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第4章 2011年10月 チャレンジレース 第75話

第75話【宮本 健】


 そして、この小雨の中でリスクを背負ってレースをしようとしてる選手の集まりということは、間違いなくここにいる全員がモチベーションが高い。遊びだったらここにいないと思う。


「でもさ、この中でほんとに速いのなんてのは、ほんのひとにぎり。俺がそのひとり」

 すごいよ、そう言える君は。

「でも、ほんとにレベル高そうね。こんな舞台で走れるなんてすごいわ」

 レース慣れしているだろう律ちゃんが言うと僕は誇らしくなってくる。

「そうだね。僕が初めて参加した3年前から比べても、どんどん人数が増えてるし規模も大きくなってる。ロードレースの人気が高まってる気がする」


「ていうかね、宇都宮ってすごいわ。自転車の人気が。ここに来るまでに何台も自転車を見たし、横断幕とか街中ののぼりとかも」

 そうなんだ、僕は改めて思ったけど、宇都宮って自転車の人気がすごいんだ。それは地元にプロレーシングチームがあることの影響が大きいのは間違いない。

 確かに去年よりも自転車乗りが多い。地元のロードバイク乗りが集まってきているのもあるし、レースに参加するために集まってきている他県のレーサーもいる。応援に来ている選手のチームの仲間もいる。そのエネルギーがだんだん会場に充満している雰囲気がなんとも気持ち良い。


「そうだ、朝ごはんごちそうさま。卵焼きとおにぎり、うまかったぞ。半分残してさ、勝った時の賞品にしたから」

「美味しかったよ。頑張るから」

 輪太郎と違って照れながらいうと

「賞品にするほどのものじゃないでしょう」

 と律ちゃんが呆れていう。


「何言ってんの。レースで勝って、そのあとに好きな女の子が作ってくれたご飯を食べられるなんて最高だろ。負けたらレースで負けて凹んで、お昼ご飯はそのへんの屋台の焼きそばだ。そしたらレースも本気で走るってもんだろ」

「パンとかおにぎりのために走るのって、どうなの」


 今度は晴ちゃんが呆れていた。僕らに勝つことの意味はあるけど、その結果のトロフィーとか賞状とかメダルとかには、あまり意味はない。それより走ったあとに食べる律ちゃんのサンドイッチの方がよほど嬉しい。


そんな風に4人で雑談してると、驚きの展開になった。


 第76話につづく


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