表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
回顧録  作者: 柿原椿
2/12

筋肉にお願いしてなかったツケ

 僕は中学時代、すごく暗い少年だった。

 陰キャ、人見知り、コミュ障、内向的、世間知らず…。こんなところかな?

 敬遠されがちな要素をまとめて詰めた逆福袋みたいな。


 そんな中学生になってしまった原因はもちろん様々あるんだけれど、それについてはまた今度話すことにしよう。

 今はこの中学期にあったことを一つ思い出した。



 僕は剣道部に所属していた。

 理由は、小学生の時に習っていたからで、特に続ける理由なんてなかったんだけど。惰性ってやつかな。


 で、その剣道部なんだけど、僕が三年生になった辺りから男女合同で練習するようになってきたの。


 いや、この言い方は正確じゃないかな。

 男女一緒に練習はしてたんだけど、武道場を半分に分けて使っていて、男女混合で打ち合ったりすることはなかったってこと。


 二年の末頃に、とある事件があって顧問がいなくなってから、部内でいろんな方針転換があって、これもその一つだったわけよ。



 僕の同期の女子部員に春日井って女子がいた。

 こいつがまたガタイがよくて、当時僕よりも身長が高かった。


 剣道の練習メニューで、「合い掛かり」っていうお互いに打ち合うプチ模擬試合みたいなのがあるんだけど、ある日春日井と当たったんだよ。

 まあはっきり言うと舐めてたんだよ。


 因みに僕は剣道はそんなに強くない。

 対して春日井は女子レギュラーで副部長。

 だから剣道の実力っていうより、女子の腕力とかそういうのを過小評価してたの。


 面! って体当たりされたときにさ、体の力を抜いてた僕はそのまま弾き飛ばされた。

 よく漫画とかアニメとかで見ない? 壁に叩きつけられる不良とか、相手を舐めてかかって一瞬で打ち飛ばされる生意気な奴。

 まさにそれだった。

 弾き飛ばされた僕は、そのまま壁に叩きつけられるようにぶつかった。手から落ちた竹刀がガラガラと音を立てて床に転がって、僕はぽかんとしてへたり込んでた。

 意外と痛いんだね、あれ。主に腰が。


 したら春日井がトテトテ走り寄ってきて、「大丈夫?」ってさ。

 申し訳なさそうに手を差し伸べて言うわけよ。


 自分の手で立ったわ。

 恥ずかしいやら悔しいやら、そんな気持ちがないまぜになってさ。



 こんなことを思い出したのは、今周りで筋トレしてるやつが増えたからなのかな。

 友人の石村くんなんて、筋トレの成果をちゃんと出して二の腕をガッチガチにしてるよ。なんでそんなにみんな筋トレするのか知らないけどさ。



 まあこんな気恥ずかしい過去を思い出してしまったんだから、この際僕も筋肉にお願いしてみようかな。

 三日坊主ならぬ一日坊主で終わっちゃいそうな気がしないではないんだけどね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ