表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ペットの犬  作者: ナオ
8/17

8

俺はとある噂を聞きつけこの地域にやってきた。なんでも最近来たサーカス団に関してだ。

犬ならどんな種類、雄、雌、年齢関係なく言い値で引き取ってくれるらしいという。

最初は眉唾もんだったが、その地域に来てみて驚いた。とある敷地にあるサーカス団に犬を売り渡そうとして行列が出来ていた。行列の1人に声を掛けてみたらもう欲望の塊という様な目付きをして順番をまだかまだかと待っていると語ってくれた。


「この行列はいったいどうしたんだい?」

「どうだ、すげえだろう?みんな犬の引き取りの順番待ちだ。しかも言い値で引き取ってくれるという話だ。」

「いったいどこまで列をなしてるのかな?」

「さあ、言い値で引き取ってくれるなら少しぐらいの順番待ちも苦にならねえさ。あんたも1匹でも持ってきてみなよ。今からどれだけふっかけようかわくわくしてるぜ。」

「そうか。ありがとな。」

「いや、どうって事ねえよ。」


俺はひとまずその場を離れ、行列の面々の様子を観察してみた。


ペットの犬との別れを惜しむ者、何匹も引き連れて売り払う気満々の者、他の人に盗られないか周りを警戒する者。それぞれ目先の金欲しさの為と引き取られた後の元飼い主という誇りが入り混じった顔を浮かべていた。


中にはどこでにもいそうな他人の犬目当てで因縁を付けては奪い去る光景も見受けられた。

弱者は強者に財産になりうる犬を奪われ泣き尽くす者、とほうに暮れる者。まさに無法地帯とも呼べる惨状であった。


そんな俺は何食わぬ顔をして列に並ぶ人々の様子を見ていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ