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challenging-現在進行形な僕らは 第1章 2011年8月 海と出会いと悲しみと 第5話

第5話


 なんだかんだと今日の朝練の休憩時間は、最後まで自分の「片思いの彼女」の話で盛り上がってしまった。正確には、自分が話す以上に周りが勝手に盛り上がってただけだ。解散場所のいつものセブンイレブンでもやっぱりその話題だった。昨日の疲れもあったけど、朝練はやっぱり気持ちいいな。カラダの芯までエネルギーを使い切ったような気がしてスッキリする。


 出会ったばかりなのに香川さんが気になって仕方がない。一昨日までの僕とは別人のように「好きだ好きだ好きだ」と頭と心臓が言っている。慣れない恋の病はじっとしていたら無限ループに陥りそうだけど、全力でペダルを漕いでいるときは無心になれる。言葉は変だけど「無意識に集中できる」感じ。僕にとっては、恋の病も気になって仕方ないけど、そればかりで無限ループになっているのは嫌だ。自転車に感謝だ。


 輪太郎からのメールを確認したのは夜になってからだった。僕は朝練の気持ち良い疲労感でシャワーを浴びてから扇風機の生温かい風の中、いつか好きだと言えるかなと妄想してしながらソファで昼寝してしまい、遅めのお昼を食べたあと、午後はなんとか気持ちを集中させて宿題をこなしていた。そしたら携帯じゃなくてパソコンのアドレスにメールが来ていた。輪太郎らしくない前フリがあった。

 

「ムサシへ。

 福井さんのメール読んだら、もしかしたら香川さんに気持ちを伝えるのはかなりハードルが高いのかもって思っちゃうかもな。オレでさえ、そう思う。でも、ムサシは遠慮するなよ。遠慮して後悔するくらいなら、アタックしちゃえ。それで、もしかしたら香川さんも救われるかもしれないし。もし、それで傷つけちゃうかもとか遠慮するなら、きれいさっぱり香川さんのことをあきらめろ」 


 なんの事かと思った。

 そのあと、僕は福井さんからのメールを読んで、パソコンの画面を前にして泣いてしまった。泣かずにいられなかった。こんなことがあるのか。それがなんで香川さんなんだろう。この世に神様はいない。いたらなぜこんなことにならなくてはならないのだ。僕はどうしたら良いんだ? 


 バラ色の悩みは、一気にしぼんでしまった。僕はこの先、一体どうしたらいいんだろう。


第6話に続く


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