何でこんな開けた場所に人だかりが………ちょっと気になるね。


「………ん、みんなと少し離れすぎだけど様子を見た方がいいか」


みんなに申し訳ないかなと思いつつも、私は警戒しながら人だかりに近づいていく

さて、厄介事じゃなければいいんだけど………





「あれは………商隊?それにしてはまとまりがないような………」


警戒しながら人だかりに近づいた私、そこには商人らしき数人の男女が

離れた場所に荷馬車も置いて何やら話し込んでいる様子だった。

話している様子から切羽詰まった様子じゃないみたいだけど、こんなとこに

商人が集まって何話してるんだろ、こんな場所で商談って訳でも無し

何かあったのかな?

周囲の気配を探ってもその人達以外に怪しい気配はない。

ふむ………ならばとりあえず話を聞いてみようかな。


「すみません、こんな所に集まってどうかされたんですか?」


私は取り合えず無警戒に近づき、おもむろに商人の1人に話しかける。


「ん?おや珍しい

 女の子が1人でこんな所を歩いてるなんて、よく魔物に襲われなかったね」


口髭の生えた恰幅のいい商人は話しかけてきた私を見て心配そうな表情をする。

おんや意外な反応、てっきり胡散臭げな目で見られるかと思ってたのに。


「いえ、後ろの方に連れが数人いるんです

 私だけちょっと先の様子を見にきたら商人さん達が集まってるのが見え………」

「あーーーーーーーー!!レン!!

 何でここにいるの!?」


わっ、何!?

商人の返答中にいきなり叫び声が聞こえる。

って、この声聞き覚えがあるんだけど………もしかして


「やっぱりレンだ!!どうしたのこんなとこで!?」


声のした方へ振り替える、するとそこには見知った顔………

ラミカが驚いた顔で駆け寄ってきた。

これは驚いた………こんなとこで知り合いに会えるなんてこれで2度目だよ。


「ラミカ、知り合いなのかい?」


それを見た商人さんがラミカに尋ねる、まぁ当然だよね。


「ええ、この子は帝国で冒険者をしてるレンって言う子なんです

 前に私の護衛を引き受けてくれたのが縁で知り合ったんですよ」

「へぇ………こんな女の子が冒険者なのかい?」


ラミカの返答に商人さんが意外そうな目で私を上から下まで眺める。

不躾な視線じゃないけど、なんだか値踏みされてる感じがするね………

まぁ商人の性なんだろうけど。


「えっと…レン=キミヅカです、ラミカの言う通り冒険者やってます

 宜しければどうぞ」


取り合えず身の証を立てる為に冒険者証を取り出す、商人さんはそれを

しげしげと眺めた後、感心した様に頷き


「これは………中々大した討伐歴だね

 成程、見かけによらず君は腕の立つ冒険者の様だ」


そう言って私の目をじっと見据えてくる。


「自己紹介が遅れたね、私の名はカルビン=シモンズ

 見ての通りしがない旅商人だよ」


カルビンと名乗った商人さんは人当たりのよさそうな笑顔を向ける。

………何と言うか、商人にしては人のよさそうな御仁だね。


「っとそうだ、レンがここにいるならフィルミール達も一緒だよね?」

「ん?うん、そうだよ。

 マリスもリーゼも一緒だけど」


唐突に質問して来るラミカに少し面喰いながらも答える。


「わ~、なんてタイミング!!

 カルビンさん、レン達なら何とか出来るかも知れませんよ」


ラミカは若干興奮しながらカルビンさんに話しかける。

………あ、なんかトラブルな予感。


「ふむ………そうだね

 このままでいる訳にもいかないし、話してみようか」


ラミカの言葉に一つ頷くとカルビンさんは私の方へ向いた。

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