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challenging-現在進行形な僕らは 第2章 2011年9月 マロニエトライアスロン 第22話

第22話【香川 律子】


「頑張れ!!」

 遠くから声が聞こえた。ムサシ君だ。ムサシ君の声だ。


「しっかりしろ!」

 今度は輪太郎君の声だ。


「律ちゃん、しっかり!」

 あ、晴ちゃんの声も聞こえる。


 私は、やっと我に返った。

 いったい私は何をしていたんだろう。足を着いて息を整えなくては。


 冷静になって足を着くことができた。何に対して私はもがいていたんだろう。ほっとした。

 一息ついて、頭から体に指令を出して、とにかく慌てている体を落ち着けさせるために、いったんコースのアウト側で深呼吸した。プールサイドの向こう側からムサシ君と輪太郎君と律ちゃんがめちゃくちゃに叫びながら必死に手を振っているのが分かる。


 呼吸が落ち着いたらなんだか可笑しくなってしまった。何やってんだろうね、私。3人に心配かけちゃった。そして、お父さんお母さん、お兄ちゃん、ごめんね。私、弱音吐きそうになっちゃった。私は3人の分まで生きなくちゃならないんだ。きっとお父さんやお母さんやお兄ちゃんは、津波の濁流の中でも諦めなかったに違いないよね。


 私がプールの中で諦めてちゃだめだよね。私は生きると決めたんだった。頑張ろうと思っても頑張れない時もあったけど、今は頑張れる。晴ちゃんもいるし、次に輪太郎君にタスキもつながなくちゃならない。なんて言っても、ムサシ君が私を応援してくれている。


 第23話につづく


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