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アクロス~乙女は水上に舞う~  作者: オシボリ
9/27

インターバル(エンプラ校

「黙ってましたね?」

「えっ、何を?」

 

 クロエに詰め寄られ、レベッカはとぼけた表情を見せる。


「あの8番ですよ。あんなすごい選手がいるなんて聞いてませんよ」

「言ったら、あんた今日来なかったでしょ」

「当たり前ですよ。なんならアクロスを辞めて、別の競技に転向してますね」

「それなら正解だったね。言わなくて」


 クロエはレベッカを睨む。


「ふざけないでくださいよ」

「でも彼女、ホントにスゴイでしょ」

「えぇ、あなたがアークロイヤルって呼んでるのも少しわかる気がします」

「私ね。昔、荒れてたんだ」

「昔? 今は違うんですか?」

「ハッハッハ。これでも丸くなったんだよ。それでね、毎晩遅くまで悪いダチと遊んでたんだ。学校も行かないでね。いつものように遅く帰った時ね。酔っ払ったオヤジがテレビを消し忘れて寝ていたんだ。そこにね、写ってたんだ。ダイジェストだったけどね。エンタープライズ対式島校のアクロスの試合がね。鷲尾岬って名前だった。すごい選手だったよ。素人の私でもすごいってわかった。うちらのチームは彼女一人にやられてたね。ザ・エンペラーって呼ばれてた。その後ろ姿は、皇帝の貫禄があったね」

「なんの話ですか?」

「まぁ聞きなよ。私は彼女に憧れた。やんちゃは辞めてね、アクロスを始めた。必死に練習した。勉強もやった。この学校に入りたかった。そして去年、レギュラーで出場させてもらった。でもそこに皇帝はいなかった。そりゃそうだよね。学年が違うんだ。皇帝のいない式島校は、言っちゃ悪いがつまらないチームだったよ。でもね、途中交代で彼女が入ってきた」

「それが8番ですか?」

「そう。私はシビレたね。まわりは気づいてないようだったけど、私は一瞬でわかった。こいつは別格だって。彼女はきっと、このチームを復活させる救世主になる」

「それで救世の船。アークロイヤルですか」

「そう。実際、面白いチームになってるだろ?」

「どうですかね。あの6番は、わけわかりませんが。あれも隠してたんですか?」

「あれは私も知らないよ。アークロイヤルがあんなのを連れてくるなんてね」

「どーすんです? 結局、長々話されて、解決策の一つも出てきませんでしたよ。ハリウッド映画の会議シーンでももう少し、実のある話をしますよ」

「あんたが、いるじゃないか」

「冗談。私はコミックヒーローじゃないんです」


 期待してるよ。と肩を叩くレベッカに、クロエは大きくため息をついた。


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