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回顧録  作者: 柿原椿
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音楽家ではありません

 あだ名ってあるよね。

 本名とは違う呼び名。

 親しみを込めたのもあれば、蔑称みたいな奴もある、あれ。


 大抵は名前が原型を留めたものが多いと多いと思うんだけど、僕は今変なあだ名で呼ばれてる。

 高校の時につけられたんだけどね。ジョンって何なの? 犬なの?


 実をいうと中学一年生の時も変なあだ名をつけられた。


 音楽の時間でさ、その日はリコーダーかなんかの実技テストがあって、六人一組くらいでピアノの前でテストしてたんだよ。

 それ以外は教室で待機。正味くっちゃべってても何も言われない。

 僕は出席番号が若かったから、早々とテストを終えると、自分の席でぼーっとしてたんだけどさ。

 女子サイドから「柿原に…」ってクスクス笑う声が聞こえてきたんだよ。

 俄然気になったね。何話してんだろうって。全然聞き取れなかったけど。


 そしたら女子の一人が僕を呼んだのさ。「柿原ー、ちょっとこっち向いてー」って。

 したら僕の顔を見て爆笑してやがんの。「ウケる―」じゃねえよバカ。

 何で笑われてるのかもわかんなくて、どこか居心地の悪さを感じてたら、一人の女子が言うのね。「モーツァルトに似てる」って。


 音楽室って、著名な音楽家の肖像画が飾られてるじゃん。僕の母校も例にもれず、壁いっぱいに肖像画が飾られてたんだけど、その中のモーツァルトの絵と僕の顔が似てるって言いやがんの。


 どこが? って思ったんだけどね。

 まあインパクトがあってだね。一年間一部の人間にモーツァルトって呼ばれる憂き目にあってたんだ。


 何も嬉しくないからな?


 因みにそう呼ばれてたのは一年生の時だけ。

 うちは近隣の小学校の卒業生全員が進学する公立中学校だったから、生徒数クラス数が多くて、二回以上同じクラスになる人が稀だった。

 特に僕はコミュニティーが大きくなかったから、進級の旅にクラス内の人間関係がリセットされる感じだったわけね。


 変なあだ名からは脱却できたけれど、僕の人間関係の希薄さを表しているようで、どことなくもの悲しさもあるけれど。



 高校でついたあだ名はまた別の機会に話したいと思う。

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