表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/18

6 ≫警部≪

 茂に封筒を見せてきた夜月と月夜。

 封筒を預け、部屋に戻ろうとしたところ、夜月は別の方向へと進んで行った。

 向かうはA館。沢山の資料と個人情報が保管してある場所だ。

「兄さん。A館に何の用?」

 月夜が横から顔を覗きこみ、不思議そうな顔をして、問いかけてくる。夜月はそれに小さな声で答える。

「さっきの美那って言う人。茂さんの知り合いだろうな。少し気になったから、調べてみようと思って」

「調べて解るもん?」

「ここには個人情報が沢山あるんだ。勿論、所に属している者の関係者のも」

「あ、そか」

 所に属している者の関係者。

 属している者が万一、裏切りなどの行為を行った場合、そいつの周りの人間を使い、そいつを脅すために、関係者全員を調べあげる。

 ここにはそれが沢山ある。

 だが、関係者が人質として使われたことは殆ど無い。

 何故なら、裏切り者はすぐに消されるからだ。

「月夜、調べるのを少し手伝ってくれるか?」

 夜月は答えを解っているが、一応聞いてみる。

「モチのロンよ! 任せてよ! この月夜ちゃんがビビビッ、と調べあげてみせーー」

「よし、着いたぞ」

「えぇぇぇ! 話聞いてよー」

 月夜が何やらほざいている間にA館に到着。

 早速中に入る。その際、言い忘れていたことを伝える。

「そういえば、これはあまり周りに話すなよ。面倒なことになりそうだからな」

「なんでー?」

「茂さんのことを嗅ぎ回っているとなれば周りの奴らが黙ってないだろうからな」

 何せ茂はこの組織の上に立つ人物だ。

 そして茂は詮索されるのを凄く嫌がる。

 茂のことを詮索してるとバレれば周りが止めに入るだろうし、茂の耳に入れば、調べるどころじゃないどろう。

 二人はツカツカと資料だらけの部屋を歩く。

 どうせ茂の個人情報はその辺には転がっていないだろうから、真っ先に厳重保管室に行く。

「兄さん。パスワードわかるの? それに指紋認証システムがついてるよ?」

「大丈夫」

 夜月はタッチパネルをおもむろに操作する。すぐにOKの文字が浮かび、次に人差し指をパネルにかざす。

「よし、行くぞ」

「へぇー、さすが兄さん」

 あまり構って貰えず、少しすねている月夜を無視して部屋へと入る。資料を片っ端から探してみる。

 月夜ができの悪い頭を働かせた。質問をしてくる。

「何で兄さん、この部屋の鍵を解除出来たの?」

「二十歳の誕生日に『何か欲しいものは無いのか!』って茂さんに言われたから、使い道のありそうなこの部屋のパスワードとか、聞いといたんだ。こんなことで役に立つなんてな」

 真剣な眼差しで有力な情報を探す。

 月夜が言う。

「茂さん、嫌がらなかった?」

「最初は嫌がってた。けど滅多に無い俺の頼み事だからな。素直に聞いてくれた」

 ふぅーん、と言って月夜はまた、資料を探し始めた。

 月夜はきっと茂の資料を探しているだろうと思った夜月は、念のため、閑の資料を探してみることにした。


 暫くして、夜月は閑に関する資料をあらかた探したが、大したものはなかった。

 が、月夜の方は色々と見つかったみたいだった。

「兄さん。あの美那って言う人、茂さんの彼女だったみたいだよ………死んじゃってるけどね」

 衝撃的な言葉に一瞬、思考が止まる。

 が、すぐに冷静に、正常に、頭が動き出す。

「事故か何かで死んだのか? それとも……」

 組織に殺されたか。

 月夜はその言葉を聞かずとも理解したようで、ただ頷き、次に他の情報を話し始めた。

「んで、これまたびっくり。美那さんは閑さんに殺されてる。まだ家を継いでいない閑さんに。理由はわからない」

「それは、びっくりだな」

「驚いてないでしょ」

「いや、驚いた」

 あまりにも動じない夜月を見て、月夜は文句を言うかと思ったが、言葉を止める。夜月が物事に動じず、真顔でいるときは、何か考え事をしているときだからだ。

「……閑さんはその頃から何か企んでいたみたいだな」

「それは現在進行形?」

「そうだな……」

 黙り混む。

 月夜はそれをじっとみて、突然、そう言えばと言わんばかりに、声をあげた。

「ねぇ、この資料に、茂さんと仲が良かった人の名前が書いてあったんだよ。治じゃない奴の」

「ん? 誰だ、それ」

「それは…………」



  ×



 ここは、菅野探偵事務所。

 部屋には治と、もう一人。男がいる。

「なあ、戻って来て下さいよ」

「いきなりなんです? 上田清太警部」

「………この喋り方も、やめようぜ」

「一応僕、元上司何だけど?」

 上田清太警部とは、勿論警察なのだが、治の警察時代の部下であり、中学時代からの仲である。

 治は探偵を始める前はかなり優秀な警察官だったのだ。

「しばらく会わないと思ったら…………。突然、戻って来て下さいなんてね。やんなっちゃうよ」

「頼むよ。お前なら内部の出入りも普通に出来るだろ」

「あーやだやだ」

 治はかなりの成績を修めていた。

 色々な奴から気に入られていた。治の父が警視長というのもあったのだろう。

 とにかく優秀だった。こんなに優秀な人材は他にいないだろう。

「頼むよ。お前がいれば鬼蘇閑、それと…………茂の、足を掴めそうなんだよ!」

「僕は僕のやり方でやるって前も言ったけど?」

「そうだけど……」

 言葉を詰まらせる清太に治は帰ってくれと、踵を返し、二階へ消えようとする。

「駄目なのか……?」

 まだ諦めのつかない清太に治は鋭い声を放った。

「そんなに僕が必要? 違うよね。本部にはちゃんと鬼蘇の情報も渡してる。それで十分だろ。……もう帰ってくれ」

 二階へ上がっていく治を見つめ、清太は「わかった。今日は帰るよ…………」としぶしぶ、事務所を後にした。



  ×



「月夜、本当か?」

「うん……」

 月夜から発せられた、茂と親しかった人物。そいつは治の次に、よく知られていると言っても過言ではない。

 まさか、そこが繋がっていたなんて。

「そいつをあたってみるか…………」

「でもこの人…………。それに、美那さんの写真を渡してきた人もわからないし…………」

「わかってる。何か………対策を取るか………」

 月夜が探した資料を見つめる。

 そこに書いてあった、茂と親しかった人物。

「…………上田清太、警部、ねぇ…………」

上田清太、Another story で出てきているんです。

どこで出てきたかわかりますか?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ