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ビールレストランを準備しよう

第三十話 ビールレストランを準備しよう


 「ええと、明日の配置ですが、ロキとゲルはメイド服で。ゲル、ロキにメイド服を一枚貸してあげて。ガッコさんとフレヤさんは自由に動いて下さい。ミセコール卿がお二人に会いたがっているみたいです。知り合いですか?」


 俺はみんなに確認を取る。サラリーマン時はこんな事を良くした。全員を集めて確認し、指示を出さないと当日は上手に動けないからね。実はヘンリッキに仕切ってもらいたいのだけど・・・どうして俺?


 「うむ。コニーじゃろ? 又剣を折ってやるぞい。フレヤ、火の玉をぶっ放すのじゃな?」


 「ガッコ、何言っているの。もうしないわよ。止めてよ」


 なんだ? どういう関係だ? まあいいや。


 「ロキはビールの場所で氷を頼む。ゲルはビールを注ぐだけかな?」


 「そうね、しかも御貴族様だから荷が重いわ」


 ロキは少し嫌そうな顔をする。


 「セリーリアを含めて三人、メイドを用意しましょう。セリーリアは紅茶の準備も頼む」


 ヘンリッキは俺に答える。


 「もう立派なレストランね。確かに荷が重いわね」


 フレヤがやれやれと言う顔をする。


 「ええと、明日のメニューはハーブチキン、野菜のスープ、パンの腸詰め挟み、ピザです。最後に紅茶を出すかは当日にお聞きして決めましょう。お付きの護衛とか来ますよね? お付きの方にはパンの腸詰め挟みとビールを一杯だそうかと。料理は僕がします。補助が欲しいな。ヘンリッキさん、誰かいませんか?」


 「補助は私の妻にさせます。明日は、ミセコール卿ご夫妻と御長男様ご夫妻がいらっしゃいます。あとは私の父と母が席に着きます。私と妻は料理不要です。さて、ビールの評価ですが、ジョッキ一杯銀貨二枚に設定します。エールだと一杯銅貨一枚程度ですね。希少性が高く高価にします。コップだと四杯分。お一人銀貨五枚でいかがでしょうか。お付きの方は銀貨一枚。合計金貨三枚です。食事としては非常に高価ですが、ビールの希少性、料理は初めての品ばかりですし」


 ヘンリッキが俺を見るので、フレヤを見る。お金はフレヤに任す。因みに王国で俺が食べた食事は小銅貨五枚だった。不味いけど。


 「いいわ。こちらは文句ないわ」


 フレアは頷く。


 「ところで、ビールはどのくらい供給出来そうですか?」


 ヘンリッキの問いに、俺はロキに確認する。


 「ロキ、ホップは後何回収穫出来そう?」


 「四回ね。それ以上は無理かな。来年はもっと増やすよ。あ、私で来年のビールの量が決まるの? あら、頑張らないと」


 「ヘンリッキさん、あの樽に二つですね。あの半分の樽に仕込みたいな。ガッコさん、半分の樽を何個か買いましょうよ。あの樽は大きすぎるかな」


 「あの樽で二つですか・・・小さい樽にして二回物納して貰います。二回、今回のようにレストラン形式でお願い出来ないでしょうか。あの半分の樽だとジョッキで何杯取れます?」


 「五十杯ですかね。今年度は半分の樽で金貨十枚ですか? 凄いな」


 俺は思わず声が出た。先行特権だ。


 「ええ。構いません。良いですか? フレヤ殿。来年は恐らく半額でしょうか。生産量が増えたら値が下がりますので、ご承知置きを」


 ヘンリッキがフレヤを向く。フレヤは頷く。


 「いいわ。紅茶はまた今度話をさせて」


 「フレヤ殿、実はエージ君に算盤の指導を仰ぎたいんです。この件もまた後で話をさせてください」


 「わかったわ。明日エージ君と伺うわ」


 「よし、じゃぁ後はいいですか? あ、時間はどうします?」


 「昼と夕食の間です」


 「よし、では解散です。明日はお願いいたします」


 俺は打ち合わせを終わらせた。皆家に帰っていく。俺はゲルを呼び止めて明日の仕込みを行う事にした。二人で鶏三羽分の肉を捌き、鶏ガラスープを取った。かなり時間が掛かった。


 「ふう、疲れた。なんかようやく軌道に乗って来た感じだね」


 「ありがとう、ゲル。助かった」


 「うん」


 ゲルは俺に抱きついてきた。良い匂いがする。胸が俺に当たる。どうしたんだ急に。ドキドキする。俺はゲルが好きだ。龍だけど、好きだ。


 俺はゲルを抱き寄せ、キスをした。長いことキスをした。お互いの舌を確かめ合った。


 「スケベ」


 くすりとゲルが笑い、俺の腕からすり抜けた。


 「明日頑張るんだよ、エロご主人! じゃぁ帰るね!」


 「ゲル、大好きだ!」


 「べー。私はわからないよーだ。私は人間じゃ無いしね!」


 ゲルは走って帰って行った。


 俺はベッドに潜り込んだ。頭の中はゲルで一杯だった。まるで初恋の様だ。いや、この体になって初めてのキスだ。初恋で良いだろう。ゲルのことを考えていたら、いつの間にか眠りに就いていた。


 翌日、朝から準備で大忙しだった。ゲルにはパンをとにかく大量生産して貰った。新たにパンを焼く石の板が届いたのだ。今までは丸い、ハンバーガーのバンズみたいなパンだった。鍋で焼いていたので仕方がなかったのだが、今回からコッペパンの形にした。本当にホットドッグが作れる。ゲルは本当に嫌な顔をしながらパンを焼いている。


 ロキとフレヤ、ガッコフルーグで会場の整理、掃除。ガッコフルーグは戦力になってない。代表だしいいか。代表の仕事はこれからだ。


 ヘンリッキとセリーリア、メイド二名で食器の準備。川で洗い、綺麗に拭いている。やはりヘンリッキは働いていないと思ったら、ガレンドールに戻って行った。


 俺とヘンリッキの奥さんのメリヌと二人で料理の準備をしている。メリヌも豊満で、色気が凄い。セリーリアを産んだとは思えない。ゴメンね、三十のおばさんで、と言っていたが俺は基本的に三十八才だ。十分年下である。でも俺はゲル一筋と気を引き締めるが、ぴったりしたメイド服で揺れる胸は暴力である。本当に参ったのはお尻だ。大きくて引き締まったお尻。本当にたまらん。ロキとゲル、セリーリアのメイド服は体のラインが出ない。なんでメリヌのメイド服は体にピッタリしているんだ? 本当に止めて欲しい。俺は尻フェチなんだ。メリヌは俺の理想の体だ。本当に困った。舎利子。色不異空、空不異色、色即是空、空即是色。知っているか? 舎利子って釈迦の十大弟子だぜ。


 料理の準備も終わり、ピザも焼けば良い状態になっている。大皿にハーブチキンが盛られ、パンの腸詰め挟みは三つに切られて大皿に盛られている。ポトフは温められている。


 「エージ君、君はあのレザーアーマーを着ておいで」


 「え?」


 「ミセコール卿はそういう奴なのよ。帯剣するのよ」


 気が付けばガッコフルーグもフレアもこれからダンジョンに潜るかのようなスタイルだ。帯剣も鎧も、特にガッコフルーグは背中に斧を背負っている。斧は抜き身だから危ないぞ?


 仕方が無いので二階で鎧を着てくる事にした。メリヌが手伝ってくれると言う。二階に上がると、慣れた手つきでメリヌが鎧を着せてくれる。しゃがんだり、座ったり、いちいち体を見せつけてくる。くそ。参った。股間が痛い。


 「うん、素敵な鎧よね。ガルーグ工房かしら? 本当に格好いいわ。ねぇ、要らなくなったら引き取るわよ。いや、本当に譲ってほしいわ」


 「譲りませんよ。鎧が好きなんですか?」


 「ええ。防具屋の娘なの。セリーリアにフルプレートアーマーを買おうとしたら要らないって言われてね」


 そりゃそうだ。欲しがるのは龍のゲルくらいだろう。


 下に降りて行くと、心なしか皆緊張している。


 「ゲル、蒸着だ。場を和ませろ」


 「嫌よ。恥ずかしいじゃない」


 あんなにノリノリだったのに、恥ずかしいのか・・・


 「来たわよ。みんな、外で出迎えるわ。並んでね」


 フレヤの声で入口にメイドと共に並ぶと、遠くに馬車が見えて来た。ん? 乗馬している騎士が先頭だぞ? 同じく乗馬した騎士が六名だ。ガッコフルーグが斧を取り出し、道に仁王立ちだ。フレヤは呪文を唱え始めたぞ? あ、ガッコフルーグが淡く光った。何か魔法を掛けた。


 騎馬隊が近づいてくると、先頭の騎士が降りてきた。


 「はぁぁぁ!」


 騎士は上段から思いっきり剣を振り下ろす。ガッコフルーグが斧で受け流す。


 「ふぬぅぅぅぅ!」


 ガッコフルーグが斧を横に薙ぐが、両手に持った剣で止められる。


 「錆び付いておらぬな! ガッコ師匠!」


 「小童が、生意気な! じゃが歓迎しよう! コニー! ついて参れ! 旨い酒が有るのじゃ!」


 騎士団長を小童呼ばわりだぞ。師匠って、ガッコフルーグは斧だろ。いいのか? ガッチリと握手している。次はフレアとも握手だ。ここは戦場か?


 「ね、何あれ?」


 ゲルが不思議そうな声を上げる。


 「言っておくけど非常識だからな」


 隣でセリーリアが小さく笑っている。さぁ、レストランエアドールの開店だ。


お読み頂いてありがとうございます!

本日二回目の配信です。

レストラン編、長くなったので後編もあります。

新たにブックマークを頂きました。

本当に嬉しいです!

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