表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/109

第3章 2011年10月 何のために走るのか。なぜ走るのか。第53話

第53話【宮本 健】


 どうやら食材の準備ができたみたいだ。僕らもバーベキューコンロの脇に設営したテーブルに腰を下ろす。おじいちゃんを除く男子、つまり勝利さんと僕と輪太郎は、ビールケースの上に載せたベニヤ板がテーブルだ。

 となりのアウトドア用のテーブルでは、律ちゃんと晴ちゃんが話題の中心。時折、僕らの名前が出てくるけど、どんな風に言われてるやら僕は冷や汗が出ちゃう。輪太郎は全然気にしない。そのふてぶてしさを見習いたい。


「しかしさ、ムサシ君は強くなったよね」

「ズルいですよ、ほんと。競技歴なんて3年ないくせにさ。自転車にセンスは関係ねえって言うのが俺の持論なんだけど、センスって関係あるのかって思っちゃうぜ」


 それは僕に自転車のセンスがあるってことか。

「ムサシの最近の強さを見てると、何かドーピングしてるんじゃないかってくらい強ええ。俺なんて「巨人の星」並みに十年以上スパルタ教育されて今の走りがあるのにさ。今なら登りだだけだったらムサシの方が強いんじゃないの」

「それは言い過ぎだろ。買いかぶり過ぎ。勝負がかかったらきっと最後にゴールで敵わないよ。でもな、ジャパンカップのチャレンジレースでは勝負するって言っちゃったからな」

「ムサシ君、変わったね、今までは勝負するとか言わなかったでしょ。やっぱり愛のチカラかな」

 勝利さんに冷やかされたけど、それもあるし、輪太郎の言動に毒されてきたのもある。


「明日、朝練しよう。俺は2人についていけないけどさ、楽しそうじゃん」

 勝利さんが酔った勢いで、明日の朝は朝練しようと言いだした。

「そうすると、明日の朝は4時には起きて家に戻って、ロードバイクで出撃か。ハードスケジュールだな」

 輪太郎が言うと。

「大丈夫、起こしてやるよ」

 勝利さんが言うけど、これって間違いなく勝利さんは二日酔いで起きられないパターンだ。飲み会の翌日に勝利さんが朝練に起きられたためしがない。

 僕は、あのコルナゴのC50で走ってみたい。輪太郎の言うとおり、僕も自分自身が強くなっていると夏以降は思えてきた。それに、来週のチャレンジレースに向けて追い込むには良いタイミングだ。新しいバイクで輪太郎とどこまで勝負できるかな。


 第54話につづく


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ