1Q-1
「久しぶりだね。アークロイヤル、ヒメコ」
姫子は、何も言わずスっと手を挙げ、それに応える。
「相変わらずだね。一年で少しは変わったと思ったけど」
「変わったさ。私も。みんなも」
「それは楽しみだね」
そう言うと、レベッカ・テーラーはクロスを構えた。
姫子も同じようにクロスを構える。
お互いのクロスのネット部分の裏側をくっつけ、そこに審判がボールを挟む。
ホイッスルと同時に、弾かれたボールは、天高々と舞い上がる。
これが、ドロー。試合スタートである。
高く舞い上がったボールは、式島校側のエリアにボチャンと落ちる。
一番近くにいた束田恵はそれを拾うと辺りを確認した。
真希奈と姫子はすでに敵陣へと滑り出している。
それと同時に、相手選手も恵のボールを奪わんと迫ってくる。
「ヒメッ!」
恵は姫子へとパスをする。
姫子はそれをキャッチするが、すぐに囲まれてしまう。
「行かせないよ。アークロイヤル」
「その呼び方、やめてくれないか」
姫子は自身の前に立ち塞がったうちの1人、シャーロットにそう告げると、真希奈へとパスする。
「行きなさい、マキ!」
「はい!」
真希奈がキャッチした途端、真希奈の手に衝撃が走る。
「チェック!?」
エミリアは真希奈のクロスを叩くと、真希奈のクロスにあったボールは弾かれ落ちる。
「いだだきぃ」
それを双子の妹、アメリアが拾うと前線へとパスをする。
「ナイス、パァァス! 行こうかぁあ」
アメリアのパスをキャッチしたレベッカは、そう言うと、ロンミィの恵、ディフェンダーの木目藍子を一気にかわすと、ゴールに迫りシュートする。
レベッカの放った高速のシュートは、ゴーリーの吾妻佳代のクロスの脇をすり抜け、ゴールネットに突き刺さった。
「しゃぁぁあ!」
レベッカのガッツポーズに会場が湧き上がった。